(2)篠原光アナウンサーインタビュー拡大版 後編/新歓号特別企画

 「好きを追求してほしい。それが最大の原動力」。明大を卒業後日本テレビに入社し、アナウンサーとして『ヒルナンデス!』などの番組で活躍。現在はゲームキャスター界の第一線で活躍する岸大河氏の下に弟子入りし、活動の幅を広げている。〝好き〟を追いかけ続ける、その類を見ないキャリアに迫った。

今回は篠原光アナウンサー(平30政経卒)へのインタビュー後編(ゲームキャスター転身後)をお送りします。

(※この取材は3月5日に行われたものです)

――ゲームキャスターになって特に変わったことは何ですか。
 「ゲーム実況やイベントMCとして活動するようになって大事にしているのは、情報プラス感情を伝えることです。それは今までやってきたキャリアのハイブリッド型ですね。アシスタントを務めた『ヒルナンデス!』で、南原清隆さんや他のタレントさんたちがやっていたリアクションとか表情で感情を伝え、僕がアナウンサーとして情報を伝えていたものを一つにまとめた形が今の仕事の形です。それで、少しでも笑顔になってもらいたいが結局戻ってきますが、プラス情報を正確に伝えたいっていうマインドに変わりました。だから、笑顔になってもらうためにアナウンサーっぽくないリアクションとか、椅子から立ち上がって実況するとか、MC中に熱くなって上着脱ぐとか。情報プラス感情を伝えるっていうのはすごくありますね。
 あと、よりテレビに比べて規模が小さい分、誰に伝えているかが見えやすいんです。ネットのコメント欄とかにも人がいるし、イベントは目の前にお客さんがいるし。一方通行の情報伝達ではなくて、双方向のコミュニケーションを通して情報と雰囲気が伝わったらいいなと、より思います。何人、何万人の前に立ったとしても、僕はお客さんと会話すると思います。 手挙げてとか、人が多すぎてリアクションが分からない時は、イエスノーがわかんない時は、全然わかんないですけどって言いながらMCにしますね。大勢対1人ですけど、常にコミュニケーションを取りたいなと思います」

――他のコンテンツと比べより知識が必要なのが特にゲームキャスターと思われますが、意識することはありますか。
 「それ、腕の見せどころですね。難しいと思われがちなカルチャーをどれだけ難しくなく伝えるかっていうのが、伝え手がいる理由だと思っています。やっぱり難しさはありますが、自分自身が理解して知識を入れるからこそ、例を入れたりしてできるだけわかりやすく伝えます。僕らは言葉のプロなので、その状況をいかに万人に伝わるように言葉を選んでっていうところだと思うので、分かりやすくするために情報の取捨選択がすごく大事です」

――ゲームキャスターに転身された昨年度をご自身で振り返っていかがですか。
 「大満足でした。自分が見ていた世界をガラっと多分変えられた1年だったっていう感じですね。ゲームに例えるなら、クリアしたなと思っていたゲームに新しいマップが見つかったみたいな感覚に近くて。日本テレビに入って、全国津々浦々を取材して、いろんなことを発信していると分かった気になるんです。でも、いざ外に出てみて、初めましてを365日繰り返して。知らない世界を知れた1年はこんなに満足いくことはないですよね。好きなことやりながらでしたし、 自分が好きなものを作る人たちにあいさつをし続けられた1年だし、師匠をそばで見られた1年だったし。やりたかったこと全部できました」

――今後ゲームキャスターとして成し遂げたいことや目標はありますか。
 「『マスメディアにeスポーツシーンを取り上げてもらう』これが当面の目標です。今は大衆向けのメディアがゲームのことを取り上げるっていうのはあまりないですが、最終的には情報番組で取り上げてほしいと思っているんです。大衆向けのメディアがわかりやすくeスポーツシーンのすごさを伝えられるようになったら、それは大きな一歩だと思ってます。だから、取り上げてもらえるようなイベントをやることかな。僕の信念に『選手のすごさを知ってほしい』っていうのがあるので、選手フォーカスのイベントや発表会なり、大人たちに見てもらえるようなことをして、それを取り上げてもらうのが目標ですかね。当面の間はeスポーツ選手のすごさを知ってもらう、がテーマですね。(国民全体に文化が浸透する、のようなイメージですか)そうですね、親子で一緒にゲーム観戦する、がいいな。お子さんたちが見たいって言ったゲームの大会を親御さんも一緒になって見た時に、親御さんもすごいじゃんって言ってくれるような実況がしたいですね。ゲームシーンで唯一表に出られるいい大人が実況たちだと思っているので、 社会性っていう部分を僕らは担わなきゃいけないと思います。ゲームを楽しんでくれる選手たちにそこまでは担わせられないので、カルチャーとして伝える大人の責任は社会性を保つことだと思います」

――新入生に向けてメッセージをお願いします。
 「先のこと考えすぎると不安は増すばかりです。その先、不安な未来を変えるのは今の自分なので、怖くても動いてみたらいいと思います。あと、自分を繕わないこと。できないことはできないって認める。誰かを頼る、誰かと一緒に動いてみることですかね。無理はしない、けれどいっぱいチャレンジしてみて欲しいなって思います。それをすごく応援したいです」

[杉田凜、高橋佳菜]

◆篠原 光(しのはら・こう)平30政経卒。1994年11月26日生まれ。東京都出身。2018年に日本テレビに入社し、「ZIP!」や「ヒルナンデス!」を担当した。2023年3月に退社後、ゲームキャスター岸大河が代表取締役を務めるProtagon株式会社に入社。趣味はゲーム、漫画、アニメ鑑賞。休日は下北沢のライブハウスに通い、インディーズバンドのライブを聴くほどの音楽好き。今イチオシのバンドは「chevon」。自身を一言で表すなら「人が大好きな性格」。