
(72)ONE TEAM ONE MEIJI〜100代目の誇りとともに〜 廣瀬雄也「日本一の姿を見せて恩返しを」
「全員で日本一の集団を作る」。廣瀬雄也主将(商4=東福岡)が今年度のスローガン『ONE MEIJI』に込めた意味だ。100周年という節目の年。悲願の関東大学対抗戦(以下、対抗戦)、全国大学選手権(以下、選手権)優勝に向けて一人一人が鍛錬に励み、ラストシーズンを迎えた。4年生に明大での4年間の感想と、最後の戦いに向けての意気込みを伺った。11月1日より連載していく。
第29回は廣瀬選手のインタビューをお送りします。(この取材は10月31日と11月21日に行われたものです)
――4年間を振り返っていかがですか。
「本当にあっという間でした。悔しい思いもたくさんしたのですが、結果もすごく大事だけどそれ以上に濃い時間過ごせたと思います。いろいろな人とも出会えて、仲いい先輩にも出会えました。初めは親元を離れて寮生活をするのがすごく嫌だったんですけど、いざ入ってみると結構寮生活の方が楽しいってなってきて、本当にいい時間を過ごせているなと感じています。本当に毎日が楽しいから4年間あっという間だったし、 すごくいい経験をさせてもらったなと思います」
――大学で一番成長したところを教えてください。
「メンタル的な部分はすごく成長したかなと思います。最初は自信なかったしどこかしら不安な要素はあったんですけど、明大に来てから明治のプライドとかそういうものを背負って生きてきて、いろいろな試合を経験する中で大人になってきた部分がすごくあります。均衡した試合でも冷静に見られるようになったし、そういう面では明大で紫紺を着る回数をこなしていくうちに、安定感というのはかなり出てきたかなっていうのがあります」
――成長するために意識していることはありますか。
「終わった時に後悔したくないというのはすごく思っています。今日やったこと、やらなかったことがつながって、日本一を取れるのか、取れないのかっていうのを日頃から考えながらもう3回逃しているので、もうあんな思いはしたくない。特に同期がすごく仲いいし(同期のことが)好きで、最後泣いて終わるのは嫌だなってすごく感じているので、1日でも1秒でも長くボールに触れて、どんなことでもいいから一つ成長して日本一になるためにやっていました。それはかなり自分の中の燃えるポイントというか、最後終わった後にどういう姿でありたいかというのは常に考えながらやっています」
――廣瀬選手がラグビー選手として大切にしていることはありますか。
「恩返しの気持ちが大きいかもしれないです。ラグビーを今こうやってできているのは親のおかげだし、親以外にも親戚とかおじいちゃんおばあちゃんとかいろいろな人に支えてもらって、もちろん家族以外もそうだけどでもやっぱり一番は家族。おじいちゃんおばあちゃん、親戚、いとこも含めてスポーツ一家なのですごく応援してくれているし、親は特にサポートしてくれています。そういういろいろなサポートをしてくれている中でなかなか結果が出ないから、本当にいつも申し訳ないなと思っていて、日本一の姿を見せることなくおじいちゃんとおばあちゃんも亡くなってしまってすごく後悔している部分もあるから、そういう意味でも今年度こそは日本一の姿を見せたいという気持ちが大きいです。親や天国にいるおじいちゃんおばあちゃん、親戚やいとこなどに日本一の姿を見せて恩返しすることが今のラグビーで一番大事にしていることです」
――厳しい環境の中でも頑張ることができた原動力はありますか。
「恩返しの気持ちもあると思いますが、仲間というか同期とかが大きいですね。みんな各高校のエース級が来るので真面目ですし、一個一個の練習を抜かずにやります。そういう環境で育ったから自分もやらないとという気持ちになれました。そういう先輩や仲間たちが築いてきた練習の伝統とか明治の伝統をこの環境で経験したからこそ、乗り越えられている部分もあるかなと思います。あとは練習以外もすごく寮生活も楽しいし、そういう楽しみや癒しも原動力としてあるかなと思います」
――後輩たちに伝えたいことはありますか。
