(4)ルーキー特集 第3弾 ~三浦佳生編②~

 今年度も頼もしいルーキーたちが紫紺の門をたたいた。7回目を迎える今回のルーキー特集でも例年に引き続き、競技の話から普段は見えない選手の意外な一面まで、それぞれの魅力をお届けする。

(この取材は2月22日に行われたものです)

――明治大学に入学しようと思った経緯を教えてください。
 「身近な先輩が多いので、スケートをやっていく上でどこに行こうかなと思った時に一番最初に頭に浮かんだのが明大でした」

――つながりのある先輩も多いということで、特に親交の深い佐藤駿選手(政経3=埼玉栄)とは話をされましたか。
 「たまに大学の話を聞いたりしていたんですけど、まあなんて言うんですかね、2人ともわりと能天気というか。僕も向こうも能天気なので『なんとかなるよ』みたいな、会話の内容はすかすかです」

――佐藤選手も政治経済学部ですが、学部を選んだ理由は何ですか。
 「(佐藤選手に)話が聞けるかなというのもあります」

――目黒日大高つながりだと、菊地竜生選手(政経2=目黒日大)、元榮愛子選手(商2=目黒日大)もいらっしゃいますね。
 「そうですね。竜生は高校もそうですけど、以前同じリンクで練習していたというのもあってかなり交流はあります。遊びに行ったりもします。愛子ちゃんも前同じ先生だったので結構つながりがあります」

――オリエンタルバイオさんのつながりでは、住吉りをん選手(商3=駒場学園)もいらっしゃいますがお話はされますか。
 「りをんちゃんは結構前に『明治大変だよ』みたいなことは言っていましたけど、あんまり大学の話をちゃんとしたことはないですね」

――明大の選手で他にも交流がある方はいらっしゃいますか。
 「光翔くん(大島光翔・政経4=立教新座)もたまに遊んだりしますし、堀見華那ちゃん(商3=愛知みずほ大瑞穂)とは同じリンクで練習していますね」

――大学に入って楽しみにしていることはありますか。
 「『何があるのかな?』という感じですね。不安もありますけど、まずは友達をつくって普通に生活できたらなと思っています」

――勉強はいかがですか。
 「好きじゃないです。むしろ嫌い(笑)。でも海外試合も多いので海外選手と交流したりする機会もありますし、この前も海外の選手と遊んできたりもしたので、もっと喋れるようになったらいいなというので、英語を勉強したりはしています。自分が興味あること以外を勉強しようと思わないので、それがまずいですね」

――シェイリーンさんとのコミュニケーションもそうですし、イリア・マリニン選手(アメリカ)ともプライベートでインターネットを介して交流されるそうですが、その時の英語に関してはいかがですか。
 「イリアとは(ネット上で)送られてきた文章をスクショして、翻訳して送り返せますけど、シェイリーンさん(との練習)は対面だったので、簡単な英語を並べてもらって伝わらなかったら翻訳機を使うみたいな感じでした」

――得意な教科はありますか。
 「ないですね(笑)。(比較的得意なものはありますか。)国語はわりとまだ。文章問題は答えが書いてあるじゃないですか、読んだら。他はもう全然ダメです」

――一番嫌いな科目は何ですか。
 「ダントツで数学です。もう中学2年生ぐらいで置いていかれましたね。(政治経済学部ですがいかがですか。)まずいですね。友達をつくって教えてもらって、なんとかうまく回せていければと思います(笑)」

――海外の大会にも多く出場されています。スケートカナダの時には『氷が合わなかった』そうですが、具体的に教えてください。
 「そうですね。氷も独特の氷で、リンクがホッケーサイズのリンクだったので、自分はわりとスピードをつけて跳ぶタイプで『跳んだらもう壁がある』という感じだったので、だいぶしんどかったです。(氷の印象はどういったものですか。)日本でも結構大きな大会になるとさいたまスーパーアリーナなどで氷を張って作って滑るんですけど、カナダの氷はその作られた氷に似ているような印象を持ちました。独特な、段ボールみたいなというと変なたとえなんですけど、滑っていてごわごわしていて、硬いのか柔らかいのか分からないみたいな氷でした」

