(46)The final showdown ~奪還への戦い〜 金昂平「僕にとってラグビーは全て」

2024.11.01

 「今年こそ絶対に優勝を取りにいく」。木戸大士郎主将(文4=常翔学園)が今年度のスローガン『奪還』に込めた意味だ。関東大学対抗戦(対抗戦)、そして日本一『奪還』へ。栄光を勝ち取るため闘球へと捧げた学生生活。最後の戦いに向かう4年生に明大での4年間とラストシーズンへの意気込みを伺った。10月26日より連載していく。

第7回は金昂平(政経4=大阪朝鮮)のインタビューをお送りします。(この取材は10月26日に行われたものです)

――明大ラグビー部を選んで良かったところはありますか。
 「良くも悪くもドライというか、練習をやらなかったら試合には出られないとはっきりしていたことが自分的には良かったです」

――4年生になり気持ちの面で変化はありましたか。
 「3年生までは上級生がいたので別に自分がしっかりしなくてもみたいなところがありましたが、4年生は上に誰もいないし下に3学年もいて、しっかり頼られる先輩でいたいなと気持ちが変わりました」

――4年生として意識していることはありますか。
 「プレーの面ではミスしないことや、自分が1、2年の時に見ていた4年生のプレーを思い返して後輩に背中を見せられたらと思っています。あとはチームに勢いをつけられるようにしたいというのが一番大きいです。生活面では後輩の子が気を遣って生活しづらいとか部屋にいづらいとかが嫌なので、部屋のみんなで一緒に動画を見たり、一緒の話題で部屋4人で盛り上がったりとか下級生と積極的に自分主導でコミュニケーションを取ってあげることを意識しています」

――4年間でうれしかったことを教えてください。
 「やっとAチームに定着できて春シーズンに試合のMVPに選ばれたことがうれしかったです。春は2回選ばれて法政の時は正直俺やろと思っていたところもありましたが、帝京の時選ばれた理由が僕が今年入ってからこだわっていたもので、ちゃんと見てくれているんだなというのがうれしかったです」

――4年間でつらかった時期を教えてください。
 「3年生の時はつらかったです。3年から試合に出たいと思って2年のオフシーズンはほぼ遊ばずに実家に帰ってずっと1人で練習したり、いろいろ準備したりして頑張りました。しかし、春の新チームでスタートする時にすごく熱が出て、扁桃腺が腫れすぎて水も飲めず息をするのも苦しいみたいなことが1ヵ月ぐらい続きました。体重が16キロ減り、当時のヘッドコーチに『もういらん』と言われて、それからもうええやとなったことがしんどかったです」

――その時期はどうやってモチベーションを回復させましたか。
 「今思い返せばしんどかったんですけど、その当時は別にしんどいとか思っていなかったです。そう思わせてくれたのは、寺下功起(文4=東福岡)くん、青木大輔(法4=明大中野)くんなど他にもずっと友達がいてくれて、自分がどんなに沈んでいても週末一緒に出かけて、しんどいのを忘れさせてくれていました。自分一人だと本当に終わっていました」

――4年目のシーズンで大活躍ですが、その原動力を教えてください。
 「親(の存在)です。ずっと自分に期待してくれて、こっちの生活費を向こうが持ってくれているので、それを裏切りたくなかったということが一番大きかったです」

――4年間全体振り返っていかがですか。
 「山あり谷ありって言いますけど、谷しかなかったです。悪いことの方が圧倒的だったんですけど、最後4年生になって試合に出られて友達もできて、結果的には良かったので、そのための3年間があったからその3年間にも感謝しています。今思えば4年間全部楽しかったです」

――特にお世話になった先輩や期待を寄せる後輩を教えてください。
 「お世話になった先輩は全員ですけど、ずっと気にかけてくれたのは葛西拓斗(令5商卒・現東芝ブレイブルーパス東京)さんです。よくしてくれたのは、去年の廣瀬雄也(令6商卒・現クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)キャプテンと、同じ部屋の床田淳貴(令6情コミ卒・現日野レッドドルフィンズ)です。超絶期待する2人の後輩が、楠田知己(政経3=東海大仰星)と伊藤龍之介(商2=国学院栃木)です。この2人は同じ部屋で一緒に過ごす時間が多かったんですけど、ラグビー面でも人間的にもどんどん成長してほしいなと思います。龍(伊藤龍)は試合にも出ていますしU20にも選ばれて、楠田もU20選ばれて頑張っていて、自分はそういうとこ行ったことないので尊敬しています。楠田くんは今、ケガでラグビーはしてないんですけど、自分にできることはないかと部屋で頑張っている姿もずっと見ているし、そういう面ではこの2人には期待しています。期待というか、このままいったら2人はでかくなると思っています」

――後輩たちに伝えたいメッセージをお願いします。
 「しんどくてやりたくないことでも、楽しめるように。楽しめるようにというのも、ただがむしゃらにやるんじゃなくて、自分がどういうとこで楽しめるのかを見つけて考えて、大学は4年間しかないから後悔のないように楽しんでほしいです」

――金昂選手にとってラグビーはどのような存在ですか。
 「僕にとってラグビーはもう全部です。小さい頃からずっとラグビーしていて、小さい頃からの出来事も全部ラグビーつながりで、ラグビーがなかったらもうなんもないので」

――金昂選手にとってスローガンである『奪還』はどういったものですか。
 「目標を決める以上トップ狙わないとトップにはなれません。ずっと自分らはチャンピオンになってないので、それを取り返しに行くぞという感じです」

――これからの試合への意気込みをお願いします。
 「全部勝って、優勝できるように頑張ります」

――ありがとうございました。

[岩本文乃]

◆金 昂平(きむ・あんぴょん)政経4、大阪朝鮮高、178センチ・86キロ
 8月が誕生日の金昂選手。今年は早めにプレゼントをお願いしてスピーカーをもらったそう。「僕が風呂から部屋に帰ってくると、後輩20人くらいが部屋で待っていてくれて、プレゼントと一緒に『おめでとうございます』と言ってくれたことがうれしかったです」