(5)ルーキーインタビュー拡大版/新歓号特別企画

2025.04.02

 4月1日発行の「明大スポーツ」第545号の2、3面にて、今春から明大に入学する選手たちの特集を行いました。輝かしい成績を残してきたルーキーたちの思いに迫り、明大での4年間の意気込みを伺っています。今後のさらなる飛躍に大注目です。

 今回は3面に掲載しました、バスケットボール部 湧川裕斗(政経1=福岡大大濠)のインタビューです。
(このインタビューは3月14日に行われました)

――バスケ漬けの日々できつさはありましたか。
 「きつさはありました。でも自分はバスケットが好きでやっているので、きつくても試合で成長を実感したり、活躍できたら楽しいので自分が好きだから頑張れました」

――高校1年時から全国の舞台を経験しましたが、その経験はどのようにして生きてきましたか。
 「試合に出られたことはとても財産になりました。1年生の頃に全国大会にどういう思いで臨んだか、緊張はどのくらいだったかを実感しているので、学年が上がっていくにつれて後輩に直接伝えることができました」

――高校時代は試合前に兄・颯斗選手とどういう会話をされたか覚えていましたか。
 「バスケの時は兄弟というよりも、チームメイトとして接していました。だから、その時の相手のスカウティングについて話をしていました。特にセットプレーとか相手に対する対応などの確認をしっかり行っていました」

――2年に進級し、兄・颯斗選手の背番号13を引き継いだ時の心境はいかがでしたか。
 「颯斗以外にも本当に素晴らしい方が背負った伝統のある番号で、最初の頃は少し不安がありました。ですが、大濠のPGの象徴である13番を背負わせてもらった以上はやるしかないなという覚悟でした」

――2年生の頃を振り返っていかがでしたか
 「とても苦しかったです。2年生の時は、颯斗と比べられて悔しさがありました。ウィンターカップまでの試合でも結果を残せず、個人としても全く結果を残せていませんでした。ウィンターカップ優勝まであと一歩のところで負けてしまい、自分は何もチームに貢献できなかったのがとても悔しかったです。でもその悔しさを3年生につなげられたと思っています」

――『颯斗の弟』というのをどこで振り切れたなと思われますか。
 「3年生になってからです。日清(U-18日清食品トップリーグ2024)からメディアに取り上げていただいて、多くの人からたくさん言葉をかけていただいた時に少しは近づけたと思いました。特に最後のウィンターカップはスタッツで颯斗を超えることができたので自信になりました」

――颯斗選手とはどの点で差を感じていますか。
 「Bリーグの世界で颯斗はやっているので色々経験もしていて、自分はそこの部分はまだ足りないと感じているので、これからもっと自分と向き合っていきたいです。自分に何が足りないのか考えて、颯斗との差を縮めていかないといけないと思っています」

――ここだけは負けないというポイントはありますか。
 「シュート力です。3Pシュートは、ほかの選手にも負けたくないという自信はあります。高校時代に先生の方から『3Pシュートを決められるのだから、そこを軸にプレーの幅を広げていこう』とアドバイスいただいて、そこから3Pシュートの練習量を増やしました」

――厳しいマークの中でも3Pシュートを決め切れる秘訣(ひけつ)を教えてください。
 「自主練の時に、その場に止まって自分なりのリズムで打つというスポットシューティングをやっていたのですが、それでは実戦で課題も出てきました。その反省から動きの中で自分のリズムではない状態でシュートを打つムービングシューティングは練習していました」

――高校2年時のウィンターカップ2023では2回戦では35得点を記録されましたが、振り返っていかがでしたか。
 「調子が良かったというのが大きかったと思います。また、初めてマッチアップする相手だったから自分もあまりマークされないので、自分の得意な3Pシュートを思い切り打って決めることができました。特にあの試合は35点決めましたけど、決勝や準決勝ではスカウティングをされて活躍できなかったです。レベルの高い選手はその中でも点を取ることができるので、スカウティングされても止められない選手になりたいと思いました」

――ウィンターカップ2023決勝では3Pシュート成功率約1割と沈み、どう感じましたか。
 「何もできていないという思いが強くてとても苦しかったです。そこからこのままではダメだなとさらに意識が高まりました」

