(11)シーズン直前インタビュー 佐藤駿

 長いオフシーズンを越え、ついにシーズンが開幕する。新たに明大の一員として氷上を舞う選手もいれば、今シーズンで引退となる選手もいる。新たなシーズンの始まりを前に何を思うのか。本インタビューではそれぞれの選手の思いをお届けする。

(この取材は9月18日に行われたものです)

第7回は佐藤駿(政経3=埼玉栄)のインタビューです。

――ロンバルディア杯でイタリアに行ってらっしゃったと思うのですがいかがでしたか。何かおいしいものは食べましたか。
 「そうですね、周りに何もなかったんですけど近くにピザのお店があったので、優真(鍵山優真・中京大)と佳生(三浦佳生・政経1=目黒日大)と3人でご飯に行ったりしていました。ほとんど一緒のやつを頼んで共有してみたいな。ピザを2個ぐらい頼んで分けて、あとはパスタとかをおのおのっていう感じです。(気に入った種類のピザやパスタはありましたか。)クワトロフォルマッジっていう四つのチーズが入っているやつで、それが一番おいしくて毎食それと、名前はよく分からなかったんですけど、定番っていうおすすめのパスタがあってそれを食べました」

――今夏、練習を頑張られたこととは思いますが楽しかったことはありましたか。
 「合宿がかなり多くて、結構1人の合宿だったので1人の時間だったりとか、合宿以外の部分でリラックスして過ごしたところが楽しかったことかなと思います」

――明大の合宿もあったと思いますが印象に残っていることはありますか。
 「なかなか明治の人たちは集まる機会がなくて、合宿で久しぶりに集まって初対面の人とか初めて喋る人とかも多かったんですけど、大縄したりリレーしたりとかして、明治のスケート部の仲というかそういったものはより一層深まったのかなというふうに思っていて、合宿もすごく楽しかったです」

――明大スケート部フィギュア部門には今シーズンから三浦選手も入部しました。お互いこういう話をしたというものはありますか。
 「そうですね、大学の話を深くしたとかはあんまりなかったんですけど、同じ学部でもあるので、教えるところは教えれたらいいなとか思っていて(笑)。でもキャンパスとかも全然違うので学校で一緒になったことは一回もないので、どっかで大学で会えたらいいかなみたいに思ったりはしています」

――以前、楽単を佐藤選手に教えてもらったと聞いたのですがそれについて教えてください。
 「自分が取った授業を教えました。佳生のを見せてもらったんですけど、結構先生が全然違っていて知っている先生が全くいなくて。ミクロ経済学は一緒だったので『ミクロの先生は優しい先生だよ』、『ちゃんと課題とか出してれば取れるよ』って言ったんですけど、取れたのかはちょっと分かんないです(笑)」

――春学期の学業面はいかがでしたか。
 「学業の方はまずまずだったかなと思っていて、 良くはなかったんですけど悪くもなくて、捨てた教科以外は全部取れていました。春学期は(時間的に)行けるところに全部(授業を)入れていたので、大丈夫かなと思っていた教科が全部取れていたのでそこはすごく良かったかなと思います」

――ロンバルディア杯で印象に残っていることはありますか。
 「自分でもそこまで点数が出るとは思っていなくて、P C Sの部分、5コンポーネンツ(過去の演技構成点)の下の点数の部分を高く評価していただいたのでそこがすごく驚きました。去年もそうなんですけど、今年はより一層そこの部分をたくさん練習してきたので評価されてうれしいなと思います」

――T E S(技術点)が今大会は100点超えでしたが、その点に関してはいかがですか。
 「後半のジャンプが練習の時はあんまり良くありませんでした。後半のジャンプでは大事なジャンプが続くのですごく心配な部分だったんですけど、本番でしっかりと加点の付くジャンプを跳べたのが、技術点が100点にいった要因なのかなと思います」

――後半にトリプルアクセルからの連続ジャンプが続いていて攻めの構成かと思うのですが、その点に関してかかがですか。 
 「3連続は後半にやるところで自分でも一番難しいかなと思うくらい、大変なところで跳んでいるなと思っています。ただそこで跳ぶことによって4回転以上の点数がもらえますし、そこの2発を決め切ることが大事なのかなと思っています」

――今回の構成は佐藤選手ご自身で考えたものですか。 
 「そうですね、自分で考えました。いろんな構成を試して、結局この構成で落ち着いたというのが一番なんですけど、後半のあの場面で跳ぶことになったのは消去法みたいなところはありますね。(消去法だったのですね。)自分はずっと4回転トーループと3回転トーループのコンビネーションで跳んできたので、本当はトーループで3連続を付けてやる方がいいかなと思ったんですけど、3連続は嫌だなと思って後半のアクセルのところにつけることにしました」

――木下トロフィー争奪大会では4回転ループを構成に入れていたと思いますが、今大会では入れていなかったと思います。4回転の種類に関しても今後いろいろと試しながらやっていくという感じですか。
 「種類に関してはいろいろと試していきながらやれたらいいんですけど、ループはそんなに安定してはいないので、今シーズンは入れることはないと思います。ただ将来的にはループとルッツ、フリップを入れる構成を試合でやっていかないといけないと思うので、もちろん練習は継続していきたいと思います」

