
(45)The final showdown ~奪還への戦い〜 北村美貴「一番夢中で楽しい」
「今年こそ絶対に優勝を取りにいく」。木戸大士郎主将(文4=常翔学園)が今年度のスローガン『奪還』に込めた意味だ。関東大学対抗戦(対抗戦)、そして日本一『奪還』へ。栄光を勝ち取るため闘球へと捧げた学生生活。最後の戦いに向かう4年生に明大での4年間とラストシーズンへの意気込みを伺った。10月26日より連載していく。
第6回は北村美貴マネジャー(農4=桐蔭学園)のインタビューをお送りします。(この取材は10月22日に行われたものです)。
――マネジャーになろうと思ったきっかけを教えてください。
「最初は大学に入って何か一つのことに熱中したいって思っていたからというのがすごく大きかったです。今まで小中高でバスケを10年間やってきて、一つのことを頑張らないと私は他も頑張れないみたいな性格なので、何か一つのこと頑張りたいというところからまず体育会を目指そうと思っていました。何でラグビー部にしたかというと、私の高校が桐蔭学園高で、床田淳貴(令6情コミ卒=現日野レッドドルフィンズ)さんの代の花園を見に行ったこともありました。バスケは5人で試合やるんですけど、ラグビーは15人で一つのボールをつなぐみたいなところが私の中ではすごくかっこよく見えて、ラグビーって面白いなみたいなところから入りました」
――入部当初を振り返るといかがですか。
「入部した時は不安しかなかったというのが大きかったです。私は150センチで一番小さいんですけど、他の選手は180センチぐらいあって、まず身長高いのが怖いというか、圧が強いし。自分もずっと共学で育ってきたから大丈夫だろうって思っていても、やっぱりしゃべりかけるのは怖いし、自分の行動一つ一つに意識しながら頑張って、とりあえず全力でやって1年間が気づいたら過ぎていました(笑)」
――4年間を振り返るといかがですか。
「特に4年間、直接的に勝利に貢献できないような立場ではあるけれども、私たちのミス一つでも間接的にチームの勝利とか勝敗に関係しているっていう考え方は、すごく大事にしながら4年間やってきたなというのは思います。例えば、マネジャーが試合終わりに配る選手の補食というのを用意するんですけど、試合が終わってから30分以内に食事を摂取しないと、筋肉が回復しないというのがあるらしくて。もしその準備や注文を忘れてしまったら、その選手のリカバリーが追い付かなくて、次の試合に影響してしまうかもしれないとかまでを考えると、私たちがやっていることでミスが起きてしまったら、最終的には『奪還』につながってくると思います。一つ一つ注意深くやっていこうねっていうのは私自身も思うし、しっかり後輩の子にも伝えていかないとなっていうのはすごく思います」
――入部してよかったところを教えてください。
「これほど夢中になってやり続けられるものを見つけられる環境を、大学生のうちに見つけられてよかったなと思います。就職活動していて、どの会社もいいなってすごく思うけど、今ラグビー部でやっていることが一番夢中で楽しいから、社会人になって今以上に楽しそうと感じられるものがまだなくて。これ以上のやりがいってないのかなって思っているぐらい今が楽しいです」
――入部して印象に残っていることを教えてください。
「印象に残っていることは、去年の早明戦でアナウンスをやらせてもらったことです。本当に一般の学生ではやらせてもらえないようなことだし、大役を学生に任せていただいて、3万1000人のお客さまに声を届けられて、今でもYouTubeに『校歌斉唱です』みたいなことを言った声が入った動画も残っているので、そういうのを振り返ったりすると、本当にこの部に入ってこんな経験やらせてもらえてありがたいなっていうのはすごく感じました」
――同期の存在や雰囲気はいかがですか。
「いい意味で本当に仲間だと思ってくれているんだろうなとはすごく感じます。普通にみんなしゃべりかけてぼけたことを言ってくるし、今日の朝も私が水を冷水機で入れようとしたら金昂平(政経4=大阪朝鮮)が『みきすけ、俺が入れてあげんで』って言ってくれて。冷水ボタンの方を押したと思ったらそれが全部熱湯だったとか(笑)。さっきは応接室のゴミを掃除するために私が掃除機かけていたら、1階の廊下担当の山田歩季(政経4=京都成章)がほうきでやんなきゃいけないのに『ちょっとその掃除機で1階の奥までやってきてや』とかばかにしたことを言ってくれたりしてうれしいです(笑)。みんなラフに接してくれて、いい意味で本当に仲間として捉えてくれているのはうれしいなって思います」
――選手と関わる上で意識していることを教えてください。
