(70)The final showdown ~奪還への戦い~ 安田昂平「チームメートのおかげ」

2024.11.21

「今年こそ絶対に優勝を取りにいく」。木戸大士郎主将(文4=常翔学園)が今年度のスローガン『奪還』に込めた意味だ。関東大学対抗戦(対抗戦)、そして日本一『奪還』へ。栄光を勝ち取るため闘球へと捧げた学生生活。最後の戦いに向かう4年生に明大での4年間とラストシーズンへの意気込みを伺った。10月26日より連載していく。

第27回は安田昂平(商4=御所実)のインタビューをお送りします。(この取材は10月22日に行われたものです)。

――4年間を振り返ってみるといかがですか。
 「いい先輩に恵まれたなっていう印象がすごくあります。1年生の頃は同じフルバックに雲山(弘貴/令4政経卒・現レッドハリケーンズ大阪)さんがいて、雲山さんがケガをしていた時は教わりながら自分がAチームとして試合に出させてもらっていました。模範となる選手が近くにいたので、すごく成長できた1年でした。2年生は、まだ下級生の立場の中、主力で出させていただいたのですごくありがたかったんですけど、やっぱり周りの先輩がすごすぎた分遠慮していた部分も少しありました。でも、3年生からは(ウイングになって)気が楽になりました。みんなから頼ってもらえた分、ボールもいっぱい回ってきてあれだけトライを取れたので、チームメートのおかげかなっていうふうに思います」

――現時点で今シーズンを振り返るといかがですか。
 「ケガが多いので、ちょっと老いを感じています(笑)。でも、ケガをして周りが少し見えてくるようになって、いろんな人に声掛けたりするように意識しているかなと思います。あと、ケガしてMRIを撮りに行く時も、学生スタッフの國元(駿太朗・営4=明大八王子)や北村(美貴・農4=桐蔭学園)が車を出してくれて、頭が上がんないですし、ありがたいです」

――一番印象に残っている試合を教えてください。
 「去年の(全国大学選手権)決勝です。初めて自分も決勝の舞台に立って、雪の中やったんですけど、特に3年生の時の4年生がすごい思い入れが強くて。みんな本当に仲良かったんで、なんとしてでもこの人たちを優勝させてあげたいなっていう気持ちがすごい強かったのと同時に、やっぱり負けて悔しかったっていう気持ちが交差して、一番印象に残った試合かなと思います」

――一番印象に残っているトライを教えてください。
 「去年の早明戦の二つ目のトライです。右端でトライしたんですけど、トライ取った後に上向いたら、すごい明治のファンの人がバーンってなっていて、それはうれしかったっていうか気持ち良かったです。その時に撮ってもらった写真も、 伊藤耕太郎(令6商卒・現リコーブラックラムズ東京)選手が後ろから抱きついてきているシーンの写真も、結構自分の中で宝物です」

――明大ラグビー部に入部して感動したエピソードはありますか。
 「今年の自分の誕生日は帰省していたんですけど、ちょっと過ぎてから後輩たちみんなが部屋に入ってきてくれて、盛大に祝ってくれたっていうのは感動しました。あんまり後輩に慕われてないかなっていう感じはあったんですけど、ほんまに数十人来てくれてうれしかったです。ケーキも持ってきてくれて(笑)」

――同期の雰囲気はいかがですか。
 「4年生になってから、一段とまた良くなったんじゃないかなと思います。キャプテンの木戸(大士郎・文4=常翔学園)をはじめ、みんな頑張っているなっていう、去年とはまた違って殺伐とはしてないけど、みんな集中力あって取り組んでいるなっていう印象はあります」

――寮生活での思い出はありますか。
 「1年生の時だと、江藤良(令4文卒・現横浜キヤノンイーグルス)さんがいた209です。 伊藤耕太郎さんと僕と斎藤誉哉(令5文卒・現埼玉パナソニックワイルドナイツ)さんと良さんの4人部屋で、毎回夜になると映画を見たり、ゲームしたりみたいなのはすごい印象に残っています。2年生の時の、丸尾祐資(令5商卒・現NECグリーンロケッツ東葛)さんと林哲平(令6文卒・現中部電力)さんと僕、楠田知己(政経3=東海大仰星)の4人部屋は結構強烈でした。携帯に100本ぐらい動画があって、みんなでふざけていました。あと、みんなで大理石を頑張って敷いたのを今でも覚えています(笑)。その大理石を敷いた306という部屋を僕が今部屋長で受け継いでいるので、今も大理石です。めちゃくちゃ冷たいです(笑)」

――特にお世話になった先輩と期待を寄せる後輩を教えてください。
 「特にお世話になったのは、林哲平さんと廣瀬雄也(令6商卒・現クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)さんです。あの2人は特にお世話になったような気がします。哲平さんは2年前から本当にずっと一緒で、ニコイチで一緒にいたので、ラグビー外のところですごいお世話になったなっていう印象です。先輩というよりかはなんかもう友達みたいな感じで(笑)。逆に雄也さんは先輩っていう感じで、自分の中で哲平さんは友だちで、雄也さんは兄貴って感じでした(笑)」

――チーム内に尊敬している人教えてください。
 「秋濱(悠太・商4=桐蔭学園)は自分と真逆の性格で、自分の持っていないものを全部持っている人だなって思いますね。ラグビーだけなんですけど、器用やし、融通が利いてめっちゃ安定している感じじゃないですか。顔からして(笑)。自分って結構リスク上等でいっちゃうタイプの人間なので、ラグビー面では秋濱は尊敬しています。私生活だと、木戸は結構ストイックに取り組んでいます。それに感化されて、自分もウエートに行ったりする機会があるので、私生活の面では木戸です」

――安田選手にとってスローガンである『奪還』の意味はどのようなものですか。
 「優勝するっていうのが一番の意味だと思うんですけど、明治が築き上げてきた地位やプライドみたいなものを取り返すっていう意味も、この『奪還』の中には込められていると思います。ラグビーだけの面じゃなくて、いろんなファンの方の思いもあって『奪還』っていう言葉がつくられたと思うので、すごく覚悟のあるスローガンです」

――残りのシーズンへの意気込みをお願いします。
 「4年生らしくきれいに終われればいいかなと思います!」

――ありがとうございました。

[井垣友希]

◆安田 昂平(やすだ・こうへい)商4、御所実高、181センチ・88キロ
安田選手の最近始めたことは、寝る前に蜂蜜をスプーン一杯飲むこと! 「美味しくはないっすけど、飲んだら体にいいって聞くので(笑)」