(197)箱根駅伝事後インタビュー⑮/山本豪駅伝監督

2024.01.07

 第100回を迎えた箱根駅伝(以下、箱根)。悲願のシード権獲得を目指した明大だったが、往路での出遅れが響き総合20位とまさかの結果に終わった。失意の中で選手たちは何を思うのか。今回はレース後の声をお届けする。

 

 第15回は山本豪駅伝監督のインタビューです。(この取材は1月6日に電話で行われたものです)

 

――今大会の総括をお願いします。

 「大変残念な結果に終わってしまったと思っています。その中でも1区の大湊(柊翔・情コミ1=学法石川)と8区の綾(一輝・理工1=八千代松陰)が区間上位で、タイム的にも良いタイムで来てくれたことは好材料だったなと思っています」

 

――名前を挙げた綾選手と大湊選手の評価を教えていただけますか。

 「両名とも点数で言えば100点ですね。大湊は明大記録ですから1年生として、タイムは申し分ないですし。綾も12月上旬にケガをしたのでその中では非常によく走ったと思います」

 

――往路は23位となりましたが、大湊選手以外の各選手を振り返っていただけますか。

 「児玉(真輝・文4=鎌倉学園)は最下位ですし。森下(翔太・政経2=世羅)についても予想よりも 3分以上悪いですね。児玉についても同様3分くらい悪い。 体調不良とか故障が発生したのかと思い、確認を取ったら寒さと雨で体が動かなかったという話だったので、ウオーミングアップが足りなかったのかもしれないです。今は解散中で学生がいませんので、詳しい話を解散後に色々聞きたいなと思っていますね」

 

――児玉選手は2区で最下位に沈んでしまいましたが、監督から見て考えられる要因はありますか。

 「一つは先ほど言ったウオーミングアップ不足が考えられます。後は本人も言っていたようにメンタル的な部分ですよね。児玉は箱根だけうまくいっていないんですよね。そういったところでのプレッシャーが影響したのかなという気はします」

 

――児玉選手のインタビューでフォームがいつもと違ったという話がありましたが、それは運営管理車から見ても明らかでしたか。

 「すごく分かりました。ロボットみたいな走りでがちがちだったので、大丈夫かなと思いながら見ていたら、案の定5キロぐらいからもうきつそうでした。(集団から)離れてからはもう止まってしまうんじゃないかと思うぐらいでした。本人もこんなはずじゃないと思っていると思いますし、私としても相当な計算外だったことは事実ですね」

 

――5区の吉川響選手(文2=世羅)についてはいかがですか。

 「響はもらった位置が位置だったので、大体後ろでもらうと負の連鎖になってしまうことはよくあることでしたから、それの影響もあると思います。ただ、私の方でもちょっと今後を考えなきゃいけないなと非常に感じました。響に登りは任せるというように決め打ちしてしまっていたので。そこは私の判断ミスだったり、決めるのが早すぎたのかなという気はしています」

 

――区の杉彩文海選手(文4=鳥栖工)についてはいかがですか。

 「杉は区間的には結局11位で終わりましたが、この遅れを取り返そうと思って前半はほぼダッシュでスタートしていったんですね。普通の選手だったら大ブレーキにつながるような走り出し方なんですけど、そこはやはり地力があるので杉はよく持ちこたえましたね」

 

――往路終了後、順位が厳しかったと思いますが選手に何か伝えたことはありましたか。

 「森下も5キロから寒くて手足が動かなかったと話をしていますし、児玉のああいう様子を見てもウオーミングアップが普段と同じ量でないといけないなと思ったので、復路の選手にはいつもよりももっと入念にやりなさいと、それはすぐに伝えました」

 

――復路の選手について伺いたいのですが、6区の堀颯介選手(商2=仙台育英)はいかがでしたか。

 「堀は積極的なレースをしました。区間タイム的にも59分切りというのが想定のタイムで、それをクリアしていますから合格ですね。よく走ったと思います」

 

――7区の尾﨑健斗駅伝主将(商3=浜松商)はいかがですか。

 「尾﨑は、堀がいいところで持ってきてくれたのでそれをよく維持してくれたと思います。反省としては、尾﨑も最初結構速く入っているんですよね。5キロの通過も14分20を切っていってるので、あの区間にしてはものすごい速いんですよ。それで本人も後半はその影響ですごくきつかったと言っていたので、あそこはもう少し冷静に入れればもっと後半は伸びていけたと思います」

 

――9区の鈴木祐太選手(文3=鎌倉学園)はいかがでしたか。

 「祐太は練習通りの結果を出せるタイプの選手なので、今回はあまり心配していなかったです。ただ杉の件も尾﨑の件もあったので、襷をもらってすぐに抑えろと話しました。事前の電話連絡でも必ず前半は抑えなさい、冷静に入りなさいということでスタートしていきましたね。それでもちょっと速かったんですけど、初めての箱根で23キロの長丁場をよく走ったと思います」

 

――最後に10区の古井康介選手(政経2=浜松日体)はいかがでしたか。

 「古井については祐太や綾と逆で、練習でやったことを100パーセント出せていなかったんですよね。その不安が今回当たってしまいました。最初は冷静にいいペースで入っていったと思ったんですが、そこからまた上がらずだんだん落ちていってしまったのでいつものパターンと言いますか、やっぱり練習でやってきたものを出せずに終わってしまいましたね」

 

――10区については直前まで迷ったと伺っていますが、古井選手に決めた理由はありますか。

 「古井は練習がきっちりできますから。やはり23キロという距離だったので、山本樹(営2=専大松戸)か橋本基紀(商4=専大松戸)かで非常に迷ったんですけど、一番継続的に練習できているのが古井だったので古井にしました。最後の1カ月ぐらいの練習はみんなしっかりできたので調子的には良かったと思います。ただ一番練習の遂行度が高かったのが古井だったので古井を選びました」

 

――前回と比べて総合順位は下がりましたが、その要因として考えられるものはありますか。

 「それは区間順位、区間タイムを見ていただければ、あれだけ1区間の落ち込みが激しいとやはりもうほとんどレースには参加できない状況になっていましたから。それがあったのと、もしかしたらピークがずれていたのかもしれませんし。往路の選手は特にレース慣れしていると思っていましたが、それでもやっぱりもっと踏み込んで細かくウオーミングアップの指示とか、天気がこうだからこれを準備しなさいとか、そういったことを言うべきだったとすごく反省しています」

 

――今回で最後となった4年生へ掛けたい言葉はありますか。

 「彼らにとってはあと数カ月というところで監督交代になってしまって、混乱させてしまったことは本当に申し訳ないと思っています。それでも、彼らは一生懸命付いてきてくれましたから。そこは感謝もしていますし、今回メンバーから外れた4年生も出る選手と同じように、しっかりとした生活送ってくれましたし。本当に感謝しています」

 

――来年度に向けて一言お願いします。

 「今回箱根の洗礼を受けたわけですけど、この失敗を生かさなければ意味がないですから。12日から改めて指導しますけど、今後の全日本大学駅伝予選会、箱根駅伝予選会を絶対に通るという気持ちでやっていきますし、私自身ももっと変わっていきたい。先ほど言ったような学生にしっかりと寄り添った育成に努めていきたいと思ってます」

 

――ありがとうございました。

 

[菊地隼人]