――リンクの状態以外にも海外と日本のリンクの違いはありますか。
 「リンクによって違いますけど、寒いリンクもあれば全然寒くないリンクもあります。海外の方が1個のリンクが大きいですね。メインリンク以外にもサブリンクがあったり、2、3個リンクがあったりして〝海外〟って感じですね」

――一番しっくりくるリンクはホームリンクである、KOSÉ新横浜スケートセンターですか。
 「どうなんですかね。4回転ループは、新横だと跳べないのに海外の会場になると跳べるんですよ。なんでだろうという感じなんですけど。新横の氷は特別(自分に)合っているわけではないですね」

――海外で印象に残っていることはありますか。
 「基本的に試合に行っても全然観光とかもしないですし、基本一人で部屋でゲームをしたりしています。おととしのGPファイナルの時とかは、バーガーキングに行ってスマホを間違えてごみ箱に捨てちゃって、そしたらその日の夜携帯(の電源)がつかなくなりました。トレーの上に携帯を置いていて一緒に流しちゃって、それで飲み残しのごみとかも一緒に捨てられていて、水没して使えなくなっちゃいました(笑)。かなり困りました(笑)。(大丈夫でしたか。)いろんな人に聞いたら復活しました」

――ジャンプの豪快さが三浦選手の武器だと思います。ご自身の中で、ジャンプの難易度順はどう感じていますか。
 「僕の場合はループが別に苦手というわけじゃないんですけど、恐怖心が一番あるかなという感じです。一番ルッツが嫌いで、難易度が高いです。(その次に)ループ、フリップ、トー(トーループ)、サルコーみたいな感じですかね。(人によって異なるのですね。)そうですね。人によってルッツが得意とかでサルコー、トーがあんまりみたいな。日本のスケーターは割とサルコー、トーを跳ぶタイプのスケーターが多いんですけど、海外、ヨーロッパだとそっち(サルコー、トー)の方が苦手だったりします」

――佐藤選手が得意とする4回転ルッツに関してはいかがですか。
 「もともとルッツジャンプが苦手で、エッジエラーを昔は取られていてやっとそれが直った段階で4(回転)やるとなると、まだまだ先の話になりますね。まずは、ループとフリップをしっかり跳んで、それからでもまあ遅くはないかなという。まず(ルッツは)3回転をしっかり余裕をもって跳ぶところから練習していく感じですね。」

――イリア・マリニン選手の4回転アクセルに関しては三浦選手の目にどう映っていますか。
 「人間離れしていますよね、正直。無理ですね跳べと言われても。多分どれだけ時間をかけても無理です」

――どういうところがすごいと思いますか。
 「アクセルをあの跳躍力で跳べるのがおかしい。まだルッツとかなら分かるんですけどアクセルはおかしいですねあれ完全に。跳び上がりがもう訳わからないです、(まるで)カエルみたいです」

――表現面に関して、過去に活躍した選手の演技もユーチューブで見るそうですね。
 「そうですね。最初はいくつか演技を見た後、おすすめで出てきたのが始まりなんですけど、そこからどんどん見るようになって知っていったという感じですかね」

――参考にしたりしていますか。
 「やっぱり今にはないスケートをやっている感じがして、今のスケートは別に嫌いなわけじゃないですけど、昔ならではの良さというのはありますね。どちらかというと今のスケートはジャンプ主体になっていて、どれだけスケーティングスキルを磨いて頑張っていても、PCS(演技構成点)は満点が決まっていてトップレベルにいくとみんなあまり差がなくて、(高得点の)ジャンプを跳べないと勝てない時代になってきているので。その点、昔を見るとジャンプにフォーカスしすぎない演技で面白いなと思います」

――そういった他の選手の演技の話を周りのスケーターの方たちと話しますか。
 「たまに『○○選手いいよね』みたいな。興味がない人も結構いるので、興味がある人としますね。(例えば誰と話しますか。)優真はすごく見ますし、彼は本当にスケートが好きで、よく今の選手も昔の選手も見たりするので、そういうのは結構話が合ったりしますね。(佐藤選手とは話しますか。)駿(笑)。彼とはゲーム系の話ばっかりです。(何のゲームですか。)一番多いのはプロスピ(プロ野球スピリッツA)。僕はiPadでやっているんですけど、面白いですね」