「意識していることは、自分の業務がどんなに忙しくても、できるだけ元気で笑顔で接することです。選手が『マネジャーしんどいよね』みたいなことを言ってくれることもあるけど、一番しんどいのは頑張ってくれている選手で。選手が頑張って明治ラグビー部っていう地位をつくり上げてくれているから、マネジャーがいれるみたいな環境だと思うので、選手がどれだけしんどそうでも、私から話しかけたりみたいな感じでわけ隔てなく話しています。いい意味でみんなとしゃべるっていうのは、すごく意識して話しているからこそ、みんなもフレンドリーにしてくれるかなって感じでありがたく思っています」
――特にお世話になった先輩や尊敬している先輩を教えてください。
「大宮修平さん(令6理工卒)、井上就介さん(令6理工卒)は理系で忙しい中でも本当に心が広くて。『何でも挑戦していいよ。失敗したら僕たちがサポートするから、まず好きなことやりな』みたいな感じで言ってくれるようなタイプの人たちだったので、3年生ぐらいまでSNSのことやらせてもらっていたんですけど、やりたい企画もたくさんやらせてもらっていました。迷ったら相談してみたいな感じで、その都度相談に乗ってくれる2人だったので、本当にありがたかったです。あと、不京大也さん(令6営卒)は熱心な男で、友達みたいな感じで相談も乗ってくれるし、接しやすくいい先輩でした。あとは、小林瑛人さん(令5法卒)は尊敬しています。本当に忙しい中、主務もやって学生コーチもやって、年が2個離れているにも関わらず『最近どう?』など体調面を気にしてくれたり、ここはもっと気を付けなきゃいけないよとか、こういう文章はもっとこういう言い回しにしなきゃいけないよなど、そういう細かいところまでしっかり見てくれていたのが、私もずっと心がけなきゃいけないなってすごく思います。選手にも、本当に11月〜1月という忙しい時にも何か聞かれたらすぐ相談乗っていたし、みんなの就活のことも見てくれていました。本当に気遣いもできるし、前も向けるし、あそこまで私はなれないけど尊敬している先輩です」
――チーム内で尊敬するのはどなたですか。
「いっぱいいるんですけど、今思ったのは2人いて、1人が金勇哲(営4=大阪朝鮮)で 2人目が大士郎(木戸・文4=常翔学園)くん。金勇哲は2年生ぐらいの時に首の大ケガをして、そこから地元に帰ってリハビリをして今紫紺のリザーブだけど、そこまでたどり着いているのは本当に彼の努力だろうし、ラグビーを続けてくれるのが私の中ではすごくうれしいです。彼には尊敬しているというか、その努力が垣間見えて、そこからまた頑張ってほしいって思える選手です。大士郎はキャプテンだから頑張んなきゃみたいなところも彼の中にあるんだろうけど、去年は準優勝したっていう経歴とかもあるから、今多分重圧がすごいと思います。特に夏合宿も、最初の2戦の筑波大や天理大に負けちゃったけど、そこでもちゃんと立て直して京産大に勝てました。『勝てて良かった』みたいなことも言っていたから、彼の中でもいろんなところに押しつぶされそうになっている瞬間もあるんだろうけど、その中でもちゃんとチームを引っ張ってくれて、彼がキャプテンで良かったなっていうのは思います。特に自主練も、午前中の9時から12時の自由時間でも、彼は寝ないでウエート行くのが毎日のルーティンであるらしくて。やることはしっかりやっているところはさすがだなっていうのは思います」
――後輩へのメッセージをお願いします。
「全体に向けては、まずはケガをせず、広い心を持って最後まで頑張ってほしいですね。あとはサポートしてくれるスタッフもいるから、ちゃんとそこに向ける感謝もしっかり忘れずにちゃんと頑張ってください!」
――改めて北村さんにとってスローガンである『奪還』の意味はどのようなものですか。
「『奪還』はそのまま意味に込められている通り、ちゃんと優勝を勝ち取るみたいなところはまず一つとしてはあると思います。二つ目の意味としては、私たちと携わってくれた、例えば1年生の時の4年生までの先輩と、応援してくれるファンの人たちに恩返しをするみたいなイメージがあると私の中では思います」
――ありがとうございました。
[井垣友希]
北村 美貴(きたむら・みき)農4、桐蔭学園高
同期で仲が良かったのは天童梨紗副務(文4=白百合学園)と小坂光里学生トレーナ(文4=駒込)!2人の存在は大きかったそう! 「本当にお互いしんどくなったらいつも相談したり、ご飯も行ったり『お互い頑張ろう』って励ましてました(笑)」
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