
(42)春季リーグ戦後インタビュー 戸塚俊美監督
(この取材は5月31日に行われました)
――就任1季目を振り返っていかがでしたか。
「いや、もう本当に激しい試合ばかりで、やっぱりリーグ戦っていいなと思いました」
――カードごとにお話を伺います。開幕カードの東大戦は2連勝でした。監督就任後初めてのリーグ戦ということで、緊張などはございましたか。
「僕自身も多少緊張はしました。東大も渡辺投手といういいピッチャーがいるので、抑えられたらどうしようとか戦う前はいろいろな不安を感じていたんですが、選手が頑張ってくれました」
――アンダースローの渡辺選手に対して、チームとして対策などはございましたか。
「やはり高めは捨てて、フライをあげないようにとやっていたのですが、結局高めを攻められて、フライアウトが多かったと思うんです。その中でピッチャーが頑張って0点に抑えてくれたので勝てたのですが、なかなか対策を練りながらも攻められなかった。改めて渡辺投手も高めのコントロールが非常に良かったので、いい投手だなと実感しました」
――東大2回戦のプレーでショートの光弘帆高内野手(商3=履正社)の負傷があり、慶大戦からは磯圭太内野手(情コミ2=作新学院)をショートで起用しました。
「磯は2月の沼津キャンプは行ったのですが、3月の宮崎キャンプは行かなかったと思います。居残りでありながら地道にずっと頑張っていて、下のBチームでのオープン戦でもきっちりやっていたので、その辺を見て松岡コーチからの推薦もあり、決断しました」
――慶大戦では小島大河捕手(政経4=東海大相模)が負傷し、立大戦では小島を抜いた打線になりました。それまで榊原七斗外野手(情コミ3=報徳学園)、田上夏衣外野手(商2=広陵)を1、2番でセットにしていましたが、離した理由を教えてください。
「3番で考えていたバッターがいなくなったということで、次にいいバッターが榊原になってくるかなと思い3番にしました。2番は、それまでは攻撃的な2番という感じでやっていたのですが、つなぎ役で木本(圭一主将・政経4=桐蔭学園)に入ってもらいました」
――早大戦では、特に課題として挙げていた伊藤樹投手に抑えられました。
「そうですね。1戦目に先発して来なかったので調子が悪いのかなと思ってはいたんですけども。立ち上がり、いいライトライナーを宮田(知弥内野手・商4=横浜)が打ったりして。あそこでちょっと崩しておけば、1点でも取っておければ、また違う展開になっていたかもしれないですが、乗り切られてしまったのでズルズルと。うちのピッチャー陣も頑張ってゼロのずっと抑えていたんですけど。結果的に攻略できず、本当に悔しい思いです(このカードは不運な当たりも多かった印象です)そうですね。そんなもんなのでしょう、野球というのは」
――早大3回戦では勝負どころでの積極的な采配が印象に残りました。監督はどのような展開を予想していらっしゃいましたか。
「先取点を奪われてしまっていて、またズルズルと抑えられてしまうなという嫌な予感がしたので、2回のチャンスですかね、もうすぐに代打を使ったんですけど、とにかく少しでも仕掛けを早めにやっていこうとは思っていて、思った通り選手が結果を出してくれました。結果的に負けてしまいましたが、いい形で点は取れたかなと」
――法大1回戦では友納周哉内野手(文3=福岡大大濠)、若狭遼之助外野手(商3=星稜)をスタメンに起用し結果を残しました。起用の意図を教えてください。
「友納は守備が良いので。磯がちょっと当たりが止まっていたので、守備から崩れることのないようにショートに入れました。若狭はアナリストからのデータで左投手にはすごい数字を残しているということで、思い切って使いました。1打席目にタイムリーを打ってくれて、期待に応えてくれてうれしかったです」
――優勝の懸かった2回戦では、失策があった木本主将を途中で交代させていました。
「エラーもありましたし、その試合においては打撃の方も精彩を欠いていたので変えました。(翌日も外したのは監督の意図でしょうか)そうです、私の判断です」
――3回戦では大川慈英投手(国際4=常総学院)がアクシデントで緊急降板となり、緊迫した場面で大室亮満投手(文2=高松商業)が登板しました。