――3年時には主将を自ら志願されましたが元々やりたいという思いはありましたか。
 「特にはありませんでした。ですが、このままではダメだなと思い自分を変えようと思いました。自分は元々人を引っ張っていく性格ではないですが、新しいことにチャレンジすることは自分の成長にもつながると思い志願しました」

――主将になりどのような意識で臨まれましたか。
 「最初の頃はなかなかチームを引っ張れず、監督にたくさん怒られました。それから監督と話し合っていく中で、キャプテンとしてどのように臨んでいくべきかを学びインターハイの後から少しずつ行動が変わっていったなと思います」

――世代をけん引してきた中でのU-18日本代表落選の事実をどのように捉えましたか。
 「日本代表選手を倒してでも自分がなりたいという気持ちはあったのでとても悔しかったですが自分の弱さに気づくきっかけになりました」

――U―18日本代表の選手たちの活躍を見てどのように感じましたか。
 「選ばれなかった悔しさはありましたが、大濠のチームメイトもいるので活躍してほしいなという思いで見ていました。同じポジションの人は、次戦うときに倒してやりたいなと思いました」

――ウィンターカップでの二桁得点はいかがでしたか。
 「日清の時から監督とお話していて、自分は得点取りたいとなりすぎていて得点を挙げられない時期が続いていることに気づきました。『チームのためにどのように動けばいいかを考えれば自然と得点はついてくる』と教えてもらって、このことを意識し始めたので二桁得点の喜びはないです」

――ウィンターカップ2024ではどういうプレーを意識されましたか。
 「自分が得点を挙げられる場面ではしっかり決め切るとかが大事ですし。自分にマークが来たら味方にパスを出してアシストするというのは意識していました」

――決勝は強豪を倒して勢いのある鳥取城北でしたがその試合へのスカウティングはいかがでしたか。
 「勢いのあるチームで練習の時から雰囲気が違っていて、自分たちが受け身になったら絶対相手の勢いに飲み込まれるから受け身にならず、自分たちからどんどん攻撃していこうとなりました。点の取り合いになっても打ち負けないということを意識していました」

――決勝を振り返っていかがでしたか。
 「自分の得意の3Pシュートを止めてくるのはわかっていたことなので、相手のマークを見て判断しながらプレーしていました。ドライブやピックアンドロールで自分の得点の幅やアシストの幅を広げていくというのは自主練で取り組んでいました」

――優勝した瞬間どんな思いでしたか。
 「最初は正直実感が湧かなかったです。周りに期待されていた中で優勝できて達成感がすごかったです。3年間みんなで頑張ってきてよかったなとか、周りの期待に答えることができてよかったなという思いは強かったです。特に最後の1年は優勝することしか考えてなかったのでそこを実現できたのは本当に嬉しかったです」

――ウィンターカップ決勝での32得点の活躍で八村塁選手(レイカーズ)や介川アンソニー選手(島根スサノオマジック)に並ぶスタッツをたたき出しましたが振り返っていかがでしたか。
 「相手からのマークも厳しい中でこういうプレーができたのは去年からの成長もすごく感じました。自分は攻撃型のPGを目指しているので理想としているプレースタイルを試合でうまく発揮することができました。練習の成果が出せたなと思います」

――優勝されてご家族から何か言われましたか。
 「おめでとうとかは言われました。でも、まだここでバスケ人生が終わるわけではないので頑張れよと言われました。自分としても高校で全国制覇を目標にしていましたが、その先はBリーグや日本代表に入って活躍することなのですぐに切り替えて目標達成するためにしなければならないことを考えてやっていきたいと思いました」

――2月から広島ドラゴンフライズに練習生として参加されていますがいかがですか。
 「選手のレベルが違いました。一回一回の練習の質や体のメンテナンスとかウエイトトレーニングの種類など選手の質もですけど意識とかそういう面から差をとても感じました」

――特にどの選手が印象に残っていますか。
 「ドウェインエバンス選手(広島ドラゴンフライズ)です。体の使い方が上手くて、ドライブなどの技術も高いので元々どういうことを練習で取り組んでいるのか気になっていました。練習やトレーニングの仕方を見てみると、このトレーニングが試合のどの場面に使われるかなどを考えながら取り組まれていて、自分自身もそういうのを勉強できて本当にいい機会になりました」

――Bリーグの世界でまた兄とプレーしたいとかはございますか。
 「チームメイトとしてプレーしたいとは思っていないです。どのくらい颯斗に近づけたのかは実際にマッチアップして確かめたいと思いますし、勝負しないとどちらが勝ったかもわからない」

