(43)The final showdown ~奪還への戦い〜 春日悠平「仲間のおかげで頑張れた」

2024.10.29

 「今年こそ絶対に優勝を取りにいく」。木戸大士郎主将(文4=常翔学園)が今年度のスローガン『奪還』に込めた意味だ。関東大学対抗戦(対抗戦)、そして日本一『奪還』へ。栄光を勝ち取るため闘球へと捧げた学生生活。最後の戦いに向かう4年生に明大での4年間とラストシーズンへの意気込みを伺った。10月26日より連載していく。

 第4回は春日悠平(政経4=明大中野)のインタビューをお送りします。(この取材は10月20日に行われたものです)

――4年間を振り返っていかがですか。
 「この4年間でラグビーに向き合う時間がたくさん増えたなと考えていて、またそれとは別に、ラグビーだけじゃなくて人として成長することができた4年間だったかなって感じています。高校までは実家暮らしだったこともあって、自分のことばかり考えていたんですけど、大学に入って4人部屋の寮生活で、常にラグビーのことを考え続ける時間の中で、自分のことだけじゃなくて他人のことであったり、仲間のことだったり、常にチームのことを考えながら行動するっていう意識付けができるようになってきて、 そこで人間として成長できたのかなと実感しています」

――明大ラグビー部に入部した理由を教えてください。
 「明治のラグビー部に入部した理由は、小学生の頃から親に早明戦によく連れて行ってもらっていて、その時に憧れました。なぜここまで明治大学に憧れたかっていうと、父親が昔早稲田でプレーしていて、そこで父親の母校である早稲田大学を倒して、自分自身も憧れである早明戦に出たいなっていう強い思いから入部を決意しました」

――4年間で一番つらかったことを教えてください。
 「長期のリハビリを要する膝のケガを繰り返してしまって、なかなか復帰できていないことが一番の苦労だったかなって思っています。今も実際ケガをしていて、まだ復帰もできてないんですけど、今ちょっと光が見えてきて、あと2週間後ぐらいでようやくチームの練習に復帰ができるので、頑張っているところです」

――ケガについて詳しく教えてください。
 「2年生の早稲田新人戦の練習で、右膝の靭帯(じんたい)をケガしてしまって、そこから3年生の春には復帰できたんですけど、(3年時の)夏に右膝の半月板をケガしてしまいました。そこでまたリハビリ期間で3ヵ月ぐらい経ったんですけど、そのリハビリ期間中にもう1回(右膝を)ひねってしまいました。それが3年生の10月なので、去年のまさしくこの時期にまた2回目の前十字靭帯を切ってしまって、2回目の前十字靭帯手術で一緒に半月板も縫合手術しました。今年の7月に復帰予定だったんですけど、6月頃に縫った半月板のところをまたケガしてしまって(復帰時期が)延びてしまって、今に至ります」

――つらい時期をどのように乗り越えましたか。
 「2回目の(ケガの)時は正直「終わったな」っていう気持ちはあったんですけど、周り先輩であったり、同期の仲間に支えられて、もうちょっと頑張ろうっていう気持ちに変わりました。長期のリハビリなので、自分に今できることは何かって考えた時に、ケガ人メンバーでお互いに自主ウエートを誘い合ったり、ケガ人以外の同期の仲間にも自主ウエート行こうと誘われて、モチベーションを高く持ちながら、もう一度頑張ろうっていう気持ちで頑張ってきました」

――4年間ラグビー部で活動し続けられた要因を教えてください。
 「やっぱり仲間のおかげかなって感じていますね。ケガする前はもちろん常に『上に行こう』っていう気持ちが強くてやっていたので、突然の膝の大ケガを経験してからは、モチベーションを保つのが非常に難しかったです。正直言うと何度も辞めたいなっていう気持ちはあったんですけど、仲間が目標に向かって練習や試合を頑張っている姿を見て、自分も頑張ろうっていう気持ちになって、チームのために何か一つでも貢献したいなっていう強い思いが芽生えて、ここまで頑張ることができたので、仲間の存在は大きいかなって感じています」

――後輩の存在はいかがですか。
 「僕にとって後輩は、特に部屋っ子はそうなんですけど、家族のような存在かなって感じています。ゲームを一緒にしたり、昼寝をしたり、部屋っ子とは過ごす時間が一番多いです。あとはプライベートの話や学校のこととかも隠し事なしで話している仲なので、家族のような存在なのかなって感じています。プライベートでもカフェなどよく行ったりします」

――明大ラグビー部に入部して良かったと感じる時はありますか。
 「監督がいつも口酸っぱく言っている『凡事徹底』っていう言葉があって、当たり前のことを誰もできないくらい徹底して行うっていう意味なんですけど、人として成長する上で一番大切なものを監督から常に発信してくれるチームっていうのが自分にとって良かったなと感じています」

――春日選手にとってスローガンである『奪還』の意味はどのようなものですか。
 「自分が大学1年生の時に入ってからこれまで、 明治大学は帝京大学に3連覇されていて優勝していません。今年101周年っていうこともあって、新しい時代のスタートだと思っているので、ここからまた何十年と続いていく中で、やっぱり明治は常に優勝し続けないといけないチームだと思っています。王座を奪還する、王座に帰らなければいけない、っていう意味があると思っているので、その『奪還』というスローガンに自分はそういった思いを持って取り組んでいます」

――残りの期間に向けての意気込みをお願いします。
 「まだ自分はプレーでチームに貢献する場面というのが全然できていないので、まずは一刻でも早くチームの練習であったり試合に早く復帰して、何か一つでも多くチームに貢献したいなって思っています。貢献する上で、ただ試合や練習をするだけでなく、やはり何か一つでも、後輩に何か残したいなって考えているので、最後まで全力で、残り3カ月という少ない期間ですけど励んでいきたいと思います」

――ありがとうございました。

[晴山赳生]

◆春日 悠平(かすが・ゆうへい)政経4、明大中野高、179センチ・92キロ
松本光貴(令6商卒・現三菱重工相模原ダイナボアーズ)とは1年時から大の仲良しで、今も親交があるそう。「ケガでモチベーションがダウンしている時も松本さんは本当に支えになってくれました。直近なんですけど、聖蹟桜ヶ丘のカフェに行って、寿司を食べてから河川敷でくっちゃべっていました(笑)」