(156)【特別企画】箱根駅伝100回記念大会 明大OBインタビュー 旭化成後編/鎧坂哲哉、大六野秀畝 

2023.12.17

 今回で100回を数える箱根駅伝(以下、箱根)。第1回から出場している明大は数多くのトップランナーを輩出してきた。今企画では箱根路で活躍した明大OBらをお招きし、当時の心境や箱根、明大に対する思いを伺った。

 

現在旭化成陸上部に所属する、鎧坂哲哉選手(平24営卒)、大六野秀畝選手(平27政経卒)のインタビューです。(この取材は11月14日に行われたものです)

 

――卒業してからもOBの方で集まる機会はありますか。
鎧坂「OB全体ではないですけど、それぞれのグループって言ったらいいんですかね。仲が良かったグループとかで、箱根が終わった後に行われる報告会には行って、そこで新年のあいさつをしたりする感じです」
 

――旭化成の明大OB同士の交流はいかがですか。

鎧坂「交流っていうか本当にみんなわいわいしている感じですね。そうなるのも同じ大学だからっていう理由もあるのかな」

大六野「そんなに考えないですけどね。でもまあ加藤(大誠・令5営卒)とかには『ちゃんとやれよ』って言ったり(一同笑い)」

鎧坂「冗談も含めてしっかりやれよみたいな感じの話とか、雑談しつつも頑張れよみたいな。でも、それは大学が同じだからっていうよりは…」

大六野「そうですね、若干気に掛けるところはありますけどね。頑張ってもらいたいと思いますし、まあ後輩にはいじりながらも頑張れよっていう感じです(一同笑い)」

――他の実業団に進んだ選手の中で意識している選手はいますか。

大六野「きむしん(木村慎・平28商卒・現Honda)?」

 

鎧坂「あとは横手(健・平28政経卒・現富士通)とか?練習とかもしっかり自分で考えてやれる選手ですね。(木村選手は)そんなに普段から関わりがあるわけじゃないですし、横手と同い年なので在学中に被っているわけではないんですけど、MGCでもスタートが隣で途中に給水をくれたりしました。僕が給水を取り損ねた時に自分の給水を届けてくれましたね。マラソンでもしっかり成功しているので頑張ってほしいなって思います」
 

――MGCについて振り返っていただけますか。

鎧坂「いろいろと準備が大変だったり、難しいなと感じる面もあったりしましたけど、スタートラインにちゃんと立った上で自分ができることはレースの中で出せたのかなと思います。なので結果は望んだものではないですけど、それに対しての悔いは全然ないのでさっぱりしているというか、次に向けて頑張ろうという感じです」

 

――明大出身の実業団選手は今でも多く活躍していますが、長く第一線で活躍できる要因は何だと思いますか。

大六野「やっぱり自主性ですかね。実業団は大学のように縛られて何かをやらされるということがないので、自分で何に足りないことや必要なことをちゃんと考えないといけません。それを大学時代から積み上げていることが大きいのかなと思います」

 

――旭化成陸上部の魅力を教えていただきたいです。

鎧坂大六野「えっと‥‥」

 

広報「考えているの?(笑)」

 

大六野「たくさんありすぎて(笑)」

 

鎧坂「厳選しないと(笑)」

 

大六野「やっぱり選手のレベルが高いので、その中で練習をできるところがすごくいいなと思います」

 

鎧坂「今はマラソンをしていますけど、昔はトラック種目をやっていました。その時にマラソンの人はどういうことに取り組んでいるとか、いろんな選手がいるからこその情報ももらえました。長距離のチームとしては人数が最も多いと思うので、いろいろな人がいる分、多様な意見があるので面白いなと思います」

 

――大学と実業団のレベルの違いに苦しんだことはありますか。

鎧坂「例えば、当時の明治が20キロから30キロぐらいの距離走をする時は、基本的に各自に任されているからこそ、それぞれのペースでやっていました。大学時代は体調に合わせた距離走をしていたのが、旭化成に来るとこの距離を決められたペースで走ることになりました。大学の時に経験したことがないようなペースを普通に走ることにはすごく抵抗がありました」

 

大六野「練習内容のペースが速かったので、それが最初の方はきつかったですね」

 