―昨年は1日に2回SP(ショートプログラム)に出演した日もありましたが、体力的にはいけるのですか。
 「SPなら。(SPならいけるのですか。)まだ(笑)。まあきつかったですけど、あの試合は片方は優勝したらお肉がもらえるし、もう片方は優真と駿が出ていたので、どっちも出たいなという。最初はどっちかに絞ろうと思っていたんですけど、捨て切れず両方出ました」

――ルーティンはありますか。
 「昼寝は必ずしています。いつでもします。(どのくらいしますか。)日によって違うんですけど、本当に眠いときは気が済むまで。本来昼寝はあまり良くないと思うんですけど、でもやっぱりどうしても夜練やって朝練だと、寝る時間ってあまりないんですよ。夜ご飯作って、寝る準備いろいろ、お風呂入ったりして寝るとなると寝る時間ないので昼に寝たりします」

――食事面で気をつけていることはありますか。
 「あまり気にしていなかったですけど、最近はタンパク質メインで取っています。遊びに行ったりするときは、もう気にせずガンガン食べますけど普段はタンパク質メインです。もっと体絞りたいなと思っているので、飲み物も基本的にはジュースを飲まずに、肌もきれいになるかなと思ってやっています」

――身体を絞るというのはジャンプに影響するからでしょうか。
 「あまりそこは気にしていなくて、完全に身体を絞って夏に海へ行きたいです。そこでたるんだお腹で行きたくないんで(笑)。堂々といれるように、シンプルにそういう感じです(笑)」

――フィギュアスケートをしている中で一番楽しいと感じる瞬間はいつですか。
 「やはり新しいジャンプを習得するときや、あとは大会で結果を残せたときは一番やりがいがあるというか楽しい瞬間かなと思います」

――逆にしんどいと感じる瞬間はありますか。
 「それ以外はもう全部がしんどいです。ジャンプの練習はかなり。細かいスピンとかの練習は元々嫌いなので嫌々練習しているという感じですね。(スピンはあまり好きではないですか。)そうですね。元々好きじゃなかったんですけど、レベル取れないとまずいので練習するようになりましたが、好きではないです」

――スケートを今までやってきて、ご自身の中で変化した時期はありますか。
 「優真がある日同じ練習リンクに移ってきて、駿も仙台から関東に移ってきて、近場で3人一緒になることが多くなった時、自分はまだまだ下手だなというのと、彼ら以上にやらないと彼らには勝てないという思いがそこで出て、そこからはすごく意識が変わったなと思います」

――ご自身がそのお二人(鍵山選手・佐藤選手)に負けていないと思うところはありますか。
 「勢いと迫力は負けたくないです」

――いつ頃から世界を意識し始めましたか。
 「昨シーズンくらいからシニアに移行して、少しずつ。最初は何も意識はしていなかったんですけど、シニアの海外初戦でイリアと当たって、SPではイリアに勝てましたし、トータルでも全然、失敗しなければそこまで差はないのかなというふうに思えました。そういうところで自分の可能性というのは少しずつ見えてきて、自信につながってきて、そこからもっともっと海外勢に勝ちたい気持ちが出てきたかなと思います」

――大学の4年間で成長していきたいところはありますか。
 「やっぱりもう少し地頭もよくしたいんですけど、今までスケートしか見ていなかった生活から、いろんなところに視野を広げて友達をつくって遊ぶなり、行事に参加したりして、積極的にできたらいいなと思います」

――スケート面に関してはいかがですか。
 「2026年にはミラノ五輪があるので、そこに向けてしっかり練習をしつつ、大学生活も楽しみながら、どちらも頑張っていきたいと思います」

――最後にファンの方へメッセージをお願いします。
 「大学に入っても変わらず応援していただけたらありがたいです」

――ありがとうございました。

[橋本太陽、堀口心遥]