
(7)パリ五輪競歩日本代表・古賀友太/明大スポーツ第538号特別インタビュー
4年に一度の世界最大のスポーツの祭典・パリ五輪の開幕まで残りわずか。本記事では紙面に載せ切れなかった古賀友太選手(令4商卒・現大塚製薬)のインタビューを掲載します。
(この取材は5月19日に行われたものです)
――日本代表内定の知らせを聞いたときの心境をお聞かせください。
「まず、ほっとしました。昨年度の世界選手権が12位だったので、今回の五輪ではメダルを取りたいという気持ちがあります」
――パリ五輪代表が大きく近づいた日本選手権のレースを振り返っていかがでしたか。
「日本選手権は3位以内を狙える位置で進めようと考えていました。実際にそのような展開ができたので、そこがまず良かったです。ラストは2、3、4位グループの3人でいました。3位と4位では雲泥の差なので、なんとか3位以内に入るために自分から早めに仕掛けました。そこがうまくいったのかなと思います」
――レース前の心境はいかがでしたか。
「緊張感はありましたが、それまでの合宿をいい形で取り組めていたので、楽しみな気持ちの方が大きかったです」
――ともにレースに臨んだ濱西諒選手(令5文卒・現サンベルクス)とはレース終わりなどに会話されたりしましたか。
「レース中に関してはもう引っ張ったり引っ張られたりというか、そういう協力をしていた部分もありました。他の選手の警告の具合も確認しながら教え合っていたので、そういったことは一緒にうまくできたと思います。終わった後は2位、3位で入ったので良かったねという感じで、お互い安心した感じでした」
――明大に進学を決めた理由を教えてください。
「当時、園原健弘監督は競歩の監督をされていて結果も残されていました。さらに箱根駅伝も走った経験もありました。高校時代は自分も(長距離を)走っていて最初は(競歩と)両立したいと思っていたので、実際に園原監督が両立されていることが理由の一つでした。また、競歩をしている大学でコーチがしっかりしていて、野田明宏選手(平30商卒・現自衛隊体育学校)も活躍されていました。そういうところからも継続して活躍する選手を出している大学と思ったので、競技面からも明大を選びました」
――長距離も行う中で、競歩を専門とした決め手やきっかけはありますか。
「最初は長距離と一緒にジョグの練習をやっていましたが、走っていてケガをすることもありました。競歩は1年中シーズンであまり休まる期間がない中で走る方もやっていると故障もあってきつい部分があったので、それから競歩1本に絞っていこうと決めました」
――現在の明大の活躍をどのように見ていますか。
「先日の関東学生対校選手権も優勝もしていますし、今の大学界においても明大は有力な大学の一つだと思っています。自分自身も刺激になり負けていられないなという思いにもなるので、今後ももっと上のレベルを目指してほしいと思います」
――明大の現役競歩選手や将来の競歩選手にメッセージや伝えたいことはありますか。
「今の現役の選手や未来の明大に入ってくる人たちにとって目標でありたいと思っています。そのためにもまず自分が負けないように活躍していきたいです。練習においてはマックスで練習するのではなく8割ぐらいの少し物足りないぐらいを継続してやる方が力としては長期的に見ると伸びると実体験として感じています。そういうところを意識してほしいと思います」
――古賀選手にとって競歩の魅力はどんなところですか。
「審判に違反を取られないフォームでゴールすることが大前提として大事です。ただ速ければいいというわけでもないですし、ただきれいだからいいというわけでもありません。その両方を兼ね備えるバランスや駆け引きも多々あるので、後半に警告が出ると少し気持ち的に落とさなきゃいけないなというふうになってきます。そういうところも見ていただければ、違う視点で見られるのかなと思います」
――パリ五輪出場を通して日本にどんなことをもたらしたいですか。
「日本は世界でも(競歩が)強い国の一つではあると思いますが、最近ではスペインや中国も力を付けてきています。今回オリンピックを通して自分自身が濱西と一緒に活躍することで、その姿を見ている人に何か感じてもらうものがあればいいなと思います。自分も頑張ろうといった活力になればいいなと思うので、そのためにも頑張っていきたいと思います」
――こういった世界規模の大会は国内の大会と心境に違いはありますか。
「レース展開も世界では変わるなというのはまだ感じていますし、その中で記録が速いだけでは勝てないのが世界だと思っています。速さも必要ですが、勝負強さや仕掛けどころ、逆に仕掛けられたところで反応する力が求められると思います。オリンピックで活躍するためにも、そういう強さは上げていきたいと思います」
――パリ五輪に向けて意気込みと目標をお願いします。
「オリンピックというところで、世界陸上とはまた違った大きな舞台だと思います。皆さまからの期待に応えられるように、プレッシャーも力に変えられるように頑張っていきます。応援よろしくお願いします」
――ありがとうございました。
[石井遥]
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