(27)シーズン後インタビュー 佐藤駿

今シーズンも銀盤を彩った選手たち。日本学生氷上選手権(インカレ)では惜しくも2年連続のアベック優勝は逃したものの、チーム力は健在。各自の目標に向けて、チーム一丸となって一冬を戦い抜いた。

 本記事ではシーズン後の選手たちの声をお届けする。

(この取材は11日に行われたものです)

回は佐藤駿(政経2=埼玉栄)のインタビューです。

――今年度の明治×法政 on ICE(以下、明法オンアイス)では印象に残っていることはありますか。

 「そうですね。練習時間自体はそんなになかったんですけど、大学のメンバーで、今まで話したことのないような人とかとみんなでグループナンバーを作り上げたりして、そういった経験ってなかなかできないことだと思うのですごく楽しかったですし、今までと違った経験ができて良かったなと思いました」

――普段とはまた違ったテイストの曲のように感じましたが、選んだきっかけはありますか。

 「1年前になるんですけど『ICE EXPLOSION 2023』というアイスショーがあって、その時に最初は2曲用意してほしいと言われていて、かっこいい系の曲としっとり系の曲でというのを言われて。その時に用意していたのが今回明法オンアイスでやった曲なんです。結局それを披露することはなくて1年たってしまったので、いい機会だし使おうかなと思って使いました」

――最後の試合である四大陸選手権からだいぶ時間がたち気持ちも来シーズンに向かっているかと思いますが、最近はいかがですか。

 「そうですね、一応シーズンオフに入ったので、自分の好きなような練習ができていますし、シーズンオフらしいというか、自分に合った練習は少しずつシーズンに向けてできているのかなと思います」

――最近はどのような練習をしていますか。

 「今は他の4回転ジャンプだったりスケーティングの練習をずっとやっていたり、プログラム練習とかがシーズンに入ってくることが多いと思うんですけどそういった練習はあまりしていなくて、地道な練習をたくさんやっています」

――今練習している4回転ジャンプの種類は何ですか。

 「今はサルコーの練習を一番多くやっています。(調子としてはいかがですか)結構日によっていい日、悪い日があるかなというか、安定は全然してなくて。調子がいい時はかなりいいんですけど、調子悪い時は全然あれなので、そういった部分でトーループとかルッツとかに比べてまだそんなにそこまでは達していないのかなと思うので、もっとたくさん練習していこうかなと今後思っています」

――今シーズンで最も印象に残っている試合はありますか。

 「全日本選手権(以下、全日本)が一番印象に残っている試合かなと思います。普段の全日本だとかなり緊張する試合だと思うんですけど、今シーズンの全日本は全くそんなことはなくて。本当に純粋にスケートを楽しんで滑れていて、ジャンプジャンプになっていなくて、ジャンプを失敗してもいいやぐらいの感じでお客さんへのアピールとか、そういったものを大事にしようと思って挑んでいたので、緊張せずにすごく自分らしい演技ができました」

――今シーズン全体を振り返って成長したと感じる点を教えてください。

 「一番成長した部分は、まだトップ選手に比べて劣ってはいるんですけど、スケーティングの5コンポーネンツの部分で少しずつ成長できてる部分が今シーズンは感じられたのでそこが良かった点と、あと類似した感じになっちゃうんですけど、ステップとかでレベル4が取れるようになったのがすごく大きいかなと感じています」

――四大陸選手権のSP(ショートプログラム)のジャンプの構成を決める際に、覚悟や気持ちの面ではどのような感じでしたか。

 「正直、すごく構成には悩んでいました。あの時フリップの方が正直調子が良かったので、ずっとこっちでの練習はルッツでやっていたんですけどフリップにしようかというのをすごく悩んでいて。練習で2発目ルッツでなかなかハマっていなかったので、そういったところからフリップにした方がいいんじゃないかと思ってはいたんですけど。でも全日本の時にフリップがエラーになってしまって点数を伸ばすことができなかったので、そういった点から次はルッツでいこうというふうに前々から決めていたので、悩んではいたんですけど、その気持ちを貫いていこうと思ってSPはルッツで入れました」

――SPの前の公式練習ではジャンプの回転数を抑えて練習されていたと思いますが、どのような状態だったのですか。

「考えすぎていたのか、調子が上がっていなかったわけじゃないんですけど、ジャンプの跳び方をちょっと忘れたというか、どっか行っちゃって。それでその状態で無理に締めようしても変なふうになるなと思ったので、シングルとかタブルとかで確認をたくさんやっていたという感じです」

