
(182)箱根駅伝事後インタビュー①/大湊柊翔
第100回を迎えた箱根駅伝(以下、箱根)。悲願のシード権獲得を目指した明大だったが、往路での出遅れが響き総合20位とまさかの結果に終わった。失意の中で選手たちは何を思うのか。今回はレース後の声をお届けする。
第1回は1区を走った大湊柊翔(情コミ1=学法石川)のインタビューです。(この取材は1月4日に電話で行われたものです)
1区 大湊柊翔 区間順位8位 1時間1分37秒
――大会までの調整はうまくいきましたか。
「1週間前の富津での練習もレースをイメージして自分の中でしっかりうまく走ることができて、箱根までの期間のジョグも距離を踏めていました。本戦が近づくにつれてジョグの距離を短くして疲労を取るなど、自分の中の計画通りに調整ができたので、うまくいったと思います。箱根駅伝予選会(以下、箱根予選)がよく走れていたのでその時と同じようなジョグの量で行っていました」
――レース前の緊張はいかがでしたか。
「思ったよりしなかったです。自分より格上のすごい選手ばかりだったので、そういう選手と一緒に今から走れるんだって思って楽しみというか、わくわくする緊張感がありました」
――プラン通りの走りはできましたか。
「プランというよりは、ハイペースの展開もスローペースの展開も想定して準備をしていました。10キロを28分50切るくらいのペースで通過していたのですが、今までの練習や1週間前に富津で速いペースの練習でも余裕をもってできていて、だいたい10キロ28分台通過でもいけるなって感覚はあったので、レース中に時計を見た時もあまり驚きはなかったです。その時は余裕もあったので想定通りだな、と思えました。レース中は冷静に位置取りもできましたし、六郷橋まで(集団に)付くことができたのでプラン通り、イメージ通りだったと思います」
――いい走りができた要因は何だと思いますか。
「今回結果を出して自分の役割を果たせた要因は、箱根当日までの豪さん(山本駅伝監督)から与えられたメニューを消化して、それを自信につなげられたことだと思っています。あとは夏合宿からケガをしないで継続して練習できたことで、自分としては当日スタートラインに立つ時に不安要素は一つもなく臨めました。継続した練習で自信を持てたことがいいレースになった要因だと思います」
――大学初駅伝の感想はいかがですか。
「前回の駅伝が高校3年生の全国高校駅伝で、そこではチームに負担をかけてしまったけれど、大学初駅伝では自分の役割を果たすことができたので今年のいいスタートが切れたと思っています。ですがやはり1区だけでなく2区や3区にいる他大学のエースと比べると、まだまだ自分はラストで離されてしまった部分などで他大学との差を感じました。チームの結果もそうですし、個人の区間順位も自分は今回1位をとれたわけではないので。そういった意味ではチームとしても個人としてもうれしくない部分はあります。自分が納得したレースをしても他大学の選手にはまだまだ勝てなかったので、そこはもっと先を見据えて貪欲にやっていかないといけない、という覚悟が決まった駅伝でした」
――往路全体の結果の振り返りをお願いします。
「往路は本当に、自分としても何があったのかよくわかっていなくて。チームの練習の消化率を見てもみんな本当に調子よく見えていました。自分よりも走れている、頼れる先輩方が後の区間にいたので、チームとしても個人としても箱根当日を迎えるまでに手ごたえがあったと思います。世間から見たら自分以外だめだったという捉え方かと思います。ですが本当に先輩方を責めるというかそう思う気持ちもなくて。本当に箱根までみんなでしっかり準備してきたと思うので、これが今の明大の実力なのかなという風に感じました」
――同期の綾一輝選手(理工1=八千代松陰)の走りはどうでしたか。
「綾はケガの期間も長くて、メンバーも往路の前日まで8区と10区が決まっていなくて、綾本人も走れるかどうか不安そうに見えました。ですが走ると決まってからは覚悟を感じられて、ケガしていたとは思わせないような走りでした。これからあと3年間あると思うんですけど、最高のライバルみたいな関係だと思います。先輩方ももちろんですけど、綾と強い明治っていうのを引っ張っていけたらな、とすごく感じました。それと同時に綾のレースを見て、負けられないなという思いもありました」
――往路・復路全体の結果はどう捉えていますか。
「今年は結果として差がすごく激しくなってしまって。シード権獲得を目指していたので率直に悔しいなという気持ちはあります。言われた通りの結果になってしまったな、と。前評判通りになってしまったのが一番悔しいです」
――明大の課題は何だと思いますか。
「今回改めて感じたのは単独走の力が足りないことです。本当にみんなポイント練習などの消化率はすごく良いのですが、そのポイント練習の中に単独で走るという練習がありませんでした。一人で押していく力というのは青学大などを見ても大切だと感じたので、明大はそういう練習がなかった分これからはそういうのも取り入れて、試行錯誤しながらやっていかないといけないのかなと思いました」
――チームを再建していく中でどのような役割を果たしたいですか。
「チームとして一番の目標は箱根だと思いますが、シーズンを通してトラックレースや全日本大学駅伝予選、その本戦など、駅伝シーズンへの流れみたいなものを大切にする必要があると思います。全部の大会で結果を狙っていって、いい流れを箱根に持っていくという部分をチームとしては考えないといけないと感じます。その中で自分は、今回の箱根が課題の残るレースとはいえ想定通りに走ることができたので、自信を持つことができています。昨年度は前半シーズンのトラックレースは数えるほどしか出ていなくて、その中で結果は何一つ残せていません。今年度は先輩を追うだけでしたが、来シーズンは自分が先陣を切って結果を出していくつもりでやっていくことが自分の役割だと思います」
――来シーズンの意気込みをお願いします。
「もちろん前半のトラックシーズンから自己ベストなどの数字で結果を出して、全日本大学駅伝と箱根のどちらの予選会も勝ち抜きたいです。駅伝では本戦に出るだけではなく、チームとしてどちらもシード権以上の結果を出したいと思っています。個人としても、今回で日本人大学1年生歴代1位の獲得や明大記録を更新することができたので、さらに上を目指していくという意味では、任せられた区間の区間記録を塗り替えたいと思います」
――ありがとうございました。
[春田麻衣]
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