
(76)特別編 早大突撃インタビュー!大田尾竜彦監督「早明戦は挑戦の場」
早明戦100回記念大会直前ということで、4シーズン目を迎えた早大・大田尾竜彦監督にインタビューを行いました。昨シーズンの振り返り、今年度のチームの特徴や早明戦に対する思いなど、お伺いしました。(この取材は10月25日に行われたものです)
――昨シーズンを振り返るといかがですか。
「チームが成長をする、できそうなタイミングがいくつかあったんですけど、 そこで流れに乗り切れなかったりしたので、やっぱり自分たちが思ったような結果ではなかったかなと思いますね。(その中でも)収穫というか、学生たちがもっと主体的にやっていかないといけないっていう意識が芽生えたことがすごく大きいかなというふうに思いますし、下級生も結構試合に出ていたので、負けた先輩の思いを背負って自分たちが組織を変えないといけないっていうふうに強く思ったのが非常に大きいですかね。あと、気付きとしては、フィジカルのところをもう一度見つめ直さないと、日本一ってなかなか難しいんじゃないかと思いましたね」
――大田尾監督が目指す今年の早大ラグビー部の理想像を教えてください。
「ゲームの中で、選手たちがやっぱり自分たちも今までやってきたことを信じるような状態であり、ディフェンスにおいてプライドを持って練習したことを出せているっていうのが一番理想かなと思います。(現時点で)自分たちのやっていることに自信を持ってやっているというのは結構手応えがあって、特にディフェンスとセットプレーのところが非常に大きな手応えを今持っているところです」
――監督4年目の思いを教えてください。
「本当に過去3年間いろいろな学生がいて、結果的にいい思いをせずに卒業させてしまったというところで、なんとか今年の佐藤健次(スポ4)の代にいい思いをして卒業させたいなという気持ちはすごく強いですね」
――佐藤主将の代は1年生から見ているということで、思い入れは強いですか。
「本当にコロナの真っただ中に入ってきて、なかなか世の中のルールとして一緒に生活をするなとか、すごく窮屈なスタートを切った代でした。なので、本当にこの子たちをどうにかしないとなという思いがすごく強くて、その中でもやっぱり1年生からいろんなことで成長していく彼らを見ていて、すごく思い入れがあるなというのが印象ですかね」
――佐藤主将はどのような主将ですか。
「やっぱり明るいし、でも厳しさや優しさもあって。学生の中でも感じているのは、たぶんこの人は真剣にラグビーを追求して、かつチームのことも真剣に考えている、本気でやっているなっていうのは伝わっているんじゃないかなと思います」
――大田尾監督も大学時代に主将を経験されているということで、佐藤主将のすごいなと思うところを教えてください。
「ラグビーに取り組む姿勢がやはり学生のレベルでなくて、次のステージを目指している人間の取り組み方ですし、それをやはりこう強要はせずに、でもこういうふうなこともあるよっていうことを周りに共有はできるので、すごくバランスの取れた人間かつキャプテンだし、本当に僕が学生の頃よりも健次の方が本当にすごいなと思います」
――昨年度と比べて、今年度のチームの特徴を教えてください。
「特徴としては、ディフェンスなど体を張ることに対してプライドがあるという、これが全チーム共通しているのが昨年と違うのかなと思っています。昨年はそのカテゴリーごとの色っていうのはあったんですけども、早稲田として今年はやっぱり体を張ることと、本当にディフェンスで相手にトライをさせないっていうことに対するプライドっていうのは、全チーム共通してあるのが特徴かなと思います」
――FWの強みを教えてください。
「まずスクラムで後手を取らないというところと、 ワークレートが高い人間がそろっているので、総合力は高いかなと思います。スクラムに関しても、スクラムで崩されてかなり後手を踏むというのがよくも度々あるので。とにかく時間をかけてもいいから、ここは強化しないといけないなと思っています。早明戦でもやはりここは勝負になってくると思いますし、やはり後手を踏まないようにはしたいなというところでそういう準備はしています」
――BKの強みを教えてください。
「個々の役割がはっきりしているところがいいかなと思っています。もちろん全員が満遍なくいろんなことができるBKっていうのももちろん魅力的だと思うんですけど、今年に関してはやはり個人の役割っていうのはかなりはっきりしているところがいいかなと思います。あとは、今年から積極的にキックを取り入れているので、そこを今うまく使えているかなという風に思います」
――対抗戦前半戦を振り返っていかがですか。
「今被トライ数が0で、そこはやっぱり自分たちのプライドとして持てたのはすごく大きいなという風に思っていますし、やはり成果として選手たちの自信を得ることができていると思いますね。あとは、やはりケガ人が何人か出たんですけれども、代わりに新しい選手がいて、その選手たちがしっかりとしたプレーをしてくれたことっていうのが非常にセンスを上げるという意味ですごく大きいです」
――ルーキーの活躍が目覚ましいです。
「1年生は本当にこう、非常にこう良くて、今出ている城央祐(スポ1)、田中健想(社1)、植木太一(スポ1)も出ましたけど、それ以外も本当に1年生がいいんですよね。本当にチームの活性化という意味では、1年生のこの頑張りっていうのは非常にチーム活性化しているので、ジュニア選手権もそうですし、Cチームもそうですし、チームが本当に新しい風が吹いている感じはしますね」
