
(144)【第543号特別企画】九州学院高・禿雄進監督インタビュー 後編
今回、関東学生連合チーム(関東学連)に選出された溝上稜斗(商4=九州学院)。今回は高校時代の恩師であり、今年度で九州学院の監督を務めて37年になる禿雄進さんにお話を伺った。
——昨年度、ホクレン・ディスタンスチャレンジ(ホクレン)で5000メートル自己ベストを出しましたが、その理由の1つに、禿監督が応援してくれたからとおっしゃっていました。その時のエピソードがあれば教えていただきたいです。
「うちの生徒を連れて行っていたのですが、たまたま溝上と泊まった宿舎が一緒でした。 グラウンドで応援していたのですが、5000メートル13分台を狙うと言っていた中、13分台で走っていたので、良かったです。終わってから来てくれて『ありがとうございました』と言ってくれたので『良かった良かった』と。そういう感じでした」
——高校時代での中で溝上選手に関して一番印象に残っているエピソードがあれば教えてください。
「特別エピソードはないかな。感情をあまり表に出すタイプではなかったからそういうエピソードはありませんが、しっかりしていてとにかく真面目な子だったという印象はあります」
——禿監督が思う溝上選手の強みはなんだと思われますか。
「やはり心が非常に安定しているということが一番ではないかと思います。悪い時でも、逆にいい時でも気持ちが安定していました。彼の場合はその部分が競技につながっているのではないかと思います」
——大学の溝上選手の走りは見られていますか。
「実際に見たのは去年のホクレンだけなのだけれども、高校時代に比べて体つきも走りも非常に力強くなったなという印象を受けました」
——溝上選手は大学3、4年で大きく成長されたイメージがありますが、その要因はどうお考えですか。
「やはり上級生としての自覚が彼の中に強く生まれてきたのだろうと思います。『自分たちが最終学年だから、チームを勝たせるんだ』ということが素直に思えるタイプの選手だと思います」
——溝上選手へのアドバイスがあればお願いします。
「いいことではあるのですが、真面目さが故に真っすぐ考えすぎるところがあると思います。もう少し、大ざっぱな気持ちになればいいかなと」
——大学でも、溝上選手と連絡を取り合っているのですか。
「試合の度に結果を報告してくれるので、激励はします」
——先日の学生連合の選考会で、1万メートルで29分台を出しましたが、それについてはいかがですか。
「あと一息で28分台だから、28分台を出してもらいたいというのはありますが、ここにきて自己新が出てくるというのは、まだ本人にとてもやる気があり、一生懸命やっているからなので、非常にいいことだと思います」
——明大としては出場できませんでしたが、学生連合として走る溝上選手に期待することがあれば教えてください。
「明大の一員としても走るわけですから、学校の名誉や一緒にやってきた仲間のためにも悔いのない走りをしてもらいたいと思います」
——溝上選手自身は今後実業団にもいかず就職するというお話をお伺いしています。箱根が最後の競技になると思うのですが、そこに関してはいかがですか。
「中学校から大学までの10年間、本気で競技に取り組んできた集大成が箱根になると思います。その思いは本人が一番分かっていると思うから、ぜひ硬くならずに、今持っている自分の力を十分に発揮してもらいたいです」
——溝上選手にメッセージをお願いします。
「箱根という全ての大学生長距離ランナーの憧れであるステージに立てるわけですから、自分自身の集大成と、明大競走部の代表として最後まで走り抜いてもらいたいです。みんなで応援しているので、ぜひ声が分かったら手でも上げてもらいたいと思います」
——ありがとうございました。
[原田青空]
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