
(28)ラストインタビュー 宇田幸矢
卒業式を終え、新たなスタートを切った前4年生選手たち。今回ラストインタビューと題し、戸上隼輔選手(令6政経卒)を除く5選手に取材を行った。第5弾は宇田幸矢選手(令6商卒)のインタビューをお届けする。
(この取材は3月15日に行われたものです)
――先日行われたシンガポールスマッシュでは3回戦で棄権しましたが、腰の状態はいかがですか。
「腰はそこまで大きくは変わってなくて。3回戦までは結構調子良かったんですけど、3回戦前にケガというか元々持ってるものの痛みが出てしまって、それが試合前の1時間前で。結構痛くなっちゃったので棄権して、帰ってきてから病院を二つ診察受けて、原因を調べてるんですけど、まだちゃんとしたところがつかめてないので、痛みとしてはそんなにまだ変わってないですし、練習再開もいつからなのか決まってないです」
――2回戦までは調子が良い状態で試合していたと思います。いかがでしたか。
「国際大会に力も入れていきたいので、自分自身の気持ち的にも高まってる部分もありました。シンガポールスマッシュも大会自体大きいので、ここで(世界ランク)ポイントも稼ぎたくてすごく気合も入ってて、調子自体もすごく良かったです。1試合目の相手が強くて、そんなに自分自身のいいプレーはなかったですけど、しっかりポイント重ねてストレートで勝つことができました。2回戦もシンガポールの地元選手でしたけど、ミスもなくすごくいい状態でできたので、徐々に良くなってるなっていう実感を持っていました」
――今後の出場予定の国際大会では、日本を代表するカットマン・英田理志選手(HRマネジメント)とのダブルス出場が話題になっています。
「最初ダブルスは出なくていいかなって感じだったんですよ。なるべくシングルスに集中しようかなとは思っていたんですけど、英田さんから『出ようよ』みたいな感じで言われて、連絡来て。『出てみようかな』と思って組む予定ですね。ただ今腰をケガしているので、英田さんと連絡取ってて『そこは無理しなくてもいい』みたいな話になってるんで、このケガ次第ではという感じです」
――新たなチャレンジという部分もありますか。
「経験もそうですし、普段組まない人と組むこともそうですし、本当に組むことがない戦型なので何か見えるかもしれないし、どうなるんだろうっていう興味はあります。もちろん出るなら結果も出したいですけど、どうなるんだっていう楽しみな気持ちです」
――協和キリンを進路先に選んだ理由や判断材料は。
「判断材料はやっぱり環境が整っていること、拠点位置をしっかり置けることはすごく大事かなと思っていて。あとは契約の内容もそうですし、国際大会優先でやっていきたいってことに対してもすごく共感してくださいました」
――協和キリンでの日本リーグ出場予定はございますか。
「出場したいと思っています。(国際大会などの)スケジュールが被っていなければもちろん出たいと思っています。チームとしての目標を持ちながら一緒にやりたいなと思っているので、出場はなるべくしたいです」
――協和キリンでの、チームとしての目標はございますか。
「今年チームとしてはグランドスラム達成を目標にしています。団体戦で
――日本リーグでは明大とも対戦予定です。楽しみな部分はありますか。
「楽しみじゃないっす(笑)。明治の選手とはやりづらさはないんですけど、髙山さん(明大・髙山幸信監督)がベンチにいるっていうのが一番違和感強いですね。すぐ慣れると思いますけど、監督が向こう側にいるのが違和感です(笑)」
――宇田選手にとって髙山監督はどんな存在でしたか。
「僕自身の意見を尊重してくれたのが一番印象深いです。自分はこうしていきたいと思うんですよねって言った時に、結構それに沿ってアドバイスをしてくれて。注意というより結構尊重してくれることが多かったのが印象深いです」
――印象に残っている声かけとかはありますか。
――髙山監督に感謝の気持ちを伝えるならどんな言葉で伝えますか。
「やっぱりベンチで一番近いところで戦ってもらえて、応援していただいて、支えてもらってありがとうございますという感じですね。技術的にももちろん教えてもらいましたけど、すごい精神的に支えてもらって心強かったです」
――23/24シーズンはTリーグ・T.T彩たまに加入しましたが、あまり成績は振るいませんでした。