――この秋から服部亮太(スポ1)選手がスタンドオフとして出場しているということで、服部選手についてはいかがですか。
「服部については、やはり高校時代からキック力は相当目見張るものあったし、今のラグビーのトレンドを考えると、やはりどれだけ敵陣でボールを持っていたりするかっていうのはすごく重要なので、特にキックですよね。そこは期待通りかなと思います。あとは、ふわっとしているんですよね(笑)。だから変なプライドがないので、先輩たちとも接しやすいというか、なじむのも早いのですごくのびのびやっているのが印象的ですね」
――日本代表に選出される、日本代表合宿に参加される選手がいるということはチームにどのような影響を与えていますか。
「日本代表に行くと、やはり社会人の方と一緒にやりますよね。グランドにおいて、パフォーマンスという意味で、特別これがすごいということは実はそこまで僕たちが求めている気づきではなくて、それをプロの選手たちは身体的な準備もそうだし、頭の準備もそうだし、メンタルの準備もそうだし、どのような高い準備をすることでそのブランドでのパフォーマンスが出ているのか、どういうコミュニケーションをすると組織としてまとまれるのか、組織をドライブさせることができるか、そういうものを身に付けて帰ってきてほしいなという風に思っていたんですよね。やっぱり行って帰ってきたみんなの話を聞くと、準備がすごいというふうに言っていて。グラウンドに戻ってきても、それを落とし込みしてくれているので、そこは我々としても日本代表に感謝したいなと思いますね」
――大田尾監督にとって早明戦とはどのような試合ですか。
「早明戦は、早稲田からするとやっぱり挑戦なんですよね。本当に間違いなく早稲田より体格が勝っていて、身体能力が高くて、高校時代にすごく活躍した選手がそろっていて、そこにやはり対抗できるために1年間、4年間をかけて自分を磨いて、挑戦の場だと思っているんですかね。本当にやっぱりお互いにとって特別な試合だと思うし、早稲田にとっては一人一人が試される場なんだろうなと思います」
――大田尾監督が大学時代の早明戦はいかがでしたか。
「1年生で出られなかったんですけど、1年生の時に早明戦で勝利した4年生たちの姿が本当に印象強く残っています。でも、下馬評は完全に明治だったんだけど、そこでやっぱり先輩たちのプライドというか、それを本当に垣間見ることができて、これが早稲田なんだなと思った記憶はあります。あとは、少なくとも4万人くらいの観客が来ていたので、学生の時って何もわからないから、早明戦ってこういうものだろうと思ってやっているんですけど。でも、やっぱり指導者になって思うことは、大学の1つの対抗戦の中に国立でやるぐらいのお客さんを呼ぶ試合というのは本当にすごいなと思います」
――明大のチームの印象を教えてください。
「秋になって、一人一人が持っているポテンシャルを全面に出して、非常にアグレッシブにプレーをしているなという印象が強くて。特に3列と両センターは相当他の大学からしたら脅威ですし、後ろのバックスリーもスピードある選手がそろっているので、本当にいいチームで、確かに明治らしくやっているなっていう印象ですね。あとは、福田大晟(商4=中部大春日丘)くんと 秋濱悠太(商4=桐蔭学園)くんの2人は警戒しています」
――早明戦のカギを教えてください。
「やっぱりコンタクトの部分でお互いこだわってやっているので、そこでやっぱりどっちが上回っていくかだと思っています」
――早大のキーマン選手を教えてください。
「やっぱり僕たちは田中勇成(教育3)と野中健吾(スポ3)かなという風に思いますね。田中はやっぱりその福田くんや木戸(大士郎・文4=常翔学園)くんといういいランナーたちをしっかりとタックルして止めることができるかっていうのと、野中にしても秋濱くんと平(翔太・商4=東福岡)くんと非常に素晴らしい両センターに対してしっかりとした勝負ができるかっていうところが大きなポイントかなと思っていますね」
――早明戦ではどのようなところに注目してほしいですか。
「華麗なことは何1つないと思っていて。本当に泥臭く自分たちのプライドを懸けて、自分たちのゴールラインを死守する姿っていうのが、今年の早稲田の象徴だと思っているので、そういう姿を見てほしいなと思います」
――早明戦への意気込みをお願いします。
「本当に僕らだけの手では絶対作れない100回目の早明戦で、勝敗っていうのはその時の運もあるし、どうなるかっていうのは本当にわからないと思うんですけども、やはり100回目の早明戦にふさわしい姿を見せないといけないっていうのは本当にあるので、そこを早稲田らしく明治さんに挑んでいきたいと思います」
――ありがとうございました。
[井垣友希]
◆大田尾 竜彦(おおたお・たつひこ)平16人卒
現役時代はスタンドオフとして活躍。早大卒業後は当時のヤマハ発動機ジュビロ(現静岡ブルーレヴズ)に所属し、トップリーグ通算150試合以上に出場。現役引退後はヤマハ発動機ジュビロでコーチを務め、2021年度より早大ラグビー部監督に就任した。
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