
(6)シーズン直前インタビュー 菊地竜生
長いオフシーズンを越え、ついにシーズンが開幕する。新たに明大の一員として氷上を舞う選手もいれば、今シーズンで引退となる選手もいる。新たなシーズンの始まりを前に何を思うのか。本インタビューではそれぞれの選手の思いをお届けする。
(この取材は9月12日に行われたものです)
第2回は菊地竜生(政経2=目黒日大)のインタビューです。
――大学1年目の昨シーズンを振り返っていかがですか。
「4回転も試合で初成功したり色々成長した部分はありましたが、結果として残っていないですし、順位が付いてきていないというのは今までとあまり変わっていないので、今年は結果にしっかり表れるように頑張りたいと思っています」
――昨シーズン、最後の出場となった全日本ジュニア選手権を改めて振り返っていただけますか。
「やはり4回転に集中しすぎで、最初のジャンプのミスを引きずってしまいました。ステップアウトなど細かなミスも出てしまったので、今シーズンは安定を目指して、しっかりノーミスを決めるというところを意識していきたいです」
――4回転ジャンプという点で、昨シーズンは東京選手権(ブロック)、東日本学生選手権(東インカレ)など、大会を通して成長していきました。今シーズンはどのように組み込んでいきたいですか。
「4回転も少しずつ調子が上がってきていますが、やはりまだ100パーセントまではいっていないので、自分で『確実に決めきれる』という自信をつけられるように、あと残りわずかな日数、頑張りたいと思います。(4回転サルコー1本を軸にという感じでしょうか)そうですね」
――まだ100パーセントではないということですが、4回転で難しいなと感じる部分はどういったところですか。
「練習過程でケガをしてしまったりとかもありますし、やはり僕は3回転+3回転のコンビネーションなども試合での成功率が低いので。SP(ショートプラグラム)に関しては、3回転+3回転のコンビネーションが一番重要になってくるので、そちらの強化の方にも力を入れています。そのような感じで練習量が分散してしまうというのもあります。昨年は4回転に固執した部分があり、去年の反省点を生かしていきたいです」
――現在のコンディションはいかがですか。
「ケガも今のところないので、今シーズンはケガをしないようにしっかりやっていきたいと思います」
――SPは今年1月に初披露した『リベルタンゴ』を継続ということで、今シーズンはどのように演技していきたいですか。
「(今年1月に)日本学生氷上選手権(インカレ)と特別国民体育大会(国体)をやらせていただいたんですけど、やはり作りたてというのもあったので、まだまだ表現が行き届いてないところもありました。今シーズンはそういう面を色々ブラッシュアップしていきたいです。昨シーズンよりもいいSPを見せられるように頑張りたいですし、70点以上を目指して頑張りたいと思います」
――ブラッシュアップをして、特に見てほしいポイントはありますか。
「ジャンプ、スピン以外にもステップの面や、最初の出だしの面はすごく意識してつくってもらっています。そこにも注目していただきたいです」
――FS(フリースケーティング)は『もののけ姫』ということでしたが、衣装はどういったものになりますか。
「衣装は本当に『もののけ姫』の映画のそのままと言いますか、アシタカが最初に呪いを受けてしまってあざが出ている状態です」
――FSのジャンプ構成の予定を教えてください。
「4回転1本とトリプルアクセル2本の構成で、あとはトリプルでという感じです」
――ユーチューブチャンネルで「音楽が好きなので」と選曲理由を話されていましたが、改めて詳しく教えていただけますか。
「音楽が好きというのもありますし、元々ジブリ作品が好きで、ジブリの中でも特に好きなのが『もののけ姫』です。すごく好きで、スケートに使うとなった時に、曲を聞いていてイメージが湧くのが『もののけ姫』というのもありました。そういう面で『もののけ姫』をフィギュアスケートで演じたいなと思いました」
――イメージが湧くというのはどういった部分ですか。