――今大会で自己ベストをFS(フリースケーティング)と総合得点で更新されたと思いますが、シーズン序盤での高得点獲得という点に関してはいかがですか。
 「すごく満足のいく出来だったかなと思うんですけど、SP(ショートプログラム)、FSともに大きいミスだったり小さいミスがあったのでさらに点数を伸ばしていけるかなと思います。グランプリシリーズ(GPシリーズ)、全日本(全日本選手権)と毎試合シーズンベストを更新するくらいのつもりで演技をしていかないといけないなと思います」

――GPシリーズでの目標をお願いします。
 「一番は優勝したいなという思いがあります。まずはFSで4回転4発を降りることとSPで100点を目標にして挑んでいきたいなと思います」

――SPのプログラムに関して、以前に一度やりたかった曲だとお聞きしましたが、その曲は昨シーズンに候補として希望を出した曲ですか。
 「そうですね、去年断られた曲をもう一回出して、それに決まりました。(佐藤選手の中でお気に入りの曲なのですか。)そうですね、自分でも気に入っている曲です。(曲の好きな部分はありますか。)曲調だったりとかがスケートにすごく合っているなと感じていて、滑りやすい曲です。あとは後半の盛り上がりとかがいいなと思っていてこれにしました」

――FSのプログラムに関して好きな部分があれば教えてください。
 「出だしの部分が一番気に入っていて、ずっと単調というか難しい曲だなと思ってはいるんですけど、そういった部分で少しの動を捉えたりしています。なので曲の捉え方を見てほしいなと思います」

――オフシーズンの期間で成長した点や頑張った点があれば教えてください。
 「スケーティングの部分です。カナダに行った時に、毎回滑るときのルーティンとしてステップを決めてやったりしました。前までそういうのはなかったので、今シーズンはそういうことをやって、いい流れでジャンプにいけるようにそういう取り組みをしています。あとはフリップのエッジの部分を意識してたくさん練習してきました。手応え的には悪くないんですけどこの前の試合(ロンバルディア杯)ではパンクをしてしまったので、ブロック(東京選手権)でしっかりと降りて、ジャッジスコアを見て判断していこうかなと思います」

――来シーズンはミラノ冬季五輪のシーズンになりますが、五輪や世界選手権を意識することはありますか。
 「もちろん意識することはあるんですけど、なるべくしないようにというか目先の試合に集中して、その試合で自己ベストや前の試合よりも高い点数を出すということを第一目標としてやっていこうかなと今シーズンは思います」

――最近新たに佐藤選手のグッズが販売されていましたが、佐藤選手グッズの一つであるピンク色のタオルはなぜピンク色になったのですか。
 「最初、2年前の衣装が紫っぽいピンクっぽい色だったので、そういった感じの色がいいというふうにお願いしたんですけど、エキシビションとかだと暗くて見えないから暗いところでも見えるような色を考えた時に、明るいピンク色とかの方が他の選手ともかぶらないしいいよねというふうになって、そのようになりました」

――今シーズンは大島光翔選手(政経4=立教新座)が主将ですがどのようなチームカラーですか。
 「光翔はすごく明るいので、部の全体のイメージも明るくて雰囲気もすごくいいなと感じていて、合宿とかでも率先して前に出てやっていてすごいなって思いますしこれからも盛り上げてほしいなと思っています」

――来年の主将を佐藤選手がされたりしますか。
 「いや、そうですね、言われたらって感じです(笑)。自分からはやらないですけど、監督さんと光翔からもしやってって言われたら『はい』ってやります。他にやりたい人がいたら全然お願いしますって感じです(笑)」

――今シーズン、明大スケート部フィギュア部門で目指していきたいところはありますか。
 「やっぱり男女ともにインカレ(日本学生氷上選手権)でのアベック優勝を目標としてやっていきたいなと思っていますし、結構みんなもそういった目標が多かったので、去年出場することはできなかったので今年はインカレに出て、去年の分も自分が頑張れたらいいなと思っています」

――今シーズン、見せていきたいスケートと目標を教えてください。
 「見ている人に去年よりも良くなったねと言っていただけるようなスケートをしていきたいなと思っています。僕のイメージ的にジャンプのイメージが強いと思うんですけど、そこは〝スケーティングの佐藤駿〟みたいな感じで言われるぐらい、スケーティングの部分を伸ばしていきたいです。今シーズンの目標としては全日本選手権で優勝することと、チャンピオンシップでの優勝というのがまだないので、チャンピオンシップでの優勝、そしてGPファイナルの表彰台を目標にして頑張っていこうと思っています」

――国内のみならず海外にも佐藤選手を応援している方々が多くいらっしゃると思います。ファンの方々へのメッセージをお願いします。
 「いつも応援ありがとうございます。今シーズンをケガなく1シーズン終えれるように頑張って、見ている人に感動してもらえるような演技ができるように頑張っていきたいと思っています。応援よろしくお願いします」

――ありがとうございました。

[布袋和音]

[写真は本人提供]