(38)混戦必至 伊勢路を懸けた大勝負へ/全日本大学駅伝予選会展望

2025.05.24

 11月に開催される全日本大学駅伝への出場権7枠を争い、1万メートル4レースで競う全日本大学駅伝予選会(全日本予選)。中大など強豪もひしめく中、3年ぶりに本選へ復帰することはできるだろうか。注目の戦いは今日18時にスタートする。

 重要なスタートを切る1組目を任されたのは室田安寿長距離主将(情コミ4=宮崎日大)と桶田悠生(政経1=八千代松陰)。室田はシーズン序盤こそ苦しい走りが続いたものの、4月下旬の日体大記録会1万メートルでは29分13秒の自己ベストを記録し、調子を上げつつある。キャプテンらしくチームに勢いを与える走りに期待だ。桶田は安定感が持ち味で、1万メートルのレースも2度経験済みとルーキーながら距離に対する不安は小さい。花岡寿哉(東海大)など実力者もエントリーしている1組目。着実な走りで好発進を狙う。

 例年スローペースになりがちな2組目だが、今年度はこちらも強力なメンバーが集まった。吉居駿恭(中大)、レマイヤン(駿河台大)といった最終組でも通用すると思われるようなランナーがエントリーされ、ハイペースは必至か。明大からは吉川響(文4=世羅)と石堂壮真(政経3=世羅)の世羅高校コンビが出走する。吉川は不調が続き、今シーズンは本領を発揮できていない。「状態はあまり良くないが、走れるようにはなっている」と徐々に本来の走りを取り戻しており、レースをうまくまとめたい。石堂は日体大記録会1万メートルで約4カ月ぶりにレースへ出場。自己ベストの29分16秒をマークし、一気に頭角を現した。3年生で唯一のエントリーとなった石堂の走りがチームの勢いを加速させる。

 昨年度は28分台決着となり、一段階レベルの上がる3組目にエントリーされたのは井上史琉(政経2=世羅)と成合洸琉(情コミ2=宮崎日大)。今シーズンの井上は確実に走力を伸ばしており、1万メートルのベストタイムも28分台に迫っている。成合は昨年度も全日本予選に出場し、1組目の中盤で大集団から抜け出す積極的な走りを見せるなど気持ちの強い選手だ。事前インタビューでは調子の良い選手にお互いの名前を挙げており期待ができる。成長著しい2年生コンビの好走で、チームを上位へ押し上げたい。

 最終順位を決める4組目は、例年各校のエースによる真剣勝負が展開される。明大を背負って出場するのは、堀颯介(商4=仙台育英)と森下翔太(政経4=世羅)の2人。堀は事前インタビューで7選手から好調な選手として挙げられており、コンディションは抜群。昨年度も4組目を任されたものの、中盤で失速し30着と苦しい走りに終わり、明大は逆転で出場権を逃した。悔しさを味わった堀は「(メンバーに)選ばれるのは当たり前。あとは勝負できるか」と強い覚悟でレースに挑む。森下も昨シーズン本来の実力を出し切れなかった選手の1人。直近のレース出場が少なく状態が不安視されたものの「絶好調ではないが調子は上がってきている」。1万メートルの自己ベストは明大トップの28分24秒と、好調時には他校の日本人エースとも張り合えるポテンシャルを持つ。リベンジに燃える2人の熱い走りでチームを予選突破に導きたい。

 大志田秀次駅伝監督が就任し、長距離部門は初の大一番を迎える。大学陸上界は急激な高速化が進んでいるものの、明大競走部・長距離部門も大志田駅伝監督のもとで着実に力をつけている。〝紫紺の襷プロジェクト〟初陣にふさわしいスタートとして、まずは昨年度果たせなかった三大駅伝への出場を決めることはできるだろうか。

[橋場涼斗]