――今後の競技における目標はありますか。

鎧坂「僕はマラソンを始めたばかりですが、いろいろ知識を得たり経験を積むことができればいいなと思っています。もう少しマラソンを頑張りたいなっていう感じですね」

 

大六野「まずニューイヤー駅伝(全日本実業団対抗駅伝)で優勝することと、個人ではパリ五輪の最後の1枠を目指すことを目標に頑張りたいと思っています」

 

――学校生活を振り返って思い出はありますか。

鎧坂「それで言ったらゼミかな」

 

――ゼミは楽しかったですか。

鎧坂「ゼミは楽しかったです。先生を含め応援してくれていましたね。ゼミ合宿にも行ったりとかして、結構楽しかったなと思いますね」

 

大六野「僕は全くないですね」

 

――大六野さんはゼミには入っていなかったんですか。

大六野「ゼミも入っていたんですけど、そんなにアクティブじゃなかったので。あまり思い出はないですね」

 

――ちなみにゼミではどんな勉強をされたんですか。

大六野「それが記憶ないんですよね」

 

鎧坂「卒論は書いた?(笑)」

 

大六野「卒論は書いたんですけど、そのテーマもあまり覚えてないんですよ」

 

――鎧坂さんは覚えていらっしゃいますか。

鎧坂「卒論は血液データを基にしたコンディショニングということで、大学3年次の途中ぐらいから毎月血液検査をしてずっとデータを取っていました。その時のコンディションや前後にこういう試合があったみたいなデータを取って、ある血液データの時には調子がいい、調子が悪いみたいなことをやりましたね」

 

大六野「テーマがすごいですよね。本当にすごいですよね。僕は本当に覚えてないんですよ。作文みたいな感じだったんじゃないですか」

 

鎧坂「読書感想文?(笑)」

 

――面白い授業はありましたか。

鎧坂「心理学は面白かったかな。自分は経営学部だったんですけど、経営学の先生が授業内容に絡めた雑談でためになる話をしてくれて、それは面白かったかなと思います」

 

大六野「僕は大六野耕作先生の授業を受けていました。大六野ゼミだったので」

 

――陸上を知らない方が箱根を見る上で注目すべきポイントはありますか。

大六野「僕はちょっと思い浮かばないです」

 

鎧坂「俺に丸投げするの(笑)。箱根に関しては事前に持ちタイムが出てくると思いますが、持ちタイムだけの世界ではなくて山の上り下りとか特殊な区間があります。なので、タイムだけでは測れない部分がありますね。あとは各大学がどこに重点を置いているのかに注目するといいです。前半から抜け出そうとしているのか、後半に追い付こうとしているのかがエースを置いている区間で大体分かってきます。そういうところで各校の思惑通りに行っているのかどうかといったことですかね」

 

大六野「さすがですね」

 

鎧坂「ひねり出したから(笑)」

 

――今の明大の印象はいかがですか。
 鎧坂「輪の中に入って選手と喋っているわけではないので、外から練習頑張っているなと見るぐらいですかね。全日本大学駅伝の予選会で負けて本戦に出られなかったことで危機感じゃないですけど、ちょっとそういうぴりっとした雰囲気は多少感じるかなと思います」

 

――今回の箱根で明大に期待することはありますか。

鎧坂「明治はここ最近結果を出せてないので、まずはシードを目指してほしいです。この100回を機に古豪と言われているところから、少しでもいい順位を続けることで一つ上のランクに向けて頑張るきっかけになったらいいなと思います」

 

大六野「やっぱりシードを取って前で走ってもらった方が、OBとしてはすごく楽しいので頑張ってもらいたいですね」

 

――明大競走部の選手に向けてメッセージをお願いします。

鎧坂「人によって目的や目標は違うと思いますが、それぞれの目標に向かって、4年間頑張ってほしいなと思います」

 

大六野「悔いのないように駅伝も頑張ってもらいたいと思います」

 

――ありがとうございました。

 

[佐野悠太、萩原彩水、松原輝]

 

旭化成インタビューの記事は12月21日発行の明大スポーツ第534号(箱根駅伝特集号)にも掲載します。ご購入フォームはこちらから!

第100回箱根駅伝まであと12日。