「本当に時間はあっという間だということですね。後悔することは必ずあると思うけど、絶対に明治を選んで良かったなということは思うはずです。どんな形で終わろうとも、その先ラグビーをするとしてもしないとしても、絶対に明大でやっていることは生きると思います。せっかくそれだけの経験ができる環境にいるんだから、本当に一日一日を無駄にしてほしくないなというのはすごく感じます」
――廣瀬選手にとってラグビーとはどのような存在ですか。
「ラグビーがなかったら毎日何をしてるんだろうなって思います。ラグビーがなかったらどんな人間なんだろうなとか、今頃はすごい就活頑張ってんのかなとか、なんなら大学行かないで働いてるんじゃないかなとか考えるし。でもやっぱりラグビーというスポーツをしてから人間性とかいろいろな面で成長したし、ラグビーをやっている人ってみんないい人でそういう人たちとのいろいろな出会いがあったので、本当に僕自身の人生そのものです。ラグビーをやってきたから今の人生がある。そしてラグビーをやめた後も、このラグビーという存在が僕の人生の道しるべになると思います。なので、ラグビーは僕にとって本当に欠かせない自分の人生そのものです」
――改めて廣瀬選手にとってスローガンである『ONE MEIJI』の意味はどのようなものですか。
「100周年ということもあって一つになることはすごく大事ですし、『ONE MEIJI』という言葉を掲げて本当に良かったなと最近思います。AチームだけじゃなくジュニアやCチームも同じ道を向いて同じ目標に向かってラグビーをできているので、そういうところもすごくいいしファンの方もすごく温かくなってきているし、本当に一つになっていっているという感じがすごくします。でもまだ完全にはなり切れてはいなくて、それが完全になり切れる時は選手権の決勝で校歌を歌う時だと思っているので、そこでしっかりと『ONE MEIJI』を体現して必ず最後にこのスローガンを掲げて良かったなとか、明大を選んで良かったなと思えるように頑張っていきたいと思います」
――明早戦ではフィールドに立つことはできませんがどのような形、どのような思いで仲間たちと一緒に戦いたいですか。
「ケガをしてしまったことは仕方がない。別に時間が巻き戻るわけでもないです。高校の時も主将として大ケガをして7カ月離脱したケースがあったので、その経験を今生かす時だと思います。グラウンドに立てなくても主将としてできることはたくさんあります。『ONE MEIJI』と掲げているからにはグラウンドに立つ人だけが主役じゃなくて、早大に向けて全員で戦わないといけない。僕も出来ることを100パーセントやって、仲間を信じて一緒に戦いたいと思います」
――明早戦に向けて仲間たちへのメッセージはありますか。
「まず100周年という素晴らしい節目において、明早戦という大舞台で紫紺を着られることを当たり前と思わないでほしいです。これは貴重な経験であり、人生において一度であるということ。だからといって気負いすぎる必要はないし、逆にその貴重な経験を存分に国立競技場で楽しんでほしい。グラウンドで明治のラグビーを体現して、紫紺が暴れている姿を見ることをすごく楽しみにしています」
――全国大学選手権(以下、選手権)に向けての意気込みをお聞かせください。
「選手権には必ず間に合うようにリハビリを頑張ります。ただ、間に合わせるだけではなくケガした前よりも成長した姿、日本一のチーム・主将に値する姿で必ず帰ってきます。それまではしっかりと選手をサポートして、グラウンド外から日本一のチームづくりをやっていきます。必ず日本一という姿をファンの皆様に見せたいと思うので、最後まで応援よろしくお願いします」
――ありがとうございました。
[久保田諒]
◆廣瀬 雄也(ひろせ・ゆうや) 商4、東福岡高、179センチ・95キロ
廣瀬選手の八幡山で行きつけのお店は『スマイル』というカレー屋とのこと。「チーズナンがめっちゃうまいです。僕は絶対チーズナンセットにして最近はキーマカレーを選んでます(笑)」
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