「思い入れがすごくあって『もののけ姫』だったらしっかり表現できると思えました」
――『もののけ姫』を初めて見たのはいつ頃ですか。
「あまり覚えていないですが、小学生くらいですかね。(その時から思い入れが深いという感じですか)そうですね」
――SP、FSともに菊地選手のお姉様の振り付けだと思いますが、その点はいかがですか。
「姉の振り付けにしてから、ブラッシュアップを受ける時間が多く取れますね。あと、僕のクセなどをしっかり把握してくれていて、僕がどういう風に振り付けをしたら滑りやすいかというのを一生懸命考えてくれているので、そういう面で姉にお願いするのが一番いいなと思い、今シーズンは両方振り付けてもらうことにしました」
――ユーチューブで話されていましたが、FSでは1番最後のジャンプの後に大きいステップを考えているそうですね。どういうことを表現しますか。
「アシタカの腕の呪いが暴れる激しいイメージを表現しています」
――激しいステップもあるということで、SP、FSを演じ切るための体力面はいかがですか。
「だいぶついてきたとは思うんですけど、やはりFSになってくると、4回転に集中力を使ってしまって他のジャンプを失敗してしまうということが練習の中でもありました。4回転に固執しすぎないで細かな部分にもしっかり集中力、余力を残しておきたいので、演技全体に目を向け、視野を広げてやっていきたいと思います」
――明大の合宿もありましたがいかがでしたか。
「佐藤駿先輩(政経3=埼玉栄)や大島光翔先輩(政経4=立教新座)だったり、上手い選手と一緒に滑ることで、僕もやる気がすごく出ましたし、見ていてすごく得られるものもあったので、とてもいい合宿だったと思います」
――どういったことを得られましたか。
「もちろんジャンプの安定感などもそうなんですけど、滑りの、体の上下の使い方だったりですね。自分は上下の使い方が足りないなと思うところが多々ありますし、そういった面で佐藤駿選手の演技を見ていると、自分の足りないところを改めて見直せましたし、すごく勉強になりました」
――合宿が行われた長野県の野辺山は涼しかったですか。
「そうですね。夏でも外の気温はすごく涼しかったので、トレーニングする時も涼しかったです。やはりこっちの都会の方で暑い中でというよりかは、快適に過ごせました」
――合宿は氷上での練習が一番時間を占めているという感じでしたか。
「氷の時間も長かったんですけど、今年はトレーニングで大縄跳びのチーム戦なども行ったり、レクリエーションもして、明大のみんなの仲がすごく深まりました」
――明大の中で特に会話をする選手はいますか。
「佐藤駿先輩とよく会話します。スケートの事だったり、ゲームやドラマの話などもしました!」
――今シーズンはどういったシーズンにしていきたいですか。
「やはりまだ菊地竜生という名前を聞いて『安定感がある』という印象がないと思うので、今年はSP、FSともに安定した演技で好成績を継続していけるように頑張りたいと思います」
――今年からシニア本格参戦ということで、これからの目標像だったり、目指している選手はいますか。
「友野一希選手(上野芝スケートクラブ)ですね。(どういった部分ですか)そうですね、やはり表現力が一番憧れている部分なのですが、友野選手は表現力の中に4回転なども組み込まれていますし、ジャンプだけに集中しすぎないで見ている人を感動させたり楽しませたりという、そういう面にもしっかり意識がいっているところが憧れというか、尊敬できる部分です。自分も目指して頑張りたいと思います」
――スコアや順位など、今シーズンの具体的な目標があれば教えてください。
「シニアの全日本選手権(全日本)はまだ出たことがないので、全日本出場というのは目標ですし、全日本の中で上位を目指したいという気持ちがあります」
――最後にファンの皆さんに一言お願いします。
「今シーズンも新しい菊地竜生を見せれらるように頑張りたいと思います。応援よろしくお願いします」
――ありがとうございました。
[橋本太陽]
(写真は本人提供)
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