
(189)箱根駅伝事後インタビュー⑧/綾一輝
第100回を迎えた箱根駅伝(以下、箱根)。悲願のシード権獲得を目指した明大だったが、往路での出遅れが響き総合20位とまさかの結果に終わった。失意の中で選手たちは何を思うのか。今回はレース後の声をお届けする。
第8回は8区を走った綾一輝(理工1=八千代松陰)のインタビューです。(この取材は1月3日に電話で行われたものです)
8区 綾一輝 区間順位3位 1時間4分42秒
――大会前にケガをされていたと思いますが、箱根直前の状態はいかがでしたか。
「12月中旬までは少し痛みを持ちながら、ジョグはしているという状態でした。2週間前くらいからポイント練習を再開できたので、本当にギリギリまで走るか分からない状況の中で今回走らせていただきました」
――調整も当初の想定とは違うかたちで行うことになりましたか。
「そうですね。自分だけここ2週間は違うメニューでずっと走っていました」
――レース後の脚の状態はいかがですか。
「今のところは大丈夫ですが、試合直後はやはりアドレナリンが出ているので、翌日になってみてまたどうかなという状況です。ほとんど完治はしていますが、少し気になるところは残っています」
――8区の起用が発表された時の心境はいかがでしたか。
「元日に言われたのですが、それまで走るか走らないかギリギリの状態で待っていることが本当に苦しかったので、半分はほっとしました。もう半分は選ばれたからには走れなかった人の分までしっかり走らないとという覚悟を持ちました」
――往路の結果はどう捉えていましたか。
「正直に言うとショックでした。やはり往路の時点でシード権がかなり難しいところになってしまって、気持ち的にも参っていたところは少しありました。それでも来年度につなげるという意味でもそれで自分の走りが変わるのはおかしい話だと思うので、選ばれたからにはしっかり走ろうと思い直しました」
――中継所で緊張は感じていましたか。
「やはり憧れの舞台なので楽しもうというわくわくした気持ちと、前を抜かすぞというような結構前向きな気持ちで緊張や不安はあまりなかったです」
――コンディションもそこまで悪くはなかったということでしょうか。
「悪くはなかったですね。決して良かった感じもしませんでしたが、普通だという感じでした」
――レースプラン通りの走りはできましたか。
「遊行寺の坂でしっかり上げられたのですが、それは(前を走っていた)伊福選手(早大)の力だと思います。リズム良く走れた部分は良かったのですが、7キロくらいからきつくなってしまいました。2週間前から急ピッチで仕上げた分、まだ仕上がり切ってなかったと走っていて感じました。本当だったら追い付いてその勢いのまま前に出て(さらに前を)追っていきたかったのですが、少し難しかったので臨機応変に対応しながら走りました」
――途中で集団のかたちが変わる場面もあったと思いますが、その時はどのようなことを考えていましたか。
「結構良いリズムで走っていたので、それは崩さずにいこうと考えていました。前を走っていた伊福選手は昨年度も8区を走っていて、走り方を知っているのだろうなと思っていました。やはり遊行寺の坂では上げてくると思い、そこまではしっかり余力を持って走らないといけないという意識を持って走っていました」
――自分の走りを振り返って良かった部分を教えてください。
「ケガ明けでギリギリのところで走れるかどうか分からない状況の中でも最低限の走りをできたことが良かったところだと思います。自分は高校の時からかなり準備して走ってやっと結果が出るというタイプでした。大学で初めて急ピッチで合わせて、ポイントも自分だけ別メニューでやってというかたちで箱根を迎えた中でしっかり結果を残せたことは良かったと思います。ですが、区間2位とは2秒差、区間賞とは40秒くらい離れているので、そこはまだまだ詰めが甘かったと感じています。もっと強くならないといけないと思いました」
――ケガ明けにも関わらず、良い走りができた要因は何だと思いますか。
「一番の要因は1区を走った大湊(柊翔・情コミ1=学法石川)や5区を走った高校の同期である工藤慎作(早大)が良い走りをしていたので、自分も負けていられないという気持ちだと思います」
――1区の大湊選手の走りはどう見ていましたか。
「もう本当にすごかったですね。前から結構調子がいいとは言っていて、本当に区間一桁では走るのだろうと思っていたのですが、タイムも明大新ですし改めてすごいなと思いました」
――箱根の雰囲気はいかがでしたか。
「本当に味わったことがないくらいすごかったです。もうずっと応援されている、背中を押してもらっているという感じでした。すごいなと改めて思いましたし、とても楽しいレースでした」
――復路全体の結果はどう捉えていますか。
「復路の順位が8位なので悪くはないと思いますが、一つ一つ見てみると少しでこぼこだと感じるのでそこはもっと改善していかないといけないと思います。明大の良くないところは落ちた時にとことん落ちてしまうところだと考えています。そこをいかに最低限まとめられる走りをするかが恐らく今の明大に必要なところだと思うので、そういったところが今回明確に出たと思います」
――今後チームとして再建を図っていく中で、どのような役割を果たしたいと考えていますか。
「来年度から2年生になるので、練習から全体を引っ張っていきたいと思います」
――今後のケガとどう向き合われますか。
「まずは一度しっかり休んで完全に治します。ケガをするということは必ずどこかに原因があると思うのですが、それは自分だけでは分からないのでトレーナーの方などに見てもらうことで改善していきたいと思います」
――ありがとうございました。
[春田麻衣]
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