(68)The final showdown ~奪還への戦い〜 國元駿太朗「ありがとうを一番に伝えたい」

2024.11.19

 「今年こそ絶対に優勝を取りにいく」。木戸大士郎主将(文4=常翔学園)が今年度のスローガン『奪還』に込めた意味だ。関東大学対抗戦、そして日本一『奪還』へ。栄光を勝ち取るため闘球へと捧げた学生生活。最後の戦いに向かう4年生に明大での4年間とラストシーズンへの意気込みを伺った。10月26日より連載していく。

 第25回は國元駿太朗主務(営4=明大八王子)のインタビューをお送りします。(この取材は10月26日に行われたものです)。

――入部前と入部後でスタッフの仕事への印象の違いはありましたか。 
 「大変っていうのは聞いていたんですけど、こんな大変なんだっていうのはありました。やっぱりプレーする側とサポートする側で、感覚もそうだしやらないといけないことも全然違うんだなっていうのは感じました」

――目標とする人や尊敬する人はいますか。
 「ラグビー部で言ったら小林瑛人さん(令5法卒)と不京大也さん(令6営卒)。もうこの2人ですね。(小林)瑛人さんにはラグビー面で、すごく明大ラグビー部の学生スタッフとしてのあり方とか、選手への伝え方やコーチへの接し方とか、そういうのを一から全部教えていただきました。実際に教えていただいたことをすごく体現されていた方なので、とても尊敬しています。不京さんとは中学校の頃からずっと一緒で、彼のストイックなところとかの人間性の部分を尊敬しています。自分を形成する上で大事な2人だと思います」

――明大ラグビー部のスタッフとしてのあり方とはどのようなことを学びましたか。
 「プレーはしない立場だけど、同じエンブレムを着けている以上はそこに責任を持たなきゃいけないし、自分の行動や発言がチームに及ぼす影響はあるんだよっていうことをすごく伝えてもらいました。やっぱり意識してないと後輩に伝えることはできないと思いますし、その部分は言葉でも感じましたし、行動からも感じる部分は多かったです」

――4年間のターニングポイントはありますか。
 「2年生のシーズンが終わった時かなと思います。次の年からずっと先輩だった瑛人さんがいなくなっちゃって、自分がBK学生コーチの一番上になるので、無意識にやらなくちゃいけないっていう自覚も芽生えたし、3年生になって上級生としてチームを引っ張らなきゃいけないっていうのも同時に芽生えたと思うので、そこは結構ターニングポイントだったなと思います。そこから自覚と責任感を改めて1段階高く持つようになりました」

――春から成長した部分はありますか。 
 「今年度ヘッドコーチが彬夫さん(高野・平18商卒)に変わって、チームへのアプローチというかコーチングや練習内容とかも、やっぱり去年とは少し違うやり方になってきて。この3年間自分なりにやってきたことがあったので、そこのちょっとした葛藤みたいなところは最初ありました。でも、信じることが大切だなと思って、彬夫さんのことを信じることもそうだし、彬夫さんを軸にやっているコーチング、そしてそのコーチングを受けて成長しようとしている選手たちを信じていかないといけないなと思って、この半年間やってきました。自分が成長したのかは分からないんですけど、いろいろなことを信じることと、今までやってきたことと新しいことを融合させる際の、両方のいい部分をうまく掛け合わせるところは、うまく融合させられるように成長できたのかなと思います。彬夫さんが来て新しいラグビーの考え方とかも教わったので、ラグビーの知識の部分は半年間でかなり成長できたと思っています」

――学生コーチとして意識していることはありますか。
 「伝え方という部分はすごく意識しています。例えば三つ伝えなきゃいけないことがあるとしたら、何から伝えたら三つとも意識してくれるのかなとか、同じ大学生だからこそ考え方も多少似ているところはあると思うので、そういったところを大学生なりに伝えること。そこは僕にしかできないというか、この学生コーチという立場でしかできないことだと思います」

――選手とのコミュニケーションが大事になってくる立場だと思いますが、コミュニケーション面で意識していることはありますか。 
 「よく聞くことです。喋り過ぎても相手が聞けているか分からないので、選手たちが何 を一番違和感に感じてたり、何を聞きたいのかを分からないとアドバイスできないので。しっかりとよく聞いて、的確なことを言えるようするっていうことは意識したかなと思います」

――國元さんが大切にしている言葉や座右の銘はありますか。
 「二つあって、一つは『一事が万事』です。これは父からの教えなんですけど、本当に細かいことが全部つながってるから、どんなに小さいことでもしっかりと取り組むことが大事だということ。父に小さい頃から言われていて、ずっと自分の中で大事にしてる言葉です。もう一つは『為せば成る』です。何事もやってみなくちゃ分からないですし、やらなくて後悔するよりやって後悔してやろうと思います。やってみたからこそできたっていう経験も人生の中であったので。この二つを大事にしていること多いです。常に意識している二つの言葉だと思います」

――同期はどのような学年だと思いますか。
 「一人一人考えを持っていて、でもそこに間違いとかは別になくて、それをみんなが分かっている状態。もし間違いがあれば指摘できる仲だと思いますし、逆に意外と人に干渉しなかったりとか空気を読んだりとか、個性豊かなちょっと変な学年です(笑)」

――改めて國元さんにとってスローガンである『奪還』にはどのような意味が込められていると思いますか。
 「よく思うのが本当いいスローガンだなって思っていて。今までのが悪いとかじゃなくて、スローガン自体に成し遂げたいこと、目標の意味を込めることで常に意識すると思いますし、みんなそこに向けて頑張ろうっていう気持ちも芽生えやすい。コーチの人たちもどんどん意識付けをしてくれているので、本当にいいスローガンだなっていうふうに思います。僕はパソコンのデスクトップを『奪還』のページにしたりしていて、見るとやんなくちゃいけないなっていうふうに思いますね」

――選手や学生スタッフの方たちに伝えたいことはありますか。
 「僕はプレーしない立場だし、学生コーチであったり主務の立場としてからであれば、言いたいこととか多分言ってると思っていて、その中で何言ってるんだって思われるかもしれないんですけど、本当に頑張れっていうことを伝えたいです。もう一戦一勝、本当に頑張ってほしいっていう気持ちがあるので、他人事みたいで嫌なんすけど、もう頑張れとしか言えないです。スタッフには感謝しかないですね。僕は結構自由にやっているので、それをうまく助けてくれているのはいつも彼らスタッフ陣だし、多分これから2、3カ月間、わがままも言うし怒ることもあるかもしれないけど、とにかくありがとうを一番に伝えたいなって思います」

――ありがとうございました。

[久保田諒]

◆國元 駿太朗(くにもと・しゅんたろう)営4、明大八王子高
暇があったらプロ野球を見ることが多いという國元主務。「ずっと読売ジャイアンツのファンで試合を見に行くこともあります。クライマックスシリーズでのまさかの3連敗は衝撃でした(笑)」