「彼は短いイニングしか投げていなかったのですが、しっかりストライク先行で、結果的にフォアボールを出しましたけれども、その辺の修正力っていうのはしっかりあるピッチャーなので、信頼して出しました」
――緊迫した場面で若い学年の選手を送る印象がありますが、経験値を積ませることなども考慮しての起用なのでしょうか。
「いえ、単純にこの場面はこの人が良いという判断で、それがたまたま若い選手になっています。監督は決断が必要ですし、それだけ選手を信頼しなくてはいけないと思っています。普段の練習から、選手をちゃんと見ながら、最後は神頼みのように決断して出しています」
――ここからは選手一人一人について振り返りたいと思います。髙須大雅投手(法4=静岡)は最後まで本調子を取り戻せない結果となりました。リーグ序盤は先発でしたが、中盤からは中継ぎに回り球速が比較的回復しています。ショートイニングで投げさせることで出力を戻す狙いなどございましたか。
「はい、ありました。先発でちょっと思うような結果が残せていなかったので、中継ぎに回して少し気分転換もさせながら。でも中継ぎに回してからも今ひとつ結果が出ていないですね。(崩れても交代のタイミングが他の投手より遅い印象がございますが、やはり特別な思いがあるのでしょうか)引っ張りすぎですか?(笑)。期待はしていますね、明治の11番を背負う男なので。自信を失っているのかは分からないですが、自信を取り戻すためにはもう神宮のマウンドしかないと思っているので、なんとかまた回復できればなと思っています」
――髙須の代わりに第2先発となったのは三浦心空投手(政経3=東邦)でした。どのような理由で起用したのでしょうか。
「ストレートの威力もありますし、変化球も良いですし、そこそこのコントロールを持っているので。最後の法政戦などはなかなかストライク先行のピッチングができなかったのでそこが課題かなと。簡単にストライクを取れる投手になってほしいです」
――野手では宮田がリーグ2位の打率を記録する活躍をしました。監督から見てどのような選手ですか。
「最初の東大戦でエラーもあり、記録にならないエラーなんかもあって、正直ベンチも外れるかというレベルにも達したのですが、なんとかしたいという気持ちが強く、とにかく守備練習をして、『バッティング練習はしません』と自ら言ってきたんですよ。選手がそこまで考えてやるというのはいいなと思って。そこからヒットも出るようになり、守りも動きが良くなってきたので、まさにリーグ戦で成長した選手じゃないかなと思っています」
――リーグ戦途中で骨折をした小島は途中から一塁手として出場しましたが、本人からの申し出でしょうか。
「いえ、我々監督コーチで判断しました。やはり完治はしていなくて、キャッチャーだと同じ場所にファウルボールやワンバンが当たってしまうリスクがあるので、それを避けるためにファーストで起用しました。彼のバッティングでは出さざるを得ないですから」
――榊原はチームトップの本塁打、打点を記録しました。
「オープン戦からホームランも結構放っていたので、パワーはスイングスピードがアップしているのかなと非常に感じています。リーグ前半は本当にいいところで打ってくれて、もう少し率が上がってくれたら申し分のない選手です。彼もどんどん主力選手としての自覚を持って練習なんかも取り組んでくれていますし、頑張って欲しいなと思います」
――若狭や八谷晟歩内野手(政経3=浦和学院)、河原﨑琉衣外野手(法3=掛川西)のように、前のカードでベンチ入りしていなかった選手を代打で起用し、それが的中しています。代打で出すようなメンバーはどのように決めているのでしょうか。
「いわゆるBチームを見ている3年生の学生コーチがいるのですが、その学生コーチの進言ですね。いつも初戦の日の前に学生コーチも含めてベンチ入りメンバーを決める話をするのですが、その中でBチームではこの選手が調子良いのでぜひ入れてくださいなど意見が上がってくるので、僕は腹を決めて入れています。大事なところで打ってくれたらもう最高なんですけどね」
――ありがとうございました。
[橘里多]
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