(32)「一人一人が前に出る力があるチーム」秋濱悠太 春シーズン総括インタビュー

2024.08.17

 春シーズンを終えた明大。大学選手権3連覇の帝京大に引き分けるも、宿敵早大に敗れ3位に終わった。しかしルーキーや初紫紺を着た選手の活躍も多く見られ、部内の競争は激しくなっており、秋に向け期待が膨らむ。そこで今回は春シーズンを終えた選手たちにインタビューを行い、春の振り返りと夏、秋に向けた意気込みを伺った。8月16日より連載していく。

 第2回は秋濱悠太選手(商4=桐蔭学園)のインタビューをお送りします。(この取材は7月30日に行われたものです)

――春季大会を振り返ってみていかがですか。
 「個人としては日本代表の方だったりU―20の方に参加していた関係で、なかなか明治にいられる時間も多くなく、その中でも何試合か出させていただいて、やっぱり早稲田戦に関しては途中から出たにもかかわらず、あまりインパクトを与えるプレーはできなかったっていうのは個人として反省点です。逆に帝京戦は頭から出させてもらって、BK全体としてすごくいいアタックをする流れっていうのは持ってこられたので、そこは本当に良かったかなと思います。チームとしては、春全体を通して競争の部分で、ここ最近Aチームの試合に出る人数が一番多くて、チームとして競争力を高めようっていう話をしていたので、そこはこの春シーズン本当に良かったいいポイントだったと思います。ただ、どうしても上のチームと下のチームのスキルの部分はあると思うんですけど、ナレッジの部分、理解度の部分が結構その差で多くあって、シーズン最終盤は下のチームの4年生が主体となって、試合後に大人のスタッフなしで選手だけでミーティングをするとかそういう時間も作っていたので、そこはもっと継続してやっていけたらなと思います」

――副将として春シーズンを終えてみていかがでした。
 「チームにずっといられなかったので、少し不安な部分もあったんですけど、BKリーダーの安田(昂平・商4=御所実)だったり、4年生の登根大斗(法4=御所実)だったりがBKをまとめてくれてたので、チームに帰ってきた時も自分的にやりやすかったです。キャプテンの木戸(大士郎・文4=常翔学園)もチーム全体を引っ張ってくれて、最後僕と木戸が抜けた後も福田(大晟・商4=中部大春日丘)がゲームキャプテンとしてチームを引っ張ってくれてたので、そこは副キャプテンとしてあまり仕事はできなかったんですけど、チームに参加する期間が短かったにしては、参加しやすく入りやすかった雰囲気がありました」

――春シーズンのFW陣を振り返ってみていかがですか。
 「セットプレーの部分で苦戦する試合はあったと思うんですけど、春終わった後も朝練の短い時間の中でも、少し早くFWだけ集まってスクラムの確認だったり、スクラムの練習をよくしてたので、夏合宿に向けてまた一つ二つレベルアップしてくれると思うので、そこに関しては不安な部分はないです。高野ヘッドコーチが6月から完全に明治の方に入ってくださって、チームとしてのストラクチャーというか、アタックの形っていうのを今落とし込んでいるので、そこはFWだけじゃなく全体でしっかり連携できたらと思っています」

――秋濱選手も含めBK陣はいかがでしたか。
 「最終戦の方は一人一人スキルはある選手の中で、チームがやろうとしてるアタックの形っていうのがBKとしてうまくできていなくて、今年度はスタンドオフを1年生の萩井(耀司・商1=桐蔭学園)がU―20とかの関係でメインとしてやっていたんですけど、多分結構難しい部分もあったと思います。それでもしっかりとBKをまとめるというか、チームのやろうとしている形を全うすることだけを意識してやってくれていたので、きっとセンターの蓬田(雄・政経3=流経大柏)だったり、試合経験の少ない4年生とかも、そこの面ではかなりやりやすかったんじゃないかなと思います」

――春シーズンで一番印象に残っている試合を教えてください。
 「個人としてはやはり帝京大戦。その前の早大戦で落としてしまって、僕自身もチームに帰ってきて2週間ぐらいで、その上帝京大戦の週の頭で足をケガしてしまい、試合前日の復帰でかなり不安は残ってやったんですけど、BKとしては結構手応えのある試合にできたと感じています。ブレークダウンの部分だったらハーフがすごくいいさばきをしてくれましたし、ウイングが取り切るところも本当に良かったので、BKとしてはそこが春シーズンの中で一番手応えをつかめた試合じゃないかなと思います」

――春シーズンのMVPを教えてください。
 「チームでもMVPを決める場面があって、その時は福田を選びました。キャプテンがいない中でまとめてくれてたので、そこは個人的にすごく助かったなっていうのでMVPとして挙げました。今思うとやっぱり萩井が1年生ながらゲームメークもしてくれましたし、難しい時間帯とか試合とかもあったと思うんですけど、その中でも今やろうとしてるラグビーはどういうものかっていうのを理解してやってくれていたので、萩井も個人的にはMVPとして選びたいと思いました」

――夏一番伸ばしたい自分のポイントはどこですか。
 「今新しいストラクチャーをやってるので、そこの理解度を高めて自分なりのどういう工夫をするのかとか、うまくFWを動かすなどのクレバーさというか、冷静に判断できる部分というのを夏だけじゃないですけど、夏の合宿でも伸ばしていきたいと思います」

――春シーズンを終えて見えてきた今年度のチームの強みを教えてください。
 「昨年度はどちらかというと、FWもBKも結構スキルフルな選手が多かったんですけど、今年度はどちらかと言うと一人一人が前に出る力が強いのかなと思います。この春から4年生のフルバックの金昂平(政経4=大阪朝鮮)だったり、坂本公平(情コミ4=東福岡)とかも本当に成長して前に出る力っていうのも出てきましたし、FWもそれぞれ伸びてきてるので、そういうチーム全体としてというよりかは、一人一人が前に出る力っていうのはあるのかなと思います」

――春は15人制日本代表トレーニングスコッドにも参加しましたが、春季大会との両立は難しかったですか。
 「個人的にチームを抜けることは結構不安だったんですけど、そういうところも監督と話して、やっぱり自分のためになることも絶対あると思うから行ってこいっていう話もあって、参加することに決めました。実際に学ぶことも多かったんですけど、明治に帰ってきた時に新しいことやっていくチームの中だったので、すぐに適用するのは難しかったです。でもゆっくりチーム全体の練習を見たり動画を見たり、出てきた資料とかを見ながらやったことで、今はだんだんと適用できているのでそこはよかったなと思います」

――夏と対抗戦に向けての意気込みをお願いします。
 「夏合宿はいろいろなことを試してたくさん課題も出したいですし、その分いろいろな成果も出していって、そこで出てきた課題だったり成果っていうのを踏まえて、どういう戦いをしていくのかを考えていきたいです。大人のスタッフだけじゃなくて、チームのリーダーとなる選手たちがみんなで話して、まずは『奪還』という目標に向けて一つになってチームをつくりたいと思います」

――ありがとうございました。

[久保田諒]

秋濱 悠太(あきはま・ゆうた)商4、桐蔭学園高、174センチ・86キロ
バーベキューや旅行など夏のオフを満喫した秋濱選手。中でも念願だったTWICEのライブに行けたことが最高だったそう。「ライブに行くためにオフまで頑張ってこられました。推しとは完全に目が合いました(笑)」