(2)ルーキー特集 第2弾 〜周藤集編〜

 今年度も頼もしいルーキーたちが紫紺の門をたたいた。今回のルーキー特集でも例年に引き続き、競技の話から普段は見えない選手の意外な一面まで、それぞれの魅力をお届けする。

(この取材は2月27日に行われたものです)

――今はどのようなことを練習されていますか。
 「今はオフシーズンに入ったので、スケーティングのフローという技術があって、押さなくてもどんどんスピードが上がっていく技術を磨いています。あとはジャンプの安定性を高める練習をしています」

――フローは重要なスキルでしょうか。
 「やはり世界のトップスケーターはみなさんそのスキルがとても高いので、そこを今磨いています」

――スケーティングの面で目標にしている選手はいらっしゃいますか。
 「スケーティングだと鍵山優真選手(中京大)は本当に押さなくてもどんどんスピードが上がっていくのでとても参考にしています」

――今はどのようなジャンプの練習をされていますか
 「今は4回転トーループに一番力を入れていて、あとはトリプルアクセルまでのジャンプの安定性を深めています」

――得意なジャンプと苦手なジャンプはありますか
 「3回転ルッツは、右肩が下がってしまったりいろいろ技術的な面でやりにくい部分があるので苦手なジャンプです。得意なのはアクセルです」

――ケガの手術をされていましたが、今はどのような状態でしょうか
 「2023年12月の全日本選手権(全日本)で右足首の腓骨(ひこつ)を骨折して、2度手術をして24年の5月ごろまでずっとリハビリで練習ができない期間が続いて、今も結構足首の可動域や筋力が落ちているので、今そこを戻しています」

――スケーティングの練習が始まるまでどのようなトレーニングをされていましたか。
 「リバウンドジャンプやプライオメトリックトレーニングのような瞬発力を取り戻していくリハビリを多くやっていました」

――筋トレはされていますか。
 「前は結構やっていたんですけど、あまり付けすぎても重くなってしまうのでやっていません」

――スケートを始められたきっかけを教えてください。
 「兄が障害を持っていて障害者クラスのほうでスケートをやっていて、その付き添いとして僕が行っていてとても楽しかったので始めました」

――おいくつぐらいですか。
 「7歳くらいです」

――スケートを始められたのはそんなに早いほうではなかった。
 「結構遅めですよね。1、2年くらいずっと遊びみたいな感覚でやっていました。(本格的に練習を始められたのはいつごろでしょうか)小学6年生くらいです」

――初めて出場した大会は覚えていますか。
 「父の転勤で韓国に行っていて、小学3年生ごろに大会に出たのが多分初めてでした」

――珍しい経歴ですね。では、スケートをお兄さんについて行って始めたのも韓国のリンクでしょうか。
 「始めたのは日本で、1年後ぐらいに韓国に行きました」

――日本に戻られたのはいつごろでしょうか。
 「小学5年生のころです。(日本に戻ってきから教室に入ったのでしょうか)はい。そうですね」

――韓国での生活はもうあまり覚えていないのでしょうか。
 「はい。(韓国語は話せますか)韓国に行っている時は日常生活過ごせるくらいはできたんですけど、今はもう『トイレ貸してください』くらいしか分からないです(笑)」

――競技人生の中で記憶に残っている大会はありますか。
 「3年前のジュニアGPシリーズのラトビアのリガ大会がすごく自分の中で記憶に残っています。ショートプログラム(SP)はミスがあったものの、点数はスケーティングなどを練習していたこともあって結構いい点数もらえて2位に入れたんですけど、フリー(FS)で7本中5本くらいジャンプを失敗してしまって、それでだいぶ順位を落として6位になって終わってしまいました。悔しい思い出としてとても印象に残っています」

――逆にうれしかった大会はありますか。
 「それで言うと去年の全日本のSPはノーミスすることができて、とてもうれしい気持ちでした(全日本はやはり特別だと感じますか)はい。そうですね」