――明大に進学を決めた理由を教えてください。
 「文武両道を実現したいからです。高校時代はずっとバスケ漬けだったので大学では変えたいと思いました」

――すでに明大で練習されて同期とかとどういうこと話されましたか。
 「まだ練習で5対5とかはやっていないので、バスケについてはあまり話していないです。日常生活とかそういうことについて話して、仲良くなってきています」

――どの選手と仲良くなったとかございますか。
 「千保(銀河・情コミ1=開志国際)は面白いなと思いました。話していて楽しいなって感じです。千保は高校時代対戦したことがあって得点力がすごいなって感じました。体の使い方がうまかったです。日清の時に大濠は唯一開志国際に負けて今でも悔しさはあります」

――同期のメンバーを見て今後どういうプレーしていきたいとかございますか。
 「自分がPGとして選手それぞれの得意なことを色々聞いて、その長所を引き出していくのが自分の仕事ではあるので関わっていく中でよりコミュニケーションとって自分もみんなもレベルが上がっていければなと思います」

――明大には大濠の選手も多く在籍されていますが、交流とかはございますか。
 「鬼澤さん(伸太朗・国際3=福岡大大濠)や岩下さん(愛育・情コミ2=福岡大大濠)は高校の頃から仲良くさせてもらっていて、また一緒にプレーできるというのはとても嬉しいです。特に鬼澤さんはゴール下で体張ってくれてリバウンドとかそういうところをしっかりやられている方で本当にすごいなって思っています。」

――明大に練習参加してどの選手から影響を受けましたか。
 「高校時代に関わりはないですけど、大濠の先輩の針間大知(政経4=福岡大大濠)さんです。ドライブのキレ特に筋力の部分がとても鍛え上げられていて昨日一緒に1on1をしていただいたのですが、体の強さがすごかったです。ポジションは違いますがそういうところは吸収して自分のプレーに生かしていきたいです」

――ご自身としては明大でどういうところを磨いていきたいですか。
 「推進力のある選手を目指しています。やっぱりバスケットコートの中で声出すのはそうですけど、苦しい時にどうやって周りのみんなを鼓舞するかとかがこれから必要になっていくと思っています。だから、そういう選手がチームに欠かせない存在になってくると思うので、そういう選手になりたいなと思っています」

――広島の出身ですが、実家に帰ったら必ずされることはございますか。
 「自分は実家に帰ったら絶対お父さんのお好み焼き食べると決めています。これを食べると実家に帰ってきたなって感じがします。最近は、お父さんから作り方教えてもらって自分でも作ってみたりします」

――試合前のルーティンとかはございますか。
 「シュートの時の体の使い方とかをコーチに教えてもらっていて、体幹のトレーニングするやり方があるので、それを毎回やっています。自分はつりやすいのでそういうのは入念にやります」

――食事面で意識されていることを教えてください。
 「体を作るためにもしっかり食べないといけないので好き嫌いとかはしないで食べています。あと、高校の途中からお菓子やアイスは食べないようにしています。プロを本格的に目指すようになってからたくさんの人の食生活を調べたりしてみて、そういうのを食べている人はいないので自分もそれくらいしないとなと思って心掛けています」

――バスケットシューズのこだわりはございますか。
 「自分はポジション的にもよく動くので、動きやすさや、軽さを意識していてあとはうまく足に引っかかるかとかを気にしています。あと、他の人と被るのが嫌なので誰とも被らない派手目なやつや真っ赤なのを選んでいます」

――明大の目標を教えてください。

 「日本一になることです。日本一をかなえられる選手がそろっていますし、自分が上級生になるときに優勝を成し遂げたいです。下克上じゃないですけど、下から上を倒していきたいです」

――大学での個人目標をお願いします。
 「大学から自分はBリーグに行きたいという思いもあるので、高みをしっかり目指し続けていきたいです。目標にし続けたらおのずと自分のレベルも上がっていくと思うのでそれを目標に頑張っていきたいです。プロや日本代表になるのがずっと夢にしていたことでもあるのでかなえたいなと思っています」

――ありがとうございました。

[早坂春佑]

※写真は本人提供

◆湧川 裕斗(わくがわ・ひろと)広島出身、福岡大大濠高。183センチ・74キロ