(5)シーズン直前インタビュー 山﨑舞美

 長いオフシーズンを越え、ついにシーズンが開幕する。新たに明大の一員として氷上を舞う選手もいれば、今シーズンで引退となる選手もいる。新たなシーズンの始まりを前に何を思うのか。本インタビューではそれぞれの選手の思いをお届けする。

(この取材は9月11日に行われたものです)

第1回は山﨑舞美(商1=釧路湖陵)のインタビューです。

――大学生活はいかがですか。
 「上京してきて学校でもスケートでもすごくすてきな友達や先輩、コーチに恵まれています。辛いこともあるんですけど、楽しいことの方が多い感じです」

――環境が変わって自分自身成長できた、変わったと思う部分はありますか。
 「環境が変わって成長したなと思う部分は精神的な部分です。やはり1人暮らしというのもあって身近に家族がいなかったり、一人の時間が多いんですけど、辛い時に自分のメンタルは自分で上げていかなきゃいけないので。 最初の4月はそういうのができなくて辛い時があったんですけど、最近は自分のストレス解消法やリラックス方法、自分で自分を上げる自分なりの方法を見つけて、いい方向に進んでいるのかなと思います」

――今シーズンのSP(ショートプログラム)とFS(フリースケーティング)はどのようなプログラムですか。
 「SPは『素敵なあなた』というジャズの曲なんですけど、 結構アップテンポな曲でありつつ、少し曲調が変わった時に大人っぽい部分もあって大学生らしい曲になっているかなと思います。FSの方は『サユリ』という映画の曲なんですけど、少し和太鼓の音があったり和風な感じです。 和太鼓やいろいろな楽器の繊細な音が特徴的だと思っています。あまり今まで使ったことのない系統の曲なので、新しい自分のスケートを見せられるように、一つ一つ繊細な音を取ったりして、大学生らしいプログラムにこれからしていきたいなと思っています」

――一番見せたい部分はどのようなところですか。
 「SPはやはり明るい曲なので笑顔で滑るように意識しています。結構当たり前かもしれないんですけど、自分の中ではSPとFSでちゃんと表情の違いをつけられるようにSPでは明るく、FSでは少し大人っぽい曲でもあるので、そういう二つの曲で表情の差をつけたり、FSはそういう細かい音をとって滑れるようにまだ全然できていないんですけど、細かい音を拾えるようにして、これからもっと磨き上げていきたいなというふうに思っています」

――ご自身が考える見どころがあれば教えていただきたいです。
 「どちらの曲のどこがというよりはSPとFSの違いが今まで以上にはっきりしているので、別人かと思わせるような二つのプログラムのギャップが見どころかなと思います」

――衣装についてはどうですか。
 「2曲とも私がデザインして、母に作ってもらっています。SPの方はピンクと黒の衣装で可愛いらしさもありつつ、少し大人っぽい雰囲気で華やかにキラキラさせています。FSの方は着物っぽいデザインなんですけど、着物というよりは少しありきたりではない個性的なデザインです。花だったりゴールドのモチーフで和風な感じにしています」

――東京夏季大会(東京夏季)を終えて、現在の調子はいかがですか。
 「東京夏季では納得のいく演技はできなかったので、東京選手権(ブロック)に向けてもっと頑張らないといけないなというふうに気持ちを切り替えて練習を始めていたんですけど、 股関節を数日前に痛めてしまって。今は焦りや不安の方が大きい状況です。リハビリなど今できる最善のことはしてます。様子を見ながら今できることを残り1、2週間くらいでやっていくという感じになっています」

――東京夏季での演技について良かった点と改善点を教えてください
 「良かった点は、楽しんで滑れたというところと、ミスはあったものの最後まで笑顔で滑り切れたのは良かったことです。楽しんで滑れたことや表情の部分だけでは、結果に直接的につながるところではないので、やはりブロックとなると、そこが達成できても自分の結果につながらないので。3回転ジャンプの確率をもっと上げなくてはいけないし、滑りの部分でもやはり上位の選手と比べたらまだまだ低い点数だったので、課題がたくさん見つかった試合ですね」

――東京夏季の結果についてはどのように感じましたか。
 「点数的には昨シーズンの最低点を下回ってしまったので、このままだと目標にしている東日本選手権(東日本)に出場するのはすごく厳しい状況だなというふうに実感して、結構焦りを感じた試合結果でした」

――股関節を痛めたとおっしゃっていましたが、これから東京選手権(ブロック)までにどのような調整を行いますか。
 「今、股関節の痛みの状況は悪化していないので、休んだりというのは考えていないんですけど、数を減らしながらもジャンプの練習をして、股関節の負担も減らしながら、確率の部分を一番重点的にできればいいかなと思っています。あとはステップだったり、股関節に負担が少ないジャンプ以外の部分の練習もチャンスだと思ってたくさん練習して、少しでもいい状態でブロックを迎えられるように調整していきたいと思っています」

――今シーズンの目標、意気込みをお願いします。
 「今シーズンの目標は東日本に出場することと、国スポ(国民スポーツ大会冬季大会スケート競技会)に北海道代表で出場することです。あとは東京に来て、たくさんの人にスケートを見てもらえる機会が北海道にいた時よりも増えたと思うので、自分の競技生活の目標である〝人を魅了するスケーター〟になれるよう一戦一戦大切に観客席にも目線を配って、見ている人を笑顔にできるようなスケートを心がけながら、ジャンプと同じぐらいそういう部分も練習して頑張りたいと思います」

――ありがとうございました。

[野原千聖]

(写真は本人提供)