(13)さらなる〝躍道〟を! 5年ぶりの挑戦/天皇杯JFA第104回全日本サッカー選手権展望

2024.05.22

 5月25日より天皇杯JFA第104回全日本サッカー選手権(以下、天皇杯)が開催する。昨年度の全日本大学選手権優勝によって本戦出場を決めた明大。関東大学1部リーグ戦(以下、リーグ戦)で現在(第5節終了時)首位を走る明大は、初戦でリーグ戦2位につけている筑波大と対戦する。一発勝負の天皇杯で、〝躍道〟を胸に絶対に負けられない戦いが始まる。

 プロ、アマ問わず、88チームが戦う天皇杯が開催する。天皇杯はJ1やJ2、各都道府県の代表チームが混戦するトーナメント戦だ。明大は今年度、2枠に増えたアマチュアシード枠として、5年ぶりに天皇杯本戦に出場する。初戦の相手、筑波大は昨年度のリーグ戦を1分1敗と負け越した難敵。さらに明大と同じく、この天皇杯にてJ1クラブを破るというジャイアントキリングを成し遂げた経験がある。「今までやってきた全てをかけて、筑波を絶対に倒したい」(常盤)。この強い意志の下、現在リーグ戦首位の意地を見せ、必ず勝利をつかみ取らなければならない。

 今年度の明大は非常に好調な滑り出しを見せている。開幕節こそ3失点を許してしまったが、第3節、4節では連続クリーンシートを達成した。さらに前節・国士大戦では、1失点許すも大量7得点を成し遂げ、まさに『圧倒』した試合を行った。その好調なチームをけん引するのは、ダブルボランチとして、攻撃の起点、守備を司る常盤亨太(法4=FC東京U―18)と木内達也(営4=鹿島アントラーズユース)。リーグ戦4試合フル出場し、CBとして最終ラインを守る永田倖大(商4=サガン鳥栖U―18)。そして今年度ここまで6G6Aとひと際目立つ活躍の主将・中村草太(政経4=前橋育英)。彼らをはじめとした明大の〝象徴〟たる4年生たちだ。加えて、現在リーグ戦得点ランキング1位の藤森颯太(政経3=青森山田)や〝守備の明治〟の要としてチームを支えるGK藤井陽登(経営3=矢板中央高校)など3年生以下の選手たちの奮闘にも注目だ。リーグ戦開幕5連勝の勢いをそのままに、天皇杯でも快進撃を見せてほしい。

 天皇杯は他の学生大会とは異なり、プロクラブも混ざった、真の日本一を争う大会だ。普段は王者の自負の下、圧倒的な試合を目標とする明大。しかし、今大会ではチャレンジャーとなる。初戦、筑波大は決して油断ならない相手であり、負けることは許されない。さらに初戦に勝てば、昇格組ながら、J1にて躍進中のFC町田ゼルビアが待ち構えている。「自分たちのサッカーがどれだけできるのか、一つ楽しみな部分でもある」(中村)。選手たちは初の大舞台に臆することなく、その視線を頂に向けている。負けたら終わりの今大会、明大は台風の目となれるのだろうか。明大の新たな挑戦が今、幕を開ける。

[藤原茉央]