(17)戸上隼輔 試合後コメント/全農CUP大阪大会 第6回パリ五輪日本代表選考会

2023.12.02

 大阪で行われた第6回パリ五輪代表選考会。戸上隼輔(政経4=野田学園)が優勝を果たし、シングルスでのパリ五輪代表入りをほぼ確実とした。今回は、ミックスゾーンでの戸上の報道陣へのコメント全文をお届けする。

 

1日目

――大会前に用具を変えたのですね。

 「前回使ってた張継科のALCなんですけど、3年弱ぐらい使ってて、湿気だったりとかっていうのも含めて、元々の新品の状態と比べたら、全く飛ばない状態まで使い込んでいたので、これを機に新しく樊振東ALCにしました。いろいろな協力を得て試合してその中で見つけたのがあのラケットだったので、すごく自分に合ったラケットを見つけたかなと思ってます。アジア競技(大会)から4連戦あったんですけど、それが終わってから変えて、WTTの連戦の時にどうしてもバック対バックで打ち負けたり自分が積極的にいかないとなかなか打ち抜けないことがあって。そこがリスキーでリスクを背負っていかないとちょっとつらいとこがあったのでバックをテナジーからディグニクスに変えたことによって、ブロックの精度だったりとかミスの減少っていうのもすごく感じたので、本当に変えて良かったなと思います」

 

――フォアは変えてないですか。

 「フォアは変えてないです」

 

――世界ランクの目標は20位でしたが、現在は24位です。いかがですか。

 「やっと結果を出せるところまで来たなと自分の中で感じていて、まずはWTTのタイトル、どのくらいでもいいのでタイトルが欲しくて、その中でトップ20っていうところを目指していたんですけど、でもこうして近づくにつれてやっぱりもっともっと上に行きたいっていう目標が新たに決まったので、やっぱりもう一つ上の15位以内ってところをいち早く、来年は目指していきたいなと感じてます」

 

――(中国で行われた)WTT太原の決勝、梁靖崑(中国・世界ランク5位)との対戦はいかがでしたか。

 「あの試合を通して本当に自信につながりましたし、前の林詩棟(中国・世界ランク9位)選手に今まで3連敗していた中での勝利だったので、僕としては本当に充実した大会になりました」

 

――夏以降、体調をここまで上げてきましたね。

 「本当にいろんな方々に協力してもらったり、アドバイスだったり、ご心配お掛けしてしまったので、それをこうやって結果で恩返しすることができて本当にうれしいです。若干まだ体調を崩すっていうところは多少あるんですけど、かなり以前のところまで戻ってきたのでもう少し自分の体といろいろ話し合ってもっともっとトレーニングしたいなと思ってます。 やっぱり食事の面でものすごく気にするようになって、(体調を崩した)一つの原因としてやっぱり増量期だったのであの頃が。それでかなり体の負担っていうのも大きくなって、それでちょっと動きづらくなったりとか、精神的にきつくなったり気持ち悪くなったりしました。自分のベストの体重っていうのを見つけることができましたし、こうして今、以前と比べて体も大きくなってるので、もう少し卓球以外(の面)を見直していきたいなと感じています。海外行ってたので、(その間体重は)必然的に減っていってる感じなんですけど、その中でベストのコンディションの体重を見つけられたのでいい連戦だったなと思います。67、8㌔が自分の中でベストです。70㌔いっちゃうと、体調が悪くなってしまう恐れがあります」

 

2日目

――今の率直な気持ちを教えてください。

 「優勝したい気持ちはやまやまだったんですけど、それ以上に不安な気持ちもあって。ただこうやって自分のプレーを最後まで貫き通すことができたので、非常にいい試合になりました」

 

――戸上選手にとって張本選手はどのような存在ですか。

 「常に世界のトップで張本選手は戦ってきて、その後を追ってきた存在っていうのが張本選手だったので、いつか超えたいなっていう気持ちもありますし、こうしてまた直接対決で勝つことができて、自分としては非常に目標となる存在かなって思います」

 

――ここまでの6回の選考レースを振り返っていかがですか。

 「本当に過酷なレースだったなっていうのは今の率直な感想です。第1回ではベスト16で敗退してしまって、全日本で優勝した直後の出来事だったので、自分としてはもう非常にショックでしたし、五輪に出場するのは過酷だなっていうのはそこで痛感しました。ですが、回数を重ねるごとに自分の技術だったり卓球の幅っていうのも広がってきて、成長を実感できるいい大会だったなっていうのは今振り返って感じています」

