
(111)全国大学選手権決勝・試合後コメント 廣瀬雄也
2024年1月13日。廣瀬組は5年ぶりの日本一を目指し全国大学選手権・決勝へ挑むも、最終スコア15―34と優勝はかなわず、2年ぶり13度目の準優勝で幕を閉じた。試合後、最後まで全力で戦い抜いた紫紺の戦士たちは何を思うのか。スタメン選手15人にお話を伺った。
第12回は左センター廣瀬雄也主将(商4=東福岡)のインタビューをお送りします。(この取材は1月14日に行われたものです)
――決勝戦を振り返っていかがですか。
「正直負けたのはすごく悔しいですけど、選手だけじゃなくてファンの方の明治コールが今までに聞いたことのない声量だったから『ONE MEIJI』を掲げてそれがあの決勝の舞台で体現されたんだなというのはすごく感じたので、とても幸せな時間でした」
――最後の校歌斉唱はいかがでしたか。
「すごく選手みんなが声を出していて、自分も最後の校歌かみしめながら歌いました。明早戦の時の校歌もすごかったけど、自分はジャージー着て歌えなかったからすごく後悔もあったので、ファンの人たちもすごくスタンドから大きい声で校歌を歌ってくれて、本当に最後って思うと結構くるものもあったし、あの校歌は良かったなと思います」
――帝京大相手にどのような明大のラグビーを体現できましたか。
「結果的にはゲインなど前に出ることはできなかったかもしれないんですけど、全員が少しでも前にいこうという気持ちを見せられたと思うし、一つのミスボールに対しての反応もすごく良かったと思います。帝京大はミスが少ないと思うんですけどかなりミスを連発させられたし、決勝という舞台で帝京大相手にもそういうプレッシャーをかけることができたから、それは明治の重圧というか〝前へ〟の精神を相手に感じさせられていたのではないかなと思います」
――ハーフタイムにはどのようなことを話しましたか。
「まず敵陣でやることがすごく大事だという話をしました。やっぱり自陣でやっちゃうと、帝京大の素晴らしいアタックとあの力強いFWのところで点を取られてしまう可能性も高くなるので、とりあえず敵陣でプレーを続けること。そのためにはハイボールなどでしっかりとチェイスをして、相手のミスを誘わないといけないという話になっていて、それが前半の最後の方はできて相手のミスを連発させて、そこからトライを重ねることができたと思います。あの短いたった5分の中で2トライすることができたから、それを遂行すれば明治のラグビーができるんじゃないかって話にもなっていて、でも一つのミスで自分たちはトライを取ることができたけど、逆に自分たちは一つのミスのペナルティーとラインアウトで得点につなげれられちゃうという話をしてたので、その通りに後半自分たちのミスとペナルティーから徐々に3点を重ねられて点差が開いてしまったと思います」
――後半、帝京大に流れを持っていかれてしまった要因はありますか。
「最初の入りのところで少しずつペナルティーを重ねてしまったところですね。帝京大は選手権2連覇の優勝経験のあるチームで勝ち方を知っているんで、PGで3点を徐々に刻まれることが、自分たちにとっては精神的にも3点ずつ離れていくことでちょっと焦りも見えてきたし、徐々に帝京大ペースになっていくので、3点を刻めさせないためにもペナルティーをしてはいけなかった。大事なところでミスもしちゃいけなかったと思うし、逆に自分たちが敵陣入った時に得点を取り切れなかったというのもすごく反省だったし。いろいろ挙げたらきりがないですけど、やっぱり一つのペナルティーと一つのミスが得点につながるなと感じました」
――明大の仲間たちとプレーする最後の試合はいかがでしたか。
「すごく楽しかったし本当に幸せな時間でした。結果を残せなかったのはすごく悔しいけど、あの大歓声の明治コールと雪が降る中のナイター。今までの4年間の試合の中のどれとも全く違ったし、同期の顔とか集まっている時の話も、その一瞬一瞬が全て忘れられない記憶になりました。本当に明治に入らないとこの経験をさせてもらえなかったのですごく幸せな時間でした」
――試合後は涙を流す場面もありましたがどのような思いが込み上げてきましたか。
「試合後はどちらかというともうかなわなかったなって張り切って選手たちを鼓舞していたんですけど、スタンドを見て今まで応援してくれていたファンの方々の顔を見たりすると、結果として優勝した姿を見せられなかったっていう悔しさと申し訳なさが一気にきて、その上の4階席を見ると同期やノンメンバーのみんなが手を振ってくれていて。それを見ると本当に優勝できなかったっていう悔しさが一気に込み上げてきました。あと廣瀬コール。あれは本当にすごかったです。本当にたくさんの方が応援してくれていたんだなと。スタジアム全体が1人の選手に対してコールすることなんてなかなかないと思うので、あれをされるともう後悔しようがないというか、明治を選んで主将をやらせていただいて本当に幸せな瞬間だなと思って、いろいろな感情が込み上げてきてすごく感動しました」
――試合後同期の4年生とはどのようなことを話しましたか。
「主務の不京(大也・営4=明大中野八王子)、リーダー陣の嶺二郎(山本・法4=京都成章)や将太郎(池戸・政経4=東海大相模)、そこら辺はもう本当に今までやってきたことが大変だったから、ハグをする時にすごく込み上げるものがあって、『ありがとう』しか言うことがなかったです。ロッカールームに戻って、みんな終わり切って笑顔でありがとうって言っていたんですけど、そこにノンメンバーの4年生が入ってきて、その瞬間またみんな涙出て、ノンメンバーの4年生たちには『ごめん』という言葉しか出てこなかった。みんなで抱き合って泣いている時に『お前がキャプテンで良かった』『ほんまにお前が一番良かったよ』みたいに言われて、その時は本当にこのチームで、この同期で良かったし、この同期の中で主将をやって幸せだったなって、みんながそう思ってくれていたんだなって初めて知ったので、本当にこの仲間に出会えてよかったなと思いました」
――後輩たちにはどのようなことを伝えたいですか。
「自分たち4年生の役目っていうのは優勝するだけじゃなくて、その次の代につなげてもう10年、20年、100年続かせていくための継承の立場なのかなと思うので、4年生はしっかりOBとしても明大ラグビー部を支える。後輩たちはこの悔しさっていうのを絶対無駄にしちゃいけないし、むしろバネにしないといけない。どんな年であろうが優勝を目指すことは変わりないチームだと思うから、しっかりこの悔しさっていうのを次の後輩たちにつなげてもらって、新しい1年生にも明治のプライド、チームを継承させて、それをどんどん繰り返すことが明治の大学ラグビーの存続する理由だと思うので、そこを後輩にも継承していってほしいなと思います」
――ありがとうございました。
[久保田諒]
◆廣瀬 雄也(ひろせ・ゆうや)商4、東福岡高、179センチ・95キロ
関連記事
RELATED ENTRIES