――衣装はどのように制作されていますか。
 「母が洋裁教室に通っていて洋裁ができるので、いつも衣装は作ってもらっています」

――お気に入りの衣装はありますか。
 「去年(2023―24シーズン)のSPの黒と金色の衣装がとてもお気に入りです」

――現在は三井不動産アイスパーク船橋を拠点にされていますが、その前はどちらを拠点にされていましたか。
 「アクアリンクちばSCで練習していました」

――移籍のきっかけはありますか。
 「練習量がアクアリンクの方は貸し切りが週に3回ほど、1時間くらいしかありませんでした。こっちは1日4、5時間くらいですごく全然違ったので、練習量がきっかけです」

――試合前のルーティンはありますか
 「ルーティーンとかはあまり決めないようにしています。ルーティーンを忘れてしまった時にその不安を試合に持ち越すことになるので、あまり考えないようにしています」

――今シーズン(24―25シーズン)のFSのプログラムは去年と継続でしたがなにか理由はございますか。
 「23年の全日本でケガをしてしまって、SPは滑れたんですけどFSが滑れなくて。不完全燃焼というか、今シーズンまた滑りたいなと思いました」

――SPは新プログラムでした。
 「選んだきっかけは、先生にほとんど暗い曲しか使ってこなかったので、今シーズンはイメージ変えてみようと言われて明るめの曲を選びました」

――振り付けの先生とは長い関係でいらっしゃるんですね。
 「転勤の時に知り合ったので結構長いです」

――教えてもらう際は気楽な感じでしょうか。
 「いや、そんなことないです。結構厳しいです。でも僕は厳しい方が好きなので」

――スケートをしていて良かったと思った時はありますか
 「土曜日はオフで練習が全くないんですけど、本当に暇なんです。ずっとゲームしたり友達と電話したり遊んだりとかなんですけど、やはりスケートがない日はすごく退屈に感じてしまうので、やっていてよかったです」

――スケートをしていて一番辛かったときはありますか。
 「やはり23年のケガです。ケガをして、まさか半年間も氷に戻れないと思っていなかったので、リハビリ期間中の足首の可動域が曲げられなという時期が2、3カ月くらい続いたことが本当に辛かったです」

――復帰への原動力はなんでしたか。
 「ケガしてすぐ山本草太選手に応援メッセージをいただいたり、青木祐奈選手にリハビリメニューをたくさん提供してもらったり、前の高校の友達やリンクメイトにもたくさんの励ましの言葉をもらい、コーチやトレーナーの方々、ハーネスの蛯名先生には本当にお世話になり、たくさんの方々のおかげでここまで戻ってこれたと思っています。」

――復帰直後のスケートはどのような感じでしたか。
 「もう全然忘れていて、壁に寄りかかりながら初心者の方みたいに滑っていました」

――ご自身が思う強みを教えてください。
 「スケーティングと表現力が自分の強みだと思っていて。振り付けの宮本賢二先生に3、4年前くらいに見てもらった時に、手の指の使い方から体のしなやかさとか様々なことを教わって、そこから自分の表現力に自信を持てるようになっていったのでそこが強みです」

――明大に進学した理由を教えてください。
 「やっぱ佳生(三浦佳生・政経2=目黒日大)とか駿くん(佐藤駿・政経4=埼玉栄)とか強い選手がたくさんいるので、僕も合宿などでいろいろなことを見習いたいなと思いました」

――三浦選手から明治についてのお話は聞きましたか。
 「勉強がすごく難しいって言っていましたね。単位をとるのがすごく難しいから、友達をたくさん作ってノートとか見せてもらいなって」

――明大スケート部フィギュア部門のイメージを教えてください。
 「やはりとても強いと思います。大島光翔さん(令7政経卒)などみなさんとても強いと思います。(大島選手とお話されたことはありますか)結構お話します」