 

――全日本選手権、そしてパリ五輪に向けてはいかがですか。

 「やっぱり全日本で優勝したいっていうのはありますし、さっき水谷さん(隼・平25政経卒)と話さしてもらったんですけど、水谷さんは10回も優勝してますし、いつかその優勝回数っていうのも超えたいなっていうのも感じてきました。そのためにまず来年の全日本で必ず3連覇をして、パリ五輪でメダルを取って、11回の全日本優勝っていうのを目指したいなっていうのは思ってます」

 

――選考レースを頑張ってこられた要因というのは何でしょうか。

 「やっぱり周りの方々が本当に優しくて、途中で体調不良で棄権しようか迷ったくらい自分の中では追い込まれていた期間っていうのもあったんですけど、そういう時に心優しく接してくれた人たちがたくさんいたので、本当にその方々にすごく感謝したいです。その方々にやっぱり恩返ししたいっていうのはあるので、それはまず結果で恩返しっていうところで、オリンピックのメダルを持って帰ってみんなに見せられるような結果っていうのを目指したいなと思います」

 

――ここ最近大活躍されていますが、何かつかめたものや成長している実感はありますか。

 「やっぱりこの1年間試合をするたびに成長してるなっていうのも感じていますし、卓球の技術だったり卓球以外の生活っていうところでも質というのが高められてきてるっていうのは自負しています。もっともっと世界で勝つために卓球以外の面でも気を遣いながら生活していきたいです」

 

――パリ五輪のスタートラインに立ちました。これからは対中国、海外勢との戦いになりますが、どのようなところを強化していきたいですか。

 「やっぱり今後はミスをどんどん減らしていって、その中でも強いボールだったり、色々緩急を使い分ける精度っていうところを向上させていきたいです。ここ最近はサーブレシーブだったり、台上技術っていうところで落ち着いたプレーっていうのもできているというのは自分の中で実感してるのでそこも磨きつつ、ラリー戦になった時のミスをなくしてなおかつ自分の持ち味である攻撃的なプレーの精度を上げていきたいです」

 

――強いボールを打つためのトレーニングは具体的に何をしていきたいですか。

 「ウエートトレーニングも継続しつつ、ダッシュ系などの瞬発系っていうところも取り入れていかなきゃいけないなっていうのは感じて、そういう細かな取り組みっていうのも入れていきたいなと思います」

 

――世界の上位の海外選手を相手に対してはいかがですか。

 「ラッキーが多かったので自分の中では申し訳ない気持ちがあるのですが、技術的には負けていなかったなというのはあるので、そこは自分の中で落とし込んでいきます。まだバックで先手を取られる機会があったのでそこを修正して、(張本選手とは)次は全日本で当たる可能性があると思うのでそこで負けないように練習したいなと思います」

 

――パリ五輪のシングルス2枠目を確実にしたことに関いてはいかがですか。

 「まずはほっとしています。(パリ五輪に)出たい気持ちというのはすごくありましたし、出たい気持ちがあるからこそとても不安で。いつ転んでもおかしくない選考会という中で、自分のプレーを出し切れるかというところで少し不安があったのですが、回数を重ねるごとに緊張して自分のプレーを出さずに終わったということはなくなっていきました。そこは精神的にも強くなっているのかなという風に思いました」

 

――選考ランク2位を守っていくということについてはいかがでしたか。

 「この大会で決めたいということと、2位をずっと守り切るプレッシャーというのはすごくありました。3位との差は確かにあったかもしれませんが、確定しているかいないかだけが不安なので。全日本で仮に自分が初戦で負けてしまっていたら、ポイントがひっくり返るという可能性もあったと思うので、この大会で決め切れたというのはすごく良かったかなと思います。」

 

――体調不良は完全に良くなりましたか。

 「まだ残ってはいるのですが、声を出して、落ち着いてプレーできるようになっているので、 以前に戻ったかなという感じです。一番きつかったのは第5回の選考会の時です。声を出すのもきつかったですし、フットワーク練習というところもあって練習も上手く動くことができず、本当に息が持たない状態で、その頃が一番きつかったです」

 

――水谷さんとはどういった話をされたのでしょうか。

 「水谷さんは10回優勝しているので、水谷さんに10回優勝目指して頑張りますと言ったのですが、『9回でストップしてくれ』と(笑)。『何回優勝してもいいけど、9回で!9回まではいいよ』と。それ以降は事務所の先輩からNGだと言われたので、絶対やってみせます。逆にそれがもうエネルギーになっています」