「前半にリンユンジュ(木下マイスター東京)とか張本(智和・琉球アスティーダ)と当たって、スタートとしてはちょっと苦しくて。負けが続いちゃったので、自信が持てない中でのTリーグだったなと思います。どこに重点を置くのかはもちろんオリンピック選考ですけど、 Tリーグでもポイントは少し入りますし、どこに重点を置くべきで、今の自分の体でどうやって戦えるのかが定まらないまま試合をしてしまいました。そういう感じでやってしまったので、結果に結びつかなかったのかなと思います」
――T.T彩たまでは明大の後輩の飯村悠太(商1=野田学園)ともチームメートです。
「飯村に関してはすごく伸びている選手ですし、全日本(全日本選手権)も最低限のところまでいって曽根(翔・T.T彩たま)といい試合をしてたと思います。今季は(Tリーグの)出場機会なかったですけど、大学の中ではこれから今以上にも勝つと思いますし、まだ今1年生で明治を引っ張っていく存在になると思うので期待しています」
――大学1年次を振り返っていかがですか。
「1年生の時もケガに苦しめられました。 今、2020年の時にケガした部分がもう1回痛くなってるのか、ヘルニアなのかってところを今探ってる状態で。(当時も) 腰のケガがやっぱり痛くて、3カ月間練習休みました。そんな中でもやれること探して頑張ったなと思います。ドリーマッチも開催してもらって、自分にとってはすごくいい経験だったのかなと思います」
――大学2年次はいかがでしたか。
「シンガポール(スマッシュ)この間出ましたけど、(自分でも)3位ってすごいなと思いますね。(トーナメントの)場所も中国選手と当たんなくて良かったと思うんですけど、その中でも勝ち上がれたってことは、今振り返ってもやっぱりすごいなって思います。ダブルスは世界選手権でメダル目指してたので、しっかり(銅メダルを)取れたのは良かったですけど、 その年中国選手が負けてしまって違う選手が優勝したので、自分自身にもチャンスがあったなと正直なところ思うので、終わってみると悔しい気持ちが強いです。最初から本気で優勝狙ってた大会だったので悔しかったです」
――全日本選手権でダブルス優勝も果たしました。
「その年はダブルスアジアチャンピオンでもいましたし、世界選手権3位ですごい流れが良かったです。やっぱりコンスタントに大会出て(戸上隼輔・令6政経卒)と組んでたので、一番マッチしてたなっていう風に思いますね」
――3年次振り返っていかがですか。
「世界ランクも30位ぐらいには抑えられていて国際大会はそんなに悪くなかったと思います。僕はほぼ(団体)インカレしか出てないですけどグランドスラム達成できたのはうれしかったですね。1年生の時は開催されなくて2年生は決勝で負けてしまって悔しかったんですよね。その時僕自身国内の団体戦にそんなに出ることなかったので、自分のチームが負けてしまったのが悔しくて、やっぱり3年で優勝したいなと思っていました。その中でグランドスラムだったのですごくうれしかったです。決勝前に清さん(斎藤清総監督)が、出るメンバーが集合する時に涙を流して送り出してくれたんですよ。その時は正直、清さんのことあまり知らなかったんですよ。もちろん選手としては知ってますし尊敬していましたけど、あまり深くは関わってなかったので、すごい熱い人なんだなと感じました。(そのエールが)すごい熱くて絶対決勝勝たないといけないなって思いましたね。僕が2番で1番の宮川(昌大・令6情コミ卒)が負けちゃって、絶対とりあえずここは1―1にしないといけないと思って、ギアが1、2個ぐらい上がった感じで、頑張れました」
――4年次を振り返っていかがですか。
「自分自身の卓球を3年生ぐらいから変えていました。3年生の時は結果が出づらかったんですけど、手応えを早くつかんでいきたいみたいな感じでやっていたんですよ。それが4年生になってからちょっとずつつかみ出して。自分の苦手だったパターンでも点数が取れるようになってきたり。(変えていったところを)簡単に言うと、攻めが得意なんですけど守りも鍛えていきました。でも逆に守りに傾いて自分の得意な部分を出し切れず負けちゃう期間もあれば、攻めに傾く期間もあったり、バランスをうまく取れない自分がいて。それがうまく変えられるようになったのが4年生だなって。選考会も3位以内に入れなかったんですけど、5位とかベスト8とかに2、3回ぐらい入って結構安定してきてるなっていう。安定してきて、プレースタイルの幅も前より上がってきている実感があったので、強くはなっているのかなと感じていました。今年の全日本はやりたいことを確実にできているなと感じました。もちろんパリ(五輪)目指す上ではもっと勝たないといけなかったですけど、自分の目指しているプレーには少しずつ近づきながら安定してしっかり勝てるようになってるので、成長したのかなと思います」