――スピンの難しい出方、以前佐藤選手はきついとおっしゃっていたと思いますが、昨シーズンよりも動きが洗練された印象がありましたが普段の練習に力を入れていたのですか。

 「そうですね。シットからインスライドで出る振りなんですけど、出る方向がなかなか分からなくて。回りながら出るのでどこに出たらいいのか、変なところに出ちゃうと、その後のステップがもう変なところにいってしまったりするので、そういった難しさはあったんですけどそこはすごく練習して、大体ここら辺だろうなって、開きながらちゃんと目で場所を確認して出るようにしています。(演技中に考えながらということですか)考えてます。(回転が)だんだん、だんだん遅くなってくるので、その時にここだここだここだ、ってタイミングを計っています。(回った流れでとかではなくて、しっかり自分で判断しないといけないんですね)そうですね。本当に変なところいってしまうと曲にもすごく遅れちゃいますし、とんでもないことになるのでここはすごく慎重にやっています」

――四大陸選手権では、昨年度よりも高い順位を目標に挑み、結果は銀メダルとまさに有言実行の大会となりましたが、試合を通して得たものはありましたか。

 「まず、SP、FS(フリースケーティング)で今までルッツを置いて両方で降りたことがなかったので、そこを降りることができたのでかなり大きな自信につながったのと、結構自分の中でSPが苦手というか、苦手ってわけじゃないんですけどそういう感じになってしまったので、そういった部分を払拭(ふっしょく)するような演技が最後にできてすごく成長を実感した試合になりました」

――来シーズンも継続するプログラムはありますか。

 「来シーズンは多分両方変える予定でいます」

――こういったジャンルに挑戦したいなど決まっているのですか。

 「いや、全くそれが決まっていなくて。どちらかはかっこいい系で、片方は王道系でいこうかなとか思ったりはするんですけど、ちょっと全然曲は全く決まっていない状態です」

――プログラムは自分で考えていくのですか。それとも振付師の方から提案されるのですか。

 「基本こちらから送って振付師さんからオッケーが出たらなんですけど、大体通らないので、向こうから4曲5曲ぐらい送られてきて、その中から選ぶことが多いです。基本自分の選んだ曲でこれやりたいと言って通ることはあんまりないです。(反対に、通ったことがあるものはありますか)日本の振付師さんは基本曲を選ぶことがないので、自分からこれを振り付けしてほしいと言ったら、宮本賢二先生とかもそうですね、自分たちで選んで持っていってお願いします、という感じが多いですね」

 「知ってました。『写真なんかない?』って言われて、全然なかったので、じゃあ強化選手のページのやつ使えば、みたいな感じになって。それを切り取って、夜にドン・キホーテで買って貼ってましたね」

――実際にうちわでたくさん登場されていましたがいかがでしたか。

 「正直一番目立ってたんじゃないかってぐらい一番出番が多かったと思うので、なんかすごい僕が出なくても応援してくれているというか、一緒になってそういうものを作ってくれたりしてすごく温かいなとうれしく思いました」

――オフシーズンの間にやってみたいことはありますか。

 「ちょうど免許を取りに行っています。4月の頭くらいに、行けば取れる予定です。シーズン中だと絶対行けないので今やっちゃってます。(ずっと取ろうと思っていたのですか)そうですね。ずっと早く行った方がいいって親に言われていて、本当は去年行こうと思っていたんですけどなかなかタイミングがなくて。ちょうど今シーズンは昨シーズンよりも早く終わったので、そういったこともあってもうすぐ取っちゃおうっていうことで、四大陸選手権が終わった後すぐに行きました」

――振り付け等で海外に行く予定はありますか。

 「4月中旬から3週間程度行く予定でいます」

――来年から3年生になりますが上級生の心構えのようなものはありますか。

 「そうですね。上級生としての自覚はあります。2年生の時も先輩っぽいことは何一つしてないので、多分3年生になったらいろいろ多分仕事とか、大学のスケート部としての仕事とかちょっとは増えてくると思うので、そういった部分で少しでも先輩らしいことというか、そういったことができたらいいのかなとは思っています」

――今世界でご活躍されている立場で、スケートに向かっていく際の気持ちの面で変わったことなどはありますか。

 「日本の代表として戦っていくわけなので、もちろん結果も大事だとは思うんですけど、それよりも、海外まで観にきてくださっているファンの方もいますし、そういった方たちにいい演技を届けたいという思いです。GP(グランプリ)シリーズとかに行ってもバナーを振ってくださる方もたくさんいるので、そういった方たちに演技を届けるようにという思いでやっています」

――ありがとうございました。

[布袋和音]

(写真は本人提供)