(39)春季リーグ戦後インタビュー 大川慈英投手

2025.06.14

(この取材は6月7日、電話にて行われました)

大川慈英投手(国際4=常総学院)
――今季を総括していかがでしたか。
 「そうですね。良かった時はちゃんと抑えられていました。でも、決め切りたいところであまり決め切れなかったというのが、今季の反省ではありますね」

――今季は7完了を記録し、リリーフエースとして活躍されました。
 「ちゃんと抑えられている回は、それなりに理由があって。コントロールが甘かったこともありますが、しっかりと腕が振れていたり、自分のフォームで投げられていたというのが多くて、去年の秋とはかなり変わったなと思っています。成長したポイントです」

――印象に残っているシーンなどはありますか。
 「やはり早稲田との3戦目ですね。最後に同点に追いついてもらったのに、そこからまた点を取られてしまったというのが、一番の反省ポイントというか、きついところではありました」

――今季は調子や投球の質が上がっていたように見えましたが、ご自身の中で理想や目標の高まりはありましたか。
 「今季は無失点で行くという気持ちで入っていました。ボール自体も変わってきていたので『絶対にやってやる』という気持ちで。その分理想も高くなって、でもその理想にはまだ届かない投球をしてしまったかなと思っています。」

――ピンチの場面でも内野陣に積極的に声をかけるなど、マウンドでの振る舞いが印象的でした。
 「そうですね。今季は内野の守備面で、記録に残らないエラーみたいなものが多かった印象があったので。ちゃんと周りを見て、声を掛けてやった方がいいかなと思って、声かけをしていました」

――今季18回と3分の1を投げて四球は4。9回あたりの四死球は1.96個と非常に優秀な成績でした。
 「そうですね。ゾーンで勝負できるというのが、自分の中での強みだと思っています。どんどんストライクを取って、いいカウントで勝負するというのが今季のスタイルでした。フォアボールも(場面に応じて)あえて出したものが半分くらいあるので、ゾーンで勝負するという意味ではかなりいい結果だったと思います」

――立大3回戦では最速153キロ、3本のバットを折る場面もありました。手応えはいかがですか。
 「そうですね。『バッターを刺す』という投球ができていたので、そこは自分の目指していた投球ができて、すごく良かったと思います。バットを折っているのがほとんど右バッターのインコースなので、自分の球質的にシュート気味になる球がうまく使えていたと思います。(右バッターの内角直球はそうそう打たれない水準にあると思います)ちゃんと決まって投げ切れれば、あまり打たれる球ではないと思います」

――立大打線はリーグ内でも屈指の打力を持つ印象でしたが、実際に投げてみての印象はいかがでしたか。
 「本当に雰囲気のあるバッターばかりで、甘いところに投げたら打たれるという感じが常にあって、気を抜ける場面は一つもなかったと思います」

――監督の信頼も厚く『延長15回まで任せるつもりだった』とのコメントもありました。
 「自分もその時は何回でも投げてやろうという気持ちで投げていたので、その期待に応えたいと思っていました」

――早大戦での3失点、本塁打もありましたが、特別な思いなどはありましたか。
 「そうですね。早稲田を倒すためにやってきたので、しっかり倒すことができなかったというのは、かなり悔しいポイントです」

――投球内容としても、失投というわけではなく試合の流れもあったと思います。
 「そうですね。でも、その流れをちゃんと断ち切らないといけなかったので。打たれるところに投げてしまったというのは、本当に反省点です」

――優勝決定戦にはケガの影響で出場できなかったと思いますが、その時の思いを教えてください。
 「法大戦の最後で、もう足が駄目になってしまって。本当に最後の最後だったので悔しかったです。いろいろなことが巡り巡って優勝決定戦まで行って、やはりそこで投げたかったなという気持ちはあります。手術の次の日が優勝決定戦で、中継で見ていたんですけど、勝っていても見るのが苦しいというか。途中で逆転もあったと思うんですけど、そういう気持ちで見てしまって。応援はしていたんですけど、その場に居られない悔しさがかなり強かったです。(秋シーズンには)絶対に間に合わせたいと思っています」

――やはり『自分が勝たせたかった』という気持ちもありましたか。
 「そうですね。早稲田の3戦目で自分が打たれてしまったというのがあるので、その責任というか、借りを自分で返したかったというのが正直なところで、本当に悔しかったですね」

――今季を通算して、球速や回転数などのデータ面ではいかがでしたか。
 「MAXは変わらず155キロで、平均球速も速い日には152キロくらい出ていました。全体を通しても平均球速は150キロを超えていたと思うので、そこは本当に成長した点だと思っています」

――130キロ台で右打者方向に沈む変化球はチェンジアップでしょうか。
 「チェンジアップだと思って自分は投げています(笑)。(特徴は?)普通のチェンジアップより回転数が多くて、自分のチェンジアップは2000回転、だいたい2200回転くらいあります。普通のチェンジアップは回転数が少ないので、そこは特殊な球なんじゃないかなと思います」

――変化球に関しては、しっかりと腕を振って投げていた印象があります。
 「自分の中では〝抜けない〟というのがあって。球速を落とそうというよりは、腕をしっかり振って、最初はストレートに見せるぐらいの意識で投げています」

――変化球で最も手応えがあるのはどちらでしょうか。
 「今はチェンジアップが一番いいと思っています。正直、カーブもカットボールもかなり打たれているので。対左打者でも、チェンジアップが一番自信を持って投げられているかなと思っています」

――質の高いストレートと、少し特殊なチェンジアップが最強の組み合わせということですね。
 「そうですね。どちらかがしっかり投げられれば、ある程度は抑えられるという実感はあります」

――マウンド上での振る舞いに変化はありましたか。
 「そうですね。今季は大差の試合といった気を抜ける場面で投げることがあまりなかったので、本当に全試合すごく集中して投げることができたというのは、自分の中では成長です。締めないといけない場面で締め切れなかったという点はありますが、そういう場面で投げるための準備は、かなりしっかりとできていたんじゃないかなと思います」

――戸塚新監督の積極的な采配に注目が集まりました。
 「起用については『誰がどう』といったことを自分から言うつもりはないですが、練習ではグラウンドに最後まで残ってノックを打ってくださったり、ずっと練習を見てくださるので、監督がその采配を出すなら、何の悔いもないと思いますね」

――福原聖矢捕手(国際3=東海大菅生)についてもお聞きしたいのですが、ジェスチャーを含めリードで、かなり密にコミュニケーションされていた印象があります。
 「自分が投げている時は、後ろに逸らすこともなくて、リード面でもジェスチャーをたくさんしてくれました。声も、間(ま)を取るときなどにはたくさん掛けてくれたので、すごく投げやすかったです。本当に感謝しています。(私生活では)自分とは学部が同じで、1・2年の時は一緒に昼ごはんに行っていました。ちょっと変わったやつではあるんですが、それがリードにも出ていて(笑)。あまり見られないような攻めが面白いかなと思います」

――現在はケガもあり復帰は秋になるということですが、今季はドラフト上位指名へ大きく前進する内容だったと思います。
 「ボールの手応えはあったので、あとはケガを秋までにどれだけ治して投げられるかだと思っています。まだ安心はできないので、しっかりと治したいです」

――ありがとうございました