――パリ五輪代表選考レースは約2年にわたりました。振り返っていかがですか。
「悩んだなって感じですね。今の環境からちょっと変えていかないといけないなと思ってドイツ行ったりとか、結構試行錯誤して活動したなっていうイメージですね。大変でした。ケガももちろんありましたし、ドイツ行ったりもしましたし。けど成長できたのかなって。やって見えてくるものがすごく多かったなっていう風に思います」
――同期の戸上選手がパリ五輪代表に内定しました。率直な気持ちはいかがですか。
「やっぱり安定して勝っているから、出るべきです。そこを自分も目指していたので、悔しい気持ちもありますけど、やっぱり強くなっているなっていう感覚があります。すごい自分の卓球を貫いている感じがあって。僕自身は結構ブレる要因が多くて。ケガもそうだし、プレースタイルもこっちの方がいいんじゃないかとか、選考会始まっているのにそういうとこがブレてしまってるから、それは良くないなって思いました。結果的にですけど、そういう迷いが自分は多かったですね。今オリンピック選考で勝つことより、こういうプレースタイルにしていきたいからと先を見過ぎた感じはありました。課題点に執着しすぎて、そこばっかり気にしちゃったなっていうのはあります」
――戸上選手にエールを送るならどんな言葉を送りますか。
「自分のペースを崩さずに頑張ってほしいなと思います。でも頑張れというよりかは悔いがないようにって感じですね。そんな感じで送りたいです。緊張もすると思いますし、プレッシャーって結構すごいと思います。やっぱりオリンピックに対して不安は結構あると思うので、それを焦らず自分のペースで確実に取り組んでいって、悔いがないように終えてほしいなと思います。本人は頑張ると思うんで頑張れっていうよりかは、納得の上で大会を終えてほしいなと思います」
――同期はどんな存在でしたか。
「本当に仲良しですね。あと宮川に関しては本当に明治を引っ張ってくれたなと思います。僕と戸上はほぼいなくて、期待されているよりも試合に出ることが少なかったと思います。リーグ戦もそうですし、日常的にもほぼいないんで、昌大だと思います僕の学年で一番〝明治の学生として明治を引っ張った〟のは。チームをっていう面で考えると確実に昌大だと思います」
――つらい時に同期に助けられることはありましたか。
「助けられる時もありました。(寮に)帰って話しているだけで面白いです。卓球面でいうとやっぱり昌大とか結構ガッツあって頑張っているのを見てると、自分も頑張ろうって思いますね。ネガティブになっている時に、松田(歩真・商3=野田学園)とか見てやらないとダメだなと思うこともありましたね。(松田は)ずーっと練習頑張るんですよ。ずっと頑張ってるんですよ。何て言うんだろう。頑張ってるなって見て分かる頑張り方というか。そういうの見て刺激受けますね。自分が今日きついなって時にあえて松田を指名することも結構ありました。それで自分の気持ちを高めてました」
――今後の具体的な目標を教えてください。
「世界ランキングをやっぱりまずは50位。そこをしっかりクリアすること。そして今年は30位目指して頑張りたいなと思ってます」
――ファンの方へメッセージをお願いします。
「ここで区切りということで4月からまた新たな生活で活動拠点も変わってより自分自身を高められるのかなと考えています。向き合い方をしっかり改めて、自分がさらに強くなれるよう頑張っていくので、新しい自分として見てもらえたらうれしいかなと思います。あとは英田さんと組んだりちょっと予想外?のことも視野に入れながら、そういうのもたまには楽しんでもらえたらと思います。もちろん結果が全てですけどカットマンと組むことで違う自分になれたりとか。そういうのも一つ話題として楽しんでもらえたらなと思います」
――同期の皆さんにメッセージをお願いします。
「本当4年間やってきて楽しかったです。大学離れてもつながってるんじゃないかな。卓球を離れる人もいますけど、これからは形は違いますけど、チームメートじゃないけど、変わらず過ごせたらなと思います」
――ありがとうございました。
[末吉祐貴]
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