(9)バレーボール部 荒井貴穂、三宅雄大インタビュー拡大版/新歓号特別企画

2024.04.01

 昨年度インターハイ、全日本高等学校選手権(以下、春高)ともに優勝、高校バレーボール界の頂点に君臨する駿台学園高(以下、駿台)から、2人のスターがやってきた。その名は荒井貴穂(法1=駿台学園)、そして三宅雄大(文1=駿台学園)。バレー界を沸かせた彼らの、新たな舞台での希望や目標を伺った。

(この取材は2月28日に行われました)

――バレーを始めたきっかけを教えてください。
荒井(以下、荒):家族がバレーをやってたからです。
三宅(以下、三):自分は姉がバレーやってたので、始めました。

――駿台学園に入学した理由を教えてください。
荒:元々駿台の付属の中学校が強くて、その子たちがそのまま駿台に上がって強くなると思ったので、自分も一緒にバレーしたいなって感じで決めました。
三:自分は中学から駿台なんですけど、小学校の時仲良かった子たちが駿台に行くっていうのを聞いて、自分も駿台にしました。

――お互いの印象はいかがですか。
荒:バレーでも生活の面でも周りが見えてるというか、いろいろな面で支えてくれます。
三:バレーに対する印象は全体的にバレーボールがすごく上手で、バレーに対する意識が高いなっていう印象です。

――良くも悪くもすごく注目された1年だったと思うのですが、3冠を目指されていた中でプレッシャーなどはありましたか。
荒:最初の方というか、国体(国民体育大会)で負けるまではありました。

――逆に国体で負けてしまって、ある意味で重圧から少し解放されたような部分があったのでしょうか。
荒:たしかにそれは結構ありました。
三:自分もヒデと一緒で、インハイ(インターハイ)の前はすごく勝たなきゃいけないっていうプレッシャーはあったんですけど、国体負けてからはそんなにプレッシャーはなかったです。

――そのプレッシャーというのは「勝たなきゃいけない」というような自分の中での焦りがあった感じですか。
三:そうです。結構周りからも今年は駿台が優勝みたいに言われてたんで、それで負けたら周りの期待も裏切っちゃうし、自分の中でも勝たなきゃいけない勝たなきゃいけないって思ってしまってすごく焦りにもつながったなと思います。

――逆に国体で負けてしまった後の方がバレーをやりやすくなったとかはありますか。
荒:周りからは「優勝でしょ」みたいな感じのプレッシャーっていうか、そういうのは変わらなかったんですけど、自分たちのモチベーション的には挑戦者みたいな感じだったんで、そういう意味ではやりやすかった感じです。

――3冠を目指していた中で、国体で敗れた時の気持ちを教えてください。
荒:ああ、負けちゃったな、みたいな。
三:3冠目指してたので、国体で負けてその目標が達成できないってなったのがすごく悔しくて、開き直るのに時間がかかりました。

――国体での敗因は何だと思いますか。
荒:相手が自分たちを研究してやってきてる中で、自分たちは今まで決まると思ってた攻撃が決まんなくなった時に対応し切れなかったのかなと思います。
:敗因はまずサーブが打ててなかったのと、雰囲気があまり良くなくて、焦って自分らの持ち味を出せなかったことかなと思います。

――国体で負けてからのチームの雰囲気はいかがでしたか。
荒:自分はチームを引っ張る側ではなかったのですが、自分が悪かった時には常に指摘したり悪いことをちゃんと話し合うっていうか細かくっていうか、緩い雰囲気ではなかったと思います。
三:負けた後とかも、細かく言い合ったりできてたので、負けた後みんな悔しかったと思うのですが、今まで以上に空気が締まってたかなと思います。

――国体を終えてから春高までの間に、練習の仕方だったり今までと変えたことなどはございますか。
荒:プレーの面では元々守備が売りのチームだったのですが、国体前よりも守備の形とかの意識をまたさらに強く持って、みたいな感じでやってました。
三:プレーはヒデが言った通りで、後は国体で山口の高川学園に負けてから春高までの間は、他のチームだったら決まるスパイクでも上げられるレシーブでも、高川には通用しないっていうのはお互いすごく言い合ってました。

――春高で国体王者である高川学園を撃破しましたが、リベンジを果たした時の気持ちを教えてください。
荒:とにかく安心しました。
三:自分は正直この1年間で一番勝ててうれしかった試合でした。国体で負けてから春高まで高川のことばっか考えてて、高川を破るためにやってきたって感じだったので、高川に勝ったっていうのが何よりうれしかったです。

――3年次の春高は連覇が懸っていましたが、重圧はありましたか。
荒:負けちゃダメっていう気持ちはありましたが、他の二つの大会(インターハイ、国体)よりはなかったのかなって思います。
三:あまり連覇の重圧はなかったです。

――高校時代で一番印象的だった試合を教えてください。
荒:まさに今話してた高川との試合が一番印象に残ってます。自分は今年になってレギュラーになったというのもあり、1、2年の試合に出てた人よりも印象に残ることもなくて、今年になって1回負けた相手に勝ったっていうのが、やっぱ一番印象に残りました。
三:自分は高川戦もそうなんですけど、2年生の時の春高の決勝とかもすごく覚えてます。相手は鎮西高校(熊本)だったんですけど、鎮西の3年生も自分の持ってる力を全部発揮していて3年生の偉大さやプライドをすごく感じたので、自分もそうなりたいっていうふうに思えた試合でした。

――高校3年間で一番苦しかった時はありますか。
荒:自分は2年生の春高前後です。練習試合とかでは試合に出る機会が多かったんですけど、結局春高では全然出れなくてって感じで悔しかったです。
三:3年生の国体終わった後にあんまり練習試合とかで出させてもらえなくなってしまって、その時期はすごくモチベーションが上がらずきつかったです。

――落ち込んだ時の立て直し方をそれぞれ教えてください。
荒:自分はあんまり落ち込むタイプとかではないので、チームの中で明るく元気にやってたらいいかな、みたいな感じですね。あんまり考え込まずって感じです。
三:自分にしかできないこととか、自分にしかないものっていうのをもう一回磨こうっていうふうに考えて、またコートに立てるように頑張ろうってなる感じです。

――メンタルの管理で何か心がけていることはありますか。
荒:自分が悪かった時は、プレーで悪かったことは見返すんですけど、気持ちの面で悪かったことは全く気にしないで、次に次にみたいな感じの気持ちではあります。
三:自分は試合中とかに焦ってミスとか出ても、なるべく気にしない、次のプレーにどう生かすかっていうのを考えたりします。

――明大を選んだ理由を教えてください。
荒:去年とかから試合を見てて雰囲気も明るいというか、楽しそうで、バレーのスタイル的にも速い攻撃とかが増えてきてて、自分に合ってるのかなと思い選びました。
三:自分もヒデと一緒で、バレーを楽しんでる姿とか、あとは他の大学よりも攻撃のテンポが速かったりしてバレースタイルが自分に一番合うと思ったので明治にしました。

――明大バレーボール部の雰囲気と速い攻撃以外の魅力は何だと思いますか。
荒:今寮に入って思ったことでなのですが、上下関係がしっかりある中でもやっぱ他の学校より分け隔てなく話せるのかなって思います。
三:自分も実際に練習に参加してコートに入ったら、学年関係なくお互いに言い合っています。まだ入ってすぐなのですが、思ったこととかは言いやすいです。

――明大バレー部の中で、仲のいい選手とか先輩はいらっしゃいますか。
荒:吉田竜也(政経2=駿台学園)さんです。この前枕買ってもらいました(笑)。
三:自分も竜也さんです。竜也さんとは中学からずっと一緒なのですごく信頼してますし、仲もいいと思います。

――大学と高校のバレーの違いは何だと思いますか。
荒:一人一人の高さとか力も違うと思います。
三:学生が主体となって練習を考えたり進めたりしてるので、そこが高校と違うとこかなって思います。

――明大バレー部で憧れの選手はいらっしゃいますか。
荒:憧れというか、代表に入ってるので小川選手(智大、平成31年度卒・現ウルフドッグス名古屋)がすごいと思っています。
三:坂本雄大さん(政経4=市立尼崎)とかよく話してて同じポジションなので、すごくお手本になるし目標にしている選手です。

――ライバルはいらっしゃいますか。
荒:もちろん亀岡(聖成、筑波大)ですね(笑)。レシーブが自分よりうまくて高校の時から意識してました。攻撃面ではちょっと勝ってるのかなみたいな感じです。
三:駿台の一個下の川野琢磨がライバル。琢磨は高さがすごくあって、それに関しては絶対かなわないですけど、2本目のつなぎは琢磨より自信があります。

――理想の選手像はありますか。
荒:やっぱり自分は守備が課題なので、守備面のプレーでチームを引っ張れるような選手になりたいです。
三:自分はまあ、ポジション的に点数を取ることが一番の役目なんですけど、1、2本目のレシーブやトスにもこだわりを持って、オールラウンダーな選手になるのが理想です。あとは、身長が低い中でも点を取れる選手になって、身長の低い選手から憧れられる存在になりたいです。

――昨年度の東京エキシビジョンマッチでは駿台が明大、中大に勝利しましたが、試合を振り返っていかがですか。
荒:雰囲気とかが大学生っぽくてすごくやりにくかったです。高校だと雰囲気が若干ピリッとした感じになることが多いです。高校生からしたら大学生独特の雰囲気みたいなのがやりにくいです。
三:観客も入ってる中、バレーをすごく楽しそうにやっているように見えましたし、実際自分も対戦して、すごく楽しかったなっていうふうに思いました。

――梅川大介監督(駿台学園)からかけられたお言葉で、印象的なものはございましたか。
荒:言葉ではないのですが、試合中の一つのプレーに関して技術面を教えてくれることが多くて、できなかったら結構何回も何回も言ってくれて、自分ができないことに対して同じことを繰り返し言ってくれたのがありがたかったです。できてないことを再確認できるし、それもあってチームとしても自分個人としてもうまくなれたのかなって思いました。
三:春高のトーナメントが決まった時に監督を含めたミーティングがあって、監督から「お前らがちゃんとやることをやれば負けることはないんじゃない」みたいなことを言われた時に、監督は割とお世辞なしにちゃんと思ってることを言ってくれる人なのですごく自分らにも自信がついたというか、自分らやれるんだなっていうふうにプラスに捉えられました。

――今後の目標を教えてください。
荒:目標はリーグ戦(関東大学1部リーグ戦)優勝なので、それに少しでも貢献できたらなと思います。
三:チームの目標はリーグ優勝だったり、インカレ(全日本大学選手権)優勝だと思いますが、まずは個人として、ちゃんとスキルだったり、体をしっかり成長させてから少しでも長くコートに立てるように頑張っていきたいなと思います。

――ありがとうございました。

[田上愛子、橘里多]

(写真は本人提供)