――明治×法政 on Ice(明法オンアイス)に訪れていたようですね。
 「新1年生はお手伝いみたいな感じでした。パンフレット配りなどいろいろ手伝いに行っていました(雰囲気はいかがでしたか)明るいですよね」

――大島選手と交流があることが少し意外ですが、共通の趣味があるのでしょうか。
 「もうがっつり友達って感じで仲いいみたいなのではないですけど、先輩なのでやはり試合の時に喋ったりするくらいです。でも佳生とかは試合の時とかも一緒に遊んだりします」

――三浦選手とはどのようなお話をされますか。
 「スケートのことやゲームのこと、同じ試合に出ている選手が滑っているのを一緒に観戦したりしながら喋っています(ゲームはプロスピでしょうか)プロスピです」

――佐藤選手とはお話をされたことはありますか。
 「憧れているので、喋る時は緊張します」

――佐藤選手のどのような点に憧れていますか。
 「大きな舞台できちんと大技の4回転ルッツ、4回転フリップなどをバシッと決めるところが本当にかっこいいです」

――佐藤選手以外に目標の選手や憧れの選手はいらっしゃいますか。
 「アメリカのイリア・マリニン選手と鍵山優真選手です。マリニン選手は4回転アクセルまで飛べて、一緒にアイスショーに出たんですけど路上でバク転し始めたりして、やばいです。あと鍵山選手は先ほども言った通りフロー、滑りが本当に上手で押さなくても滑っていく技術を本当に尊敬しています」

――高校は通信制ということで、やはりイベントはあまりなかったのでしょうか。
 「1年生時は地元の高校に通っていたので、文化祭とか出たんですけど、通信はやはり何もしないですね」

――大学に入ってから楽しみなことはありますか。
 「大学でたくさん友達作って遊ぶことです」

――うさぎを飼っていらっしゃいますが、飼い始めたきっかけを教えてください。
 「2年前くらいから飼い始めました。母が『ウサギがかわいい』とずっと言っていたので、それがきっかけです」

――うさぎはお世話が大変なイメージがありますがいかがでしょうか。
 「ご飯を1日3、4回くらいあげて、おやつとかあげてみたいな感じで、そこまで大変ではないんですけど、うんこ掃除がすごく散らばったり、自分でわざと蹴っ飛ばしたりするのでそういうところは大変です(クワドという名前の由来はやはりジャンプでしょうか)はい。4回転です」

――野球が好きと伺いましたが、やはり千葉ロッテマリーンズが一番お好きでしょうか。
 「はい。千葉出身なのでロッテを応援しています」

――野球は昔からお好きですか
 「いや、スケート仲間たちが野球好きなので、それでお前も見ろよみたいにみんなに言われた感じです」

――試合にはどのくらいの頻度で行っていますか。
 「去年は5回くらい。今年もオープン戦に璃士(中田璃士選手・中京大中京高)とかと行く予定です」

――Xのプロフィール欄にはPSGと書いてありますが、サッカーがお好きなんですか。
 「1年前くらいにパリサンジェルマンというチームにエンバペとメッシとネイマールというすごく強い3人がいたとき、本当にめっちゃ面白くてずっと見てました。サッカーもゴールパフォーマンスとかめっちゃかっこいいです」

――勉強は得意でしょうか。
 「政治経済は結構苦手です。(一番苦手な教科はなんですか)一番は数学が苦手です。全然わからないです」

――得意な教科はなんですか。
 「国語ですかね。文章の前や後ろに結構答えが書いてあるので、あまり勉強しなくてもいけます」

――英語はいかがでしょうか。
 「英語は結構いけます」

――1限の授業もあると思いますが、朝は強いですか。
 「朝は結構弱いです。未だにその母に起こしてもらう日がたまにあります」

――自宅から大学までは遠いですか。
 「はい。電車で1時間半くらい。朝5時起きとかで大丈夫かなって思います」

――ありがとうございました。

[大島菜央]

※写真は本人提供