(117)箱根駅伝予選会事後インタビュー②/園原健弘監督

2023.10.15

 箱根駅伝(以下、箱根)への切符をつかみ取った。立川を舞台に行われた箱根駅伝予選会(以下、予選会)。明大は安定した走りでレースをまとめ、2位という好順位で本戦出場を決めた。それでも、選手たちに慢心はない。目標とする本戦8位に向けて新たな挑戦の日々が始まる。今回は、箱根路に向けて大きな一歩を踏み出した選手たちの声をお届けする。

 

 第2回は園原健弘監督のインタビューです。(この取材は1014日に電話で行われたものです)

 

――今回の結果について振り返っていただけますか。

 「結果については一安心、いろんな意味でほっとしたというところですかね」

 

――チームとしてプレッシャーはありましたか。

 「プレッシャーというより通る実力があるのは分かっていたので、まずきちんと通過できてほっとしました。われわれが想定した以上に選手たちがよく走ってくれました。夏に駅伝監督が交代しましたが、そこがうまく引き継がれて良かったなと思います。また今回は立川まで校友の皆さんやファンの皆さんがたくさん集まってくれて、皆さんの喜ぶ顔を見ることができて、本当にいろんな意味でほっとしたということですね」

 

――チームトップで走られた児玉真輝選手(文4=鎌倉学園)の走りはいかがでしたか。

 「さすがだなという感じですね。ここまで走ってくれるとは正直思っていなかったので。まだ練習の過程というか、昨年度ケガしたところから立ち上がってきて、本調子に比べたら5割ぐらいの感覚でした。でもチーム内トップで走ってくれて、やっぱり力を持っているなと思います。昨年度はここからケガしてしまったので、本戦に向けてケガなく力をさらに伸ばして頑張ってほしいと思います。彼が活躍してくれて、明治にとってシード獲得の大きなカギを握る選手だと思っています。こう言うとプレッシャーになるかもしれないけど、やっぱりそれくらいの覚悟を持ってやってくれていると思うので、あんまり頑張りすぎないで、自分のコンディショニングをしっかり整えることに集中してほしいと思います」

 

――吉川響選手(文2=世羅)もチーム2番手でゴールされましたが、いかがでしたか。

 「吉川も本当に力が付いてきて、もう主力なので。彼は山登りを昨年度走ってくれたけど、どこでも走れる選手だと思います。本当に頼りになる選手で、期待通りの活躍をしてくれたと思います」

 

――1年生は初のハーフマラソンでした。綾一輝選手(理工1=八千代松陰)と大湊柊翔選手(情コミ1=学法石川)はいかがでしたか。

 「2分台と3分前半ですから、もう合格点以上です。 ただ綾は終わった後『東農大の前田くんは何分でゴールしました?』と聞いてきました。やっぱり彼には明治大学を背負うだけじゃなくて、日本の陸上長距離界を背負うような選手になってほしいので、いい滑り出しをしてくれたんじゃないかなと思います。 大湊も本当に力をしっかり出してくれて、予想以上の結果でした」

 

――杉彩文海選手(文4=鳥栖工)の走りについてはいかがでしたか。

 「今回杉と森下(翔太・政経2=世羅)が、周りから見たらもう少しできたのかなという印象かