(3)第2回明治ビジネスチャレンジ 宮田憲一准教授、蓮見大聖インタビュー拡大版/新歓号特別企画

 2022年度から始まった明大経営学部主催「明治ビジネスチャレンジ」。書類選考と第1次選考会を通過した8名の学生が、4度のアクセラレーションプログラムでアイデアを磨き上げ迎えた最終選考会。さまざまな起業・スタートアップを目指すアイデアが出され、最優秀賞に輝いたのは『誰もが宇宙へ暮らせる未来』を掲げるAmateras Spaceの蓮見大聖(令6情コミ卒)。「日本社会をより良くして、グローバルに活躍していく起業家をどんどん生み出せていけたら」(宮田憲一准教授)と〝前へ〟突き進む学生を、明大は支え続ける。

宮田准教授
――明治ビジネスチャレンジを始めたきっかけを教えてください。
 「私の教え子が『僕、起業して経営者になりたいと思って大学に来たんです。でも誰もそんな話をしないし、支援もなくてすごく困った』という話を聞いていました。そもそも経営学部の勉強は別に経営者にならなくても必要ですが、面白いことしようとした時にとても役立つものです。そういう機会はあった方がいいんじゃないか、といった話があったのが1つ。もう1つは、それに共感した明大OBの職員の方が、経営学部にいて『やりましょう、先生』ってなって。
 もう1つ、プログラムディレクターの川野正雄氏と偶然私の教え子の経由で知り合って。『企業関連の面白い授業とかやりたい』といったことを話していました。その3人がたまたま集まってもまだ足らない。そうしたら、OBの方から突然寄付をいただいて。この4名がそろったことで出来上がる偶然の一致でした。みんな思いはあってやらなきゃいけないけど、1人じゃできない。それが突発的に思いが合って、 開催する流れになりました」

――第2回の開催が不安だったとおっしゃっていましたが、今大会はどのような印象を受けましたか。
 「第1回もレベルは高かったけれど、第2回はさらにレベルが高かったというのは、審査員や関係者の方々皆さんが言っていた通りですね。今回は特に熱意がより出てきたかなと思います。その代表はまさに蓮見くんだけど、蓮見くんだけではなく、KIMさんや野津さん、最後の甲田さんの『おじさんにチャンスください』のように。それぞれの思いが非常に全面的に出ていて、評価がより難しくなったポイントだったと思います。どんどんみんなこういう新しいことやりたいんだという熱意が、さらに出てくるようになったかなと思います」

――明治ビジネスチャレンジを通して、在学生、また新入生にどのようなことを伝えたいですか。
 「明大生って結構素直で、能力と行動力があるのが、1つの特徴だと思っています。そうすると、OBOGがとても助けてくれる。このビジチャレを通じて、OBOGの方が後輩たちを支援しよう、と今さらに集まっていて。だから『怖がらずやってみる』と伝えたいです。君たちが思っている以上に明大って後輩思いなところがあります。端的にまとめるなら『Go forward』で、飛んでいけってイメージですね。Go forwardって前に前にってラグビーのイメージだと思いますが、僕の中では、こう飛んでいく、 越える。飛んでけって感じ。その前へっていうイメージを、もっと広く捉えてやってくれるといいなと思います。常に垣根を越えていけ、飛んでいけっていう気持ちで4年間楽しく過ごしてってもらえればいいかなと思います。」

蓮見
――蓮見さんの事業について教えてください。
 「今やっている宇宙事業は、主に宇宙船や宇宙ロケット向けの生命維持装置と呼ばれる空気を作る装置になります。それを宇宙船のある宇宙ベンチャーに向けて提供、開発をしていく企業です。自立型のECLSSプラットフォームを向けて開発を進めています。また地上での災害対策や軍事関連の実用化も視野に入れています」

――ご自身の力でこう社会をどうしていきたいですか。
 「極端に言うと、僕はみんなありのままの姿でいいと思うんです。 僕がみんなに起業しろと一切思ってはないし、むしろ就職をしてその次のステップアップとして起業や転職で違うキャリアを歩んだ方がいいかもしれない。人それぞれだとは思いますが、純粋に自分が描く絵を自分がコントロールして、それを作っていける楽しさ。もちろん不安や葛藤があると思うんですけど、僕は誰かの絵で自分がいるっていうよりは、自分の絵で自分が中心として生きたい。それは多分、アンパンマンや仮面ライダーなど、幼少期から主人公に憧れていました。アンパンマンだって人を助ける意味では、いつでもヒーローのような存在じゃないですか。僕も自分の人生を自分が主役だと思って生きているので、その絵を自分で作っていく方が楽しいかなと思います」

――MEC(明治起業サークル)を立ち上げたきっかけを教えてください。
 「共同創業の高橋桃花(令5情コミ卒)が同じゼミで、その当時僕は明治で起業をしたいと思っていて。元々アパレルと予備校やっていたんですが、起業の情報が明治にあまりなくて。どのように会社を作るのかを聞ける人がまったくいなかった、ということがありました。そうしたら高橋が学外ですごく頑張っていて、しかも起業に関してよく分かっているとのことで、一緒に明治起業サークル(MEC)を発足した形ですね」

――そのリーダーシップや、主人公になりたいという気持ちはどのように生まれましたか。
 「主人公になれなかったのが大学入るまでの人生でした。割と制限された家庭でしたが、大学入ってもっと個性とか自由にやっていいんだなってことを知って。ならば自分が生き生きできる土俵ってどこか考えて、最初は予備校で高校生に勉強を教えるとか、みんなが元々できることから始めました。そういったところから模索しつつ、 一番でかいことをやりたいなと思って『宇宙』にたどり着きました。 明大生に伝えたいこととしては、自分が生き生きできる土俵はどこなのか、まさにそこを考えられる学生生活だと一番いいと思います」

[杉田凜]

蓮見 大聖(はすみ・たいせい)埼玉県出身、令6情コミ卒。Amateras Space CEO。JAXA(宇宙航空研究開発機構)にて宇宙環境のECLSS(環境制御・生命維持システム)研究に携わる。宇宙スタートアップ2社で事業経験を持つ。国内最大U25のビジネスコンテスト 「TORYUMON」や明治ビジネスチャレンジなどで最優秀賞受賞、JETROのグローバルイノベーター創出プログラムをはじめ複数のアクセラレーションプログラムに採択される。

明治ビジネスチャレンジについての詳細はこちら↓

https://www.meiji.ac.jp/keiei/features/businesschallenge.html