
(60)The final showdown ~奪還への戦い~ 行松真「縁に恵まれた4年間」
「今年こそ絶対に優勝を取りにいく」。木戸大士郎主将(文4=常翔学園)が今年度のスローガン『奪還』に込めた意味だ。関東大学対抗戦(対抗戦)、そして日本一『奪還』へ。栄光を勝ち取るため闘球へと捧げた学生生活。最後の戦いに向かう4年生に明大での4年間とラストシーズンへの意気込みを伺った。10月26日より連載していく。
第21回は行松真(営4=甲南)のインタビューをお送りします。(この取材は10月23日に行われたものです)
――明大ラグビー部に入った理由を教えてください。
「まず指定校推薦で合格して、最初は学生スタッフとして入部を考えていたんですけど、学生スタッフは試合に出れないし、どれだけ可能性が低くても挑戦することに意味があるので、母にも背中を押してもらって、選手としての入部を決めました」
――4年間を振り返っていかがですか。
「苦労したんですけど、その中でもいろいろな人とコミュニケーションをとって、仲良くさせていただいた先輩もいっぱいいたので、縁に恵まれたなと思います。1年生の時は周りがみんなスポーツ推薦で、実力差がすごくて自分はここにいていいんだろうかと思って辛かったです。2、3年の時はほとんどケガで、この高いレベルでやり続けるっていう難しさを実感して、存在価値をすごい見失った2年間だったなと思います。今もケガをしているんですけど、4年生では、試合に出ることが全てではないと思って、自分の存在価値っていうのを見出せる瞬間はあったのかなと思います。自分の中では整理して、コーチとか監督にもそういうふうに言葉をもらって、なんとか奮起してチームの『奪還』のために貢献できるように日々模索しています」
――一番印象に残っている試合を教えてください。
「2年生の春のC戦です。初めてCチームのスタートとして出場して、自分自身の調子もすごく良くて、これから上り調子になっていくんじゃないかなという兆しが見えました。周りからすごい評価されて、コーチからも褒めていただいた試合だったんですけど、その次の週にケガしてしまって、そこから半年ぐらいラグビーができなくなって、そういう意味でも印象に残っています」
――4年間で成長できたところや変わったところを教えてください。
「忍耐力がついたなと思っています。寮生活は共同生活なので、自分の勝手が利くわけでもないですし、加えてラグビーのことも、試合も出場なかなかできない、自分がプレイしたくてもケガでできないという環境に置かれることにイライラして、存在価値がないのかなと自分で追い詰めることもあるんですけど、そこを自分で処理する忍耐力は自分の中ではついたかなと思います。物事の考え方でいうと、試合に出れない時も、なんで出れないのかと自分で考えていたら、努力が足りていないんのではないかと一辺倒な考え方になってしまうんですけど、いろいろな人の意見を聞くことがすごく大事で、一歩引いて自分を見ることも大切なんだなと学びました」
――部での思い出を教えてください。
「寮の部屋が、いつも楽しい部屋を転々としていたので、そこでいろいろな先輩と楽しい時期も苦しい時期も乗り越えていました。特に中山律希(令6政経卒・現静岡ブルーレヴズ)さんとは1年間同じ部屋で、本当にお兄ちゃんみたいな感じで悩み事も全部相談して苦しい時も応援してくれて、逆に律希さんがしんどい時も支えて、すごく思い出深いです」
――チーム内で尊敬する選手や後輩で期待を寄せる選手はいますか。
「同期で言えば、みんな尊敬しているんですけど、金勇哲(営4=大阪朝鮮)ですかね。首のケガで1年間全くラグビーができなくなっていたんですけど、そこから彼自身トレーニングで追い込んでる姿を見ていたので、紫紺に袖を通して、試合に出てるっていうところを見て、すごいなと思います。後輩は同じ部屋の朝島燎夏(法3=正則)、伊藤利江人(商2=報徳学園)です。スタンドオフはタレントの選手が多い中で頑張っているので期待しています」
――改めてご自身にとって『奪還』はどのような意味を持ちますか。
「例年以上に部員の心の中にあるし、一つの指標として存在している言葉なのかなと思っています。去年も準優勝、ジュニアも準優勝で、あと一つのところで、単純な言葉かもしれないですけど、力強い言葉があることで、部員の中に強い意識が生まれるのかなと思います」
――残りのシーズンの意気込みをお願いします。
「ケガが治って少しずつ試合に出れるようになるので、試合に出場するだけじゃなくて、残りのシーズンは4年生がこのチームに何を残せるかが大切になってくると思います。なので、全力で『奪還』に貢献できるように日々努力を積み重ねていきたいと思います」
――ありがとうございました。
[木曽琴乃]
◆行松 真(ゆきまつ・まこと)営4、甲南高、164センチ・71キロ
仲の良い選手は同じ経営学部の金勇選手!「ずっと一緒にいます(笑)」
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