
(161)【特別企画】鳥栖工高・古川昌道監督インタビュー
昨年度の箱根駅伝(以下、箱根)で7区区間賞から瞬く間にトップ選手への仲間入りを果たした杉彩文海(文4=鳥栖工)。今回はそんな杉の高校時代の恩師である鳥栖工業高校・古川昌道監督に、知られざる杉の高校時代について赤裸々に語ってもらった。(この取材は11月22日にオンラインで行われたものです)
――杉選手の第一印象を教えてください。
「まあまあ勉強できると聞いていたので、普通に勉強で高校に行くんだろうと思っていました。ですが、陸上したいという話をよそから聞いてそれならぜひうちで一緒にやりましょうということで来てくれました。なので、最初は真面目な子という印象しかなかったです」
――3年間を通して杉選手の走りはいかがでしたか。
「彼はケガをしない代わりに筋疲労がたまりやすいタイプで、練習を時々崩すことがありました。ですが、試合での表現力はある方だったので、しっかりいい走りをしてくれましたね」
――杉選手はチームのムードメーカーとしての面もありますが、高校時代もそのような印象はありましたか。
「試合になると私が言ったわけではないのに必ず五厘にしてきました。気合入っているなと思って。私の前ではどちらかというと寡黙でおちゃらけた様子はほとんど見せなかったですね。仲間内では相当ひょうきんなことをやっていたうわさは聞いていました。私の前とは全然違うので、周りが二重人格だと思うくらい面白い子だったみたいです」
――練習中の姿はどうでしたか。
「練習で手を抜くとかは全然なかったですね。さっきも言ったようにたまに練習で崩れる時はあったんですけど、基本的にはケガもないししっかり走っていたと思います」
――古川監督は指導する際にどんなことを心掛けていますか。
「一番はやっぱり練習以前の生活をしっかりやるということですね。それと物事に取り組む姿勢が練習メニュー以上に大事だよと日頃から伝えています」
――今でも連絡を取ったりすることはありますか。
「意外にこまめに連絡してくれます。教え子たちはいい結果が出た時しか連絡してこないんですけど、杉はめちゃくちゃひどい結果の時も連絡してくるので、そういうところはいいところだなと思います」
――現在の杉選手の走りを見て、何かアドバイスはありますか。
「ちょっと筋肉質なので、長い距離に対応するのに時間がかかると思っていました。なので、大学2年生くらいまでは疲労がうまく抜けなかったみたいで結果を聞いても大丈夫かなと心配するくらいでした。だんだん疲労の抜き方が分かってきて試合でもかみ合うようになってきたので、今の感覚を大事にしてさらに距離を伸ばして走れるようになったらいいと思います」
――前回の箱根では7区で区間賞でしたが、その時の気持ちを教えてください。
「最初から積極的に入ったんですけど、後半の伸びがとにかく良くてこれはひょっとしたら区間賞に届くんじゃないかとテレビで見ていて分かるくらいいい走りでした」
――杉選手は上級生になるにつれて頭角を現してきましたが、どのような要因があると思いますか。
「大学はそれなりの選手が集まってきますので、簡単にはいかないだろうと思っていましたが、ケガも少ないタイプなのでそういったところでじっくりと力を付けたおかげで3年生から結果を出せるようになったと思います」
――箱根ではどんな走りを期待しますか。
「まずは自分の走りをきっちりやってほしいですね。チームに貢献する走りをしてくれたらと思っています」
――最後に杉選手にエールをお願いします。
「息の長い選手になって、たくさん活躍してくれることを期待しています」
――ありがとうございました。
[石井遥]
第100回箱根駅伝まであと12日。
鳥栖工高・古川昌道監督インタビューの記事は12月21日発行の明大スポーツ第534号(箱根駅伝特集号)にも掲載します。ご購入フォームはこちらから!
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