(179)箱根駅伝事前インタビュー⑰/馬場勇一郎

2023.12.31

 いよいよ目前に迫った箱根駅伝(以下、箱根)。3大会連続でシード権を逃している明大は、全日本大学駅伝予選会敗退や駅伝監督の交代など変革を迫られた1年に。それでも、4年ぶりのシード権獲得と総合8位以上という目標は揺るがない。箱根を前に、選手たちの決意がにじむコメントをお届けする。

 

 第17回は馬場勇一郎(政経4=中京大中京)のインタビューです。(この取材は12月16日に電話で行われたものです)

 

――現在のコンディションについて教えてください。

 「12月に大事な合宿であったり、シーズンの集大成となる箱根があるというところで、そこに合わせて8月からずっと練習を積み重ねてきたので、今シーズンの中では一番いい状態になるかなと思っています」

 

――この1年を振り返ってみて、試行錯誤することは多かったですか。

 「中距離はあったんですけど、もちろん長距離は8月から始めて初めてだったので、試行錯誤というより何も分からない状態で、手探りだったなっていう感じです」

 

――中距離をメインに取り組まれていた前半シーズンについて振り返っていただけますか。

 「中距離のシーズンは、1500メートルを大学1年生から始めて4年目のシーズンというところで、ある程度この時期にこういうことをやっていれば、目標のタイム、3分45秒切りくらいのタイムは出せるかなという状態でホクレンディスタンスチャレンジ(以下、ホクレン)に向かっていました。ホクレンではベストは更新できませんでしたけど、現状45秒切りくらいが妥当なラインかなと思ったので、その目標を達成できてすごく良かったなと思います。また日本選手権では、大学2年生で初めて出場したんですけど、その時とは違ってある程度勝負ができたというか、自分の持っている力を出せたかなっていう満足感がありました。なので1500メートルの前半シーズンに関してはもう本当に悔いがないというか、大学1年生から4年間中距離をやらせてもらって、すごくありがたかったかなっていうのをすごく思います」

 

――長距離に移行されるにあたって、一番大変だったところはどこですか。

 「一番は何も分からない状態で始めていくところがすごく難しかったなと思っています。中距離は高校とか中学でもやっていたので、ある程度自分の中での指標があって、それに合わせてトレーニングしていけばいいんですけど、20キロっていう距離は主戦場でやったことはありませんでした。レース自体もどれくらいのペース配分で行った方がいいとかも、いまいち分からない状態で全部やっていたので、経験値がないっていうところが一番苦労したところかなと思っています」

 

――中距離から移行された時にイメージしていた姿通りに今はなっていますか。

 「いや全然、ここまで行けるって正直なところ思っていなくて。最初はBチームの練習でもきつくて、Cチームでやっているような時期が7月末はあって、そういった状況の中でエントリーメンバーの16人に入って箱根を最後まで目指せるっていう姿は、5カ月前の自分からしたら正直想像はついていないかなと思っています」

 

――馬場選手のように下から突き上げる存在は他の方の刺激になっていますか。

 「そうなってくれているのが一番うれしいかなと思いますし、中学校の同級生や治療院の先生にも、この16人に入った時点で感激してもらっているので、そこはすごくうれしいとは思います。ですがまだ戦いは終わっていないので、しっかりと気を引き締めて、チームの目標をチーム全員で達成しにいきたいなと思っています」

 

――先日の富津合宿について振り返っていただけますか。

 「1週間近く合宿したんですけどすごくピリピリした環境で、一つ一つのポイント練習がすごく大事になってくるというかサバイバルみたいな。これまでの人生の中で経験したことがなかったので、あれを経験できたっていうのは、競技人生だけではなくて今後の人生の中でもすごく生きてくるのかなっていうくらい、自分の中では貴重な時間になったなと思っています」

 

――その中で16人のメンバーに入れた要因は何かありますか。

 「二つあると思っていて、一つは5カ月の積み重ねです。自分の場合はケガや体調不良とかもなく、1回も休むことなくずっと練習を継続できてきたっていうところがあって、もちろん監督のメニューに従ってやっていると思うんですけど、監督も12月に状態が上がっていくようにメニューを組んでいたので、一つも休むことなく流れ通りできたからこそ、12月の富津の合宿でしっかり走れたなっていうのがあると思います。あともう一つは、やっぱり4年生として最後だからっていう思いの部分がすごく強かったなと思っています。練習できついところが何回か来るんですけど、ピリピリした中でこういう苦しい思いをできるのは今しかないから、今この一瞬だけ頑張ろうっていう思いがすごく背中を押してくれたなっていうふうに思っていて。そういったところが長距離で一番大切な粘りというか、きつい中でも体を動かすっていうところに大きくつながったかなと思っています」

 

――富津合宿で練習以外の思い出はありますか。

 「練習がフリーの日に4年の杉(彩文海・文4=鳥栖工)と富津岬の海の方に行ったんですけど、海とか富士山とかものすごく景色がきれいだったなっていうのはあって、いつか陸上とか関係なしにシンプルに来たいなって思いました」

 

――馬場選手の箱根での希望区間はありますか。

 「自分が一番チームに力を還元できるのは山下りの6区なのかなって思っています。どの区間でも行けるような準備はしていますが、実力的に走れれば6区か復路のどこかかなと思っています」

 

――元々下りの適性があったのですか。

 「正直自分でもあるのかなと。また中距離をやっていたこともありますし、意外に上りも登れるみたいな。チームの10人の合計タイムというところで一番チームに還元できるとしたら、自分が6区を走ってもっと速い選手が平地に回った方が、チーム全体のタイムが上がるのかなっていう認識ではいます」

 

――6区に備えて、普段から意識していることとかありますか。

 「一番は生活リズムの調整です。6区だと起床が2時とかになってくるので、なるべく早く寝られるように、その生活リズムはエントリーメンバーが決まったタイミングからすごく意識して調整するようにはしています」

 

――箱根に向けて意気込みをお願いします。

 「自分は8月に中距離から転向して競技をやってきたんですけど、自分のためよりもチームのためっていうことを意識してやってきました。自分が走る、走らないにかかわらず、しっかりチームのためにできることを常に考えながら、8番でシード権獲得に向けてチーム全員で頑張っていきたいなっていうのが今の一番の思いです」

 

――ありがとうございました。

 

[萩原彩水]

 

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第100回箱根駅伝まであと2日。