萩井耀司 日本一のスタンドオフへ

2024.10.04

 高校日本一の司令塔が明大の門を叩いた。巧みなパスを強みとするスタンドオフ萩井耀司(商1=桐蔭学園)。3年時にはチームの司令塔として桐蔭学園高を全国制覇へと導いた。春シーズンから紫紺デビューを果たし、チームMVPも受賞した才器が明大に勝利をもたらす。

地元を離れ桐蔭学園高へ
 萩井はコロナ禍の影響で目標としていた中学生最後の大会が中止となり、自分を見失っていた。「1回ラグビーの試合を見た瞬間に今のままじゃダメだなと思った」。挫折から立ち直り日本一のスタンドオフになることを目標に掲げ、地元大阪府を離れ神奈川県の強豪・桐蔭学園高に進学することを決めた。「吹田ラグビースクールの先輩の矢崎選手(早大)に誘われて、ここで日本一を目指したいなと思った」。

悔しさをバネに花園制覇
 1年時からメンバーに選ばれ、順調に思えていた高校ラグビー生活だったが、2年時に東海大相模高に敗れ、桐蔭学園高は8年ぶりに花園予選敗退という屈辱を味わう。「話し合ったことをやろうと決めていたが、自分たちのペースに乗れず、うまくできなかった」。しかしその悔しさをバネに萩井と桐蔭学園高はさらに成長を遂げる。「負けてから練習していた選手もいましたし、本当に気持ちも強いチームで、(2年時の敗戦が)日本一に向けていい原動力になっていたと思う」。翌年の花園予選決勝では東海大相模高に雪辱を果たし、2年ぶりに地元大阪の花園ラグビー場に帰ってきた。勝利を重ね、決勝戦に駒を進め迎えた相手は前年度王者・東福岡高。試合中にチームの司令塔の萩井は、キックなどでプレーを止めずに攻め続ける全継続という大胆な決断を下す。「全継続は練習でしかやってこなかったが、相手が嫌がることを考えたとき継続だろうなと思った」。試合は3点差で接戦をモノにし、栄冠を手にした。「ギリギリで勝つ試合で、嬉しいな、頑張ったなみたいな快感を得られたので良い決勝戦だったと思う」。

周囲の支えを受けて前へ
 萩井は取材中に家族やコーチへの感謝を何度も口にした。「母には食生活の面でも体のことを考えてご飯を出してもらっていた。父には試合を見に来てくれた時にアドバイスをもらっていた」。周囲の支えも受けて、コロナ禍や高校2年時の花園予選敗退での挫折を乗り越えた萩井。明大進学後は春シーズンから紫紺のジャージーに袖を通し、春季大会全試合に出場した。「メンバー争いに食い込んで、優勝に貢献できるように頑張っていく」。スーパールーキーは、明大でも日本一のスタンドオフを目指し前へ進む。

[佐藤比呂]

萩井 耀司(はぎい・ようじ)商1、桐蔭学園高。パスタが好きな萩井選手。「試合前日は絶対にパスタを食べていました」。173センチ・80キロ