増子風希 明大を担うエースへの道

2024.10.08

 800メートルから駅伝まで様々な種目をこなすオールラウンダーの増子風希(政経1=学法石川)。高校時代はインターハイの福島県予選で800メートルの大会記録を塗り替えた。野心に溢れた期待のルーキーは大学陸上で何を思うのか。増子の原点と将来に迫る。

兄との思い出と絆
 「兄のようになりたいと思った」。中学3年生の兄が東北大会で優勝する姿を見たのが、陸上競技の世界へ足を踏み入れたきっかけだった。当時小学4年生だった増子は、地元の陸上クラブに入り、着実に実力を伸ばしていった。中学3年時にはジュニアオリンピックに出場し、自身初の全国入賞。高校では、福島県が誇る陸上の名門校・学法石川高に進学し、数々の成績を残した。様々な大会を経験してきた増子は「兄から走り方に対するアドバイスを受けていたし、今でも自分のフォームの変化を教えてくれる」と明かす。その力強い走りの背景には、兄のサポートがあったのだ。

大学陸上への思い
 高校の最終学年で臨んだインターハイ。本命の1500メートルでレース中の位置取りがうまくいかず、不完全燃焼で予選敗退を喫した。気持ちを切り替えて臨んだ800メートル決勝でも残り300メートルで先頭集団との距離を引き離され、最終的に7位でレースを終えた。「自分的には全力を出し切れた。でも決勝に進んだなら、もっと上位に食い込みたかった。残念だったし、悔しかった。自分にとって全国大会に出場するのは通過点。全国優勝を常に目標にしていた」と話し、大学での目標として関東学生対校選手権の制覇と箱根駅伝への出場を挙げた。「今まで様々な人に支えられてきた。陸上で結果を出すことが自分にできる恩返しなので、結果を通して感謝の気持ちを伝えたい」と今後の活躍を誓った。

逆境を乗り越えて
 増子は、大学の入学前に靭帯(じんたい)を痛め、春まで十分に練習ができていなかった。そして「今まで走れていたのに、ケガの影響で思うように走れなくなってしまった」と苦しい現状を吐露する。しかし「早く体を戻し、今年度の秋には調子を戻したい」と意気込んでいる。今もなお高みを目指し続ける精神力は並大抵のものではない。紫紺のジャージーを身につけた勇姿が見られる日はそう遠くないはずだ。今後、どんな走りを見せてくれるのか、その姿から目が離せない。

[武田隼輔]

◆増子風希(ましこ・ふうき)政経1、学法石川高。冷静な性格で、普段からあまりプレッシャーは感じない方だという。170㌢・56㌔