(2)広島東洋カープ・野村祐輔コーチインタビュー拡大版/新歓号特別企画

2025.04.02

――大学時代にカープのスカウトさんもかなり熱心にコメント残されていたという当時の記録残っていますが、カープのスカウトさんからはどのような声を掛けられていましたか。
 「大学時代は(スカウトさんと)直接話すことはないので、会話はしてないのですが、もう本当にしょっちゅう明治のグラウンドまで足を運んでくださって、見てくださっているのはわかっていました。(4年時の)5月ぐらいに(ドラフト)1位で取るというふうなことが新聞に出て、こんなに早くから公言してくれるのはなかなかないことなので、やはりうれしかったです」

――大学4年間、安定した成績を残されていました。東京六大学は毎回相手も同じで、研究もされると思いますが、どういうところで抑えていこうと思っていましたか。
 「そうならないために、やはりたくさん練習したというのもあります」

――特に磨きをかけた部分はありますか。
 「好不調の波を作らないことです。いい時はいい、悪い時は悪いではなかなか試合にならないので。エースである以上は土日で決着がつかなかったら、月曜日にも自分の番が回ってきて、どうしても勝たなければいけないので、そういったところで練習は積んでいました」

――プロに入ってすぐに感じていたことはありますか
 「これも大学入学した時と同じで、入ったからには1年目から、すぐ一軍で戦えるようにという気持ちでした。周りのレベルを見て、もちろん高いところというのは分かっていたので、そこに負けないようにという気持ちでした」

――プロ野球人生で印象に残っている対戦した選手はいらっしゃいますか。
 「高校の先輩の金本(知憲・元阪神タイガース)さんと対戦したことです。高校時代から憧れの先輩でした。年齢も離れていますし、まさか対戦できるとは思っていなかった方なので対戦できてうれしかったですね」

――2016年から2018年にかけては3連覇し、中心選手として活躍されていました。当時を振り返っていかがですか。
 「優勝できるということは滅多にできることではなくて。それが3回も続いて、本当にうれしかったですし、楽しかったです」

――ウエートトレーニングではなく柔軟、しなりで投げるという投球スタイルというのはいつからになりますか。
「大学です。高校の時はウエートというのはなかなか主流というか、流行っているわけではなかったので、あまりないですけど、大学に入って、だんだん(ウエートトレーニングを)する人も出てきて、パワーでやるという選手もいました。ですが自分はそうじではなくて、自分の体の動きでパワーを生み出す、力を伝達させるというところを重視したという感じです」

――大学に入ってからというのは、何かきっかけがあったのでしょうか。
 「きっかけはトレーニングをいろいろ勉強して、トレーナーの方に教えてもらったりして、いろいろ知識をつけて、いろいろやりました」

――今の時代特にアナライザーという役職もどんどん増えてきて、数値的な視点で野球を捉えるというのが主流になっています。数値的な視点は現役時代にどの程度気を配っていましたか。
 「選手の時はあくまでも自分のバロメーターというか、自分の好不調を知るものなのかなとは思っています。投げているボールの数値に関してはそうだったが、配球は勉強させてもらいました。割合だったり、いろんなパターンがあったり、そういうところは勉強になりました」

――今の投手においてどういった数値を重要視していますか。
 「投げるボールに関してはあまり気にしないです。ピッチャーはやはりキャッチャーとコミュニケーションを取りながら、(投球の)組み立てであったり、そういうところで抑えていくのが野球だと思うので。そういったところが大事になってくるのではないかなと思います。ボールの数値は必ずその数値が毎回出せるとは限らないので、それが出なかったら抑えられないでは、話にならないので。どういう状況であれ抑えるのがマウンドに上がっている以上、そうでなければいけないと思うので配球であったり、そういったところが大事かなと思います」

――NPBの世界に進んでから改めて感じられる東京六大学野球の魅力はありますか。
 「六大学のOBはプロ野球界ですごく多いですし、縦の関係もそうですし、横の関係もすごく出てくるところだと思うで、六大学の厳しい戦いの中をみんなで切磋琢磨(せっさたくま)してやってきたので、プロ野球界の中でも、そういうところというのはあると思います。やはりすごいところだったなと思いますね、東京六大学は」

――明治の後輩で、現在カープの上本(崇司・平25商卒、現広島)選手と森下(暢仁・令2政経卒、現広島)選手のことを気にかけていますか。
 「もちろんその後輩もそうですし、他大学の同級生とかも気にかけています」

――特に交流がある選手はいらっしゃいますか。
 「頻繁に連絡とかそういうのはないですが、会ったら喋ったり、声を掛けあったり、声を掛け合わなくても、気にしてみたりというのがあります。この人というのはないですが、自分の同級生は見たりしています。広陵の後輩もそうですし、明治の後輩もそうですし。みんな気にしています」

――大学野球や、アマチュア野球界では〝エース〟と呼ばれるピッチャー、主力投手の負担が課題になっています。野村コーチが考える先発投手に求められる調整力や大事にするべきところを教えてください。
 「アマチュア野球というのは、プロ野球と違ってすごく期間が短いです。六大学だと大体2カ月、高校野球だとトーナメントで1回負けたら終わり。やはりそういうところが戦いの場なので、一つの勝ちがやはりすごく大事というか、プロ野球ももちろん一つ勝つことがすごく大事なのですが、凝縮しているというか。なのでそこでエースを張るというのは、なんとしても勝たなきゃいけないという意地が大事なのではないかなと思います」

――プロ野球では211試合連続先発登板という記録を残しました。改めてその先発投手の対するこだわりややりがいはどういうところを感じられたか。
 「やはりゲームをつくる、ゲームメークするというのはすごく自分の中ではやりがいのあることでしたし、任されるという責任がすごくかかるポジションでもあるので、すごくやりがいのあるポジションだなと思います」

――野村さんにとって〝エース〟という言葉はどのようなものですか。
 「一番は信頼です。信頼を得た人がなるポジション。こいつに負けたらしょうがないとみんなから思ってもらえる。思ってもらえるというのは、言い方は良くないですが、思ってもらえるような存在というか、それがやはりエースだと思う。そう思ってもらうためには、そういう努力であったり、そういったものが、周りにしっかり見せつけるわけではなくて、そういう自分の頑張りが自然と伝わるというところが、自分から伝えるわけではなくて、伝わっていくということがやはり大事なのではないかなと思います」

――六大学の選手にエールをお願いします。
 「六大学はすごく華やかなところですし、たくさんの人から注目してもらう。そういったところで野球をやらせてもらうというのはすごく恵まれていると思うので、その恵まれた環境で自分の大好きな野球を一生懸命楽しんでもらいたいですし、そこで頑張ったことがその先の人生に役立つと思うので、本当に一生懸命一日一日を大事にやってもらいたいなと思います」

――卒業後に明治のつながりはどういう時に感じられましたか。
 「どこに行っても明治の卒業生の方っていらっしゃるなっていうイメージがあります。よく遠征先とかでも『私明治です』とか『僕明治です』と声を掛けてくださる方もいらっしゃいますし。そう思うとやはりすごく〝明治愛〟というのを、皆さんから感じられますし、野球部であったり、いろんな部活に応援してくれる大学なのではないかなと思います」

――4月から新生活を始める明大生に向けてアドバイスをお願いします。
 「いろんな人間関係をやはり大事にしていってもらいたいなと思います」

――どのような気持ちでその貴重な大学生活の4年間を過ごしてほしいと思いますか。
 「大学を卒業した先にしたいことであったり、何か目標がある方はやはりそういうのを目指してもらってもらいたいですし、そういうのがまだ見つかっていない方はいろんな友達であったり、いろんな方と出会って、いろんな話だったり、人間関係を深めていってもらって、その後に自分が何をしたいのか、そういったものを見つけていってもらいたいなと思います」

――ありがとうございました。

[野原千聖、橋本太陽、堀口心遥]

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