
(183)箱根駅伝事後インタビュー②/児玉真輝
第100回を迎えた箱根駅伝(以下、箱根)。悲願のシード権獲得を目指した明大だったが、往路での出遅れが響き総合20位とまさかの結果に終わった。失意の中で選手たちは何を思うのか。今回はレース後の声をお届けする。
第2回は2区を走った児玉真輝(文4=鎌倉学園)のインタビューです。(この取材は1月3日に電話で行われたものです)
2区 児玉真輝 区間順位23位 1時間11分15秒
――全体の振り返りをお願いします。
「まずは大湊(柊翔・情コミ1=学法石川)が結構うまく走ってくれて、3区の杉(彩文海・文4=鳥栖工)も流れの悪い中ある程度で走ってくれました。あとは、復路のメンバーが頑張ってくれたのは来年に向けても良かったと思います」
――次に個人の振り返りをお願いします。
「5キロくらいで足が重くなってきてしまってその後粘れなかったです」
――直前のコンディションはいかがでしたか。
「ある程度余裕を持ちながらやっていたので、コンディションは4年間で一番良かったです」
――当日のコンディションはいかがでしたか。
「当日もアップした感じは特に気になるところはなくて、いつも通りのアップをいつも通りできました」
――実力通りの走りができなかった原因はどのようなところだと考えていますか。
「監督に聞いた感じだとフォームがいつもと違って上に浮いてしまっていたと言っていたのでそういう面はあったかなと思います。実際、疲労度的にもふくらはぎが一番大きくて臀部(でんぶ)に疲労がほぼきていないので、臀部を使った走りができていなかったです。普段と違うフォームになってしまった原因としてはメンタル面の問題なのかなと考えています」
――走っている最中にいつもとフォームが違う感覚はありましたか。
「感覚としては普通に走っているつもりだったんですけど、監督の話を聞く限りいつもと違う感じになってしまったのかなと思いました」
――どの辺りできつさを感じ始めましたか。
「最初は少し呼吸がきついなと感じていたんですけど、5キロくらいで足がきつくなり始めていい時の走りではないなと感じました」
――5キロ付近で違和感に気付いた際はどのようなことを考えましたか。
「2区という区間の特性上集団に付いていくしかないので、とりあえず我慢して付いていくしかないと考えていました」
――先ほどおっしゃっていただいたメンタル面の問題について詳しく教えてください。
「僕が4年間狙った中で大きく外したレースがほぼ箱根しかなくてどうして箱根だけ走れてないかっていうのは寒さだったりと色々な理由があります。ただ、今年度走れなかった理由に関しては多分1~2年生の時にあまりうまくいかなかったのがある種のトラウマみたいなものになっていて、それを自信で払拭できなかったことが一番の理由だと思います。表面上は払拭しているつもりではあったんですけどおそらく心の奥底ではそういうのがあったのかなと思っています」
――メンタル的な問題は具体的にどのような形で走りに影響しましたか。
「いつもより悪いフォームで走ってしまっていたので多分力みがあったりしたのかなと思います」
――以前の取材で寒さに苦手意識があるとおっしゃっていましたが、寒さの面はどのように感じましたか。
「最初の5キロはペースが速めだったこともあって寒さはそんなに感じずむしろ暑いくらいでした。後半はペースが落ちていたので前半にかいた汗が冷えてしまったので、低体温症とかではないんですけど寒さは感じていたのでそこで余計足が止まってしまいました」
――児玉選手は後半粘った走りができることが持ち味の一つだと思いますが、今回粘り切れなかった原因はどのようなところにあると思いますか。
「やっぱり悪いフォームで走っているといくら頑張ったところできつくなっていくだけなのでそこが大きいと思います。上尾シティハーフマラソンの時は10キロくらいで少しきつかったんですけど、フォームが悪くなかったのでぎりぎり粘れた部分がありました。あとは5キロくらいからきつかったのできつくなるのが早すぎたと思っていて、そこから粘るといってもアップダウンがある中で残り18キロくらいあるので、その二つが原因だと思います」
――レース中には山本豪駅伝監督からどのような声掛けがありましたか。
「地元に入った時は地元だから頑張ろうとか、あとは杉や森下(翔太・政経2=世羅)、吉川(響・文2=世羅)に1秒でも速く渡そうと言われました」
――地元である2区を走ってみていかがでしたか。
「タイムは悪かったんですけど地元じゃなかったらもっとタイムが悪かったと思うので、そういう意味で応援がすごく力になりましたし地元を走れて良かったなとは思います」
――今回結果を残せなかった森下選手や吉川選手にはどのような言葉を伝えたいですか。
「彼らが実力を出せなかったのは8割くらい僕に原因があると思っています。流れが悪いせいでかなり走りにくかったと思うので、難しいとは思うんですけどあまり気にせず自分を責めすぎないようにと伝えたいです」
――後輩たちに何か言葉をかけるとしたらどんな言葉をかけますか。
「今監督が出しているメニューは間違っていないと思うので、しっかり監督のことを信じて1年間やってくれれば結果は出ると伝えたいです」
――後輩で特に頑張ってほしい選手はいますか。
「新谷(紘ノ介・政経3=世羅)ですかね。故障とかで練習通りの実力が出せていない部分があるんですけど、ポテンシャルはすごく高いですしここまでの3年間は悔しい思いしかしていないと思うので最後は結果を出してやり切って終わってほしいなと思います」
――今回の箱根を含めて明大での4年間を振り返ってください。
「箱根は全部失敗したり、コロナとかもあったのでうまくいかないことの方が多かった気がします。ただ成長できた部分もあったし、毎年何かしらの種目では自己ベストが更新できました。あとは箱根でこれだけ失敗したので多分今後の人生で起こることは大体耐えられると思っていて、そういう部分での精神面の成長はあったと思います」
――具体的にどのようなところで精神面の成長を感じますか。
「今回の箱根もうまくはいかなかったですけど、また頑張らなきゃなって気持ちにはもうなっています。落ち込んではいるんですけど気持ちの切り替えみたいなのは今も少しずつできてきてはいるので、そういう部分は本当に成長したのかなと思います」
――実力通りの力を出せなかったことに対して率直にどのような気持ちを抱きましたか。
「申し訳ないという思いがあります。特に3~5区に関しては流れが良ければもっと走れていたと思います。僕自身大学2年の時に流れがあまり良くない中で走った経験があって流れが悪い中で走る難しさを知っているので、そういう意味で後の選手たちにはすごくつらい思いをさせてしまったという気持ちがあります」
――今回で失ってしまった自信を取り戻すためにこれからどんなことに取り組んでいきますか。
「とにかく結果を出すしかないのでトラックの自己ベストを出していきたいと思います。正直、今回の競技に対する取り組み方とか生活面に関しては少なくとも後悔はしてなくてやり切ったと思うので、もちろんより向上はしていきたいと思うんですけど練習とか生活を変えるというよりは、レースに出場して今の実力をしっかり出し切ってそこで順位なり記録なりで自信を取り戻していくことが必要かなと思っています」
――自信を取り戻していく中で具体的な目標はありますか。
「5000メートル13分30秒切りと1万メートル27分台が日本選手権に出る上で必要になってきます。夏のホクレン・ディスタンスチャレンジに出ると思うので、どちらの種目かは分からないんですけど、そのくらいの記録を目指して半年間やっていきたいです」
――自信を取り戻したその先で最終的に達成したいことはありますか。
「GMOインターネットグループに入るからには世界を目指したいので、世界を見据えてやっていきたいです」
――ありがとうございました。
[島田五貴]
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