(57)日本インカレ事後インタビュー⑪/園原健弘監督

2025.06.15

 66年ぶりに岡山での開催となった日本学生対校選手権(日本インカレ)。全国の猛者を相手に、男子1万メートルWと4×400メートルRのそれぞれで5位入賞を果たし、明大の底力を見せた。出場した各選手は、この大会をどのように振り返るのか。今回は、レース後のインタビューをお届けする。

 第11回は園原健弘監督のインタビューです。

――競歩に関して、監督はどのようにご覧になりましたか。
 「近藤(岬・理工4=十日町)が競技者としての最後のレースだったのですが、想像以上によく頑張ったと思います。ただ本来の力でいけば、優勝できるレベルだったのですが、2月の日本選手権・20キロ競歩が終わってケガをしてしまった影響がありました。できたら関東学生対校選手権(関東インカレ)も出てほしかったです。ですがなかなか故障には勝てないので、最後日本インカレで、リベンジの形でいい結果は出したのではないですかね」

――長田(隼人・商3=松山工)選手の方はいかがでしたか。
 「長田はレースプランとは違う形になってしまったので、やはり難しいレースではありました。自分の立ち位置をしっかり確認しないまま、レースに臨んで雰囲気にのまれてしまって、先頭集団についていったので、オーバーペースでの11番かなと思います。よく粘りましたが、もうちょっといいレースに展開すれば8位に入賞もできたレースでした」

 ――走幅跳の宮坂(玲皇・商1=岩倉)選手が決勝で12位になりました。
 「残念な結果ではあると思います。本人もチームとしても。ただ、ここの競技場は風があっち吹いたりこっち吹いたり、非常に気象条件が変わって難しいので、1回目、2回目ファールだった中、3回目に記録を残すためにはまだ経験不足でしたね。どんな状況でもしっかり記録を出せる力をつけるためには、いい経験になったかなと思います」

――4×100メートルR(4継)はいかがでしたか。
 「決勝に残りたかったのが正直なところですが、誰を責めるわけではなく『みんなよく走ってくれたけれど、残念な結果だった』という感じです。力はあるけれども、その力が出し切れないところがなぜなのか、しっかり考えたいです。絶対的なバトンの自信は持っているので、今回ちょっとうまくいかないところもありましたが、そういったところをひっくるめて、次のステップになればいいなと思います」

――4×400メートルR(マイルリレー)の振り返りをお願いします。
 「全体の総括として、明大が強化している競歩と(マイル)リレーで両方とも5位というのは一つの結果として評価して良いと思います。ただ、よそはもっとレベルが高いので、個人でもしっかり入賞して、リレーでもしっかり結果を残す。そういった意味では昨日の200メートルは関東インカレにピークを合わせてもらった関係もあり、ちょっと振るわない結果になりました。(そうなることは)事前に予想できたので、200メートルのメンバーをマイルリレーに思い切って投入する決断ができましたし、チーム事情もありました。結果的にはマイルリレーで想像以上の結果が出たことは『災い転じて福となす』な結果と言えますね。ただ本来の理想を言えば、200メートルでも入賞、マイルリレーでも走り切る。そんな力強くてタフな選手にならなくちゃいけないなと思います」

――チームワークで決勝に進出し、結果を残した要因は何ですか。
 「陸上競技の中で、マイルリレーはどの大会でも一番最後の種目ですから、そこに出たいという強い思いがずっとありました。今回マイルリレーのメンバーを最後に決めるにあたって、当初走る予定だった佐田(龍昇・法4=大分東明)、荒澤(朋希・営3=明大中野)といった本来の400メートルの選手が涙をのむ決断をしてくれました。自分なりの競技力、チーム事情をひっくるめて個を捨てて、チームのための選択を彼ら自身の方からしてくれて『このメンバーで走ってほしい』と言ってくれたので、マイルリレーは本当にチーム力だなと感じました。その控えにまわった選手は、ずっと献身的でした。4継で振るわなかったメンバーもマイルリレーに出るメンバーに対して、非常に手厚いサポートをしてくれて、それを見て〝学生スポーツ〟を感じました。控えにまわった選手も競技の結果ではないところで、今後の人生においても大きな力を得たと思う大会でした」

――マイルリレーのメンバーは、選手側からの提案だったのですね。
 「明大は今までリレーでなんとか強くなろうという思いがありましたが、4継が決勝に出られなくて。今までは4継が引っ張ってくれていましたが、初日の結果を見て川津(靖生・法3=明星)がちょっと振るわなくて、200メートルも厳しい状況でした。ピークを関東インカレに合わせてもらったので、その後の疲労もあったのですが、あのスピードが400メートルで生きるだろうということで、選手たちの方から話がありました。佐田もチームリーダーとして意見をしっかり汲み取ってあげてくれて、その辺は非常にみんなチームよくやってくれたと思います」

――川津選手と同じく、200メートルとマイルリレーに出場した鷹羽(柊弥・法4=盛岡第四)選手について教えてください。
 「鷹羽も悪いレースではなくて、後半にもっと伸びるかなと思ったのですが、やはり疲れがあったのかな。彼は4年生になってしっかりチームに貢献してくれたし、本当はもっともっと才能がある天才肌の選手でもうちょっと今シーズン花が開くかな、というよりも開かせてあげたかったです。でも、すごくよくやってくれたと思います」

――今大会の総括をお願いします。
 「競歩とマイルリレーで5位入賞ということで、可もなく不可もなく、明大の現状を示せたと思います。マイルリレーは明大新記録を出してくれたので、うれしかったのですが、元々こういうチーム編成を組めれば、関東インカレでも同様のパフォーマンスを出せたと思います。マイルリレーに関しては今後、もっと層を厚くしたいです。4継とマイルに川津は両方走ってくれて、ここまで川津と古俣が関東インカレ、日本インカレで頑張ってくれました。表面的にはその結果が目立つけれど、裏で支えてくれた佐田と竹尾(拓真・農4=明星)、4年生が本当にチームをまとめてくれました。最後のリレーの結果は、彼らの献身的なサポートがあったから。目に見えないけれど、そこを評価したいです」

――今大会で短距離全体としての大舞台は一区切りになりますが、来年度以降どのようなことを選手に期待していますか。
 「今年度は日本インカレ、来月の日本選手権・リレー競技で、4年生は引退します。そこで短距離と競歩は幹部が交代しますから、4年生はあっという間のシーズンで終わっちゃいますけども、彼らがしっかり(チームを)つくってくれました。特に短距離は関東インカレでもしっかり結果を残してくれて、みんなが調子の悪い中でも、最低限のレベルは上がっているので、今度はもっと飛躍できるようにしていければと思います。幸いに、4継のメンバーも3人残っているし、マイルリレーもいい新人が入ってきてくれているので、4継とマイルリレーは必ず決勝に残れるチームにしたいです。そこをベースに、個でも戦えるようにしたいと思います。個が強くなってリレーという考え方もありますが、今はリレーをチームとしてしっかり強化して、勝てるようなスカウティングもやっています。今までは4継が引っ張ってくれていたけど、マイルリレーも戦えるように。関東インカレも日本インカレも、決勝に残れるようにしたいなと思っています」

――ありがとうございました。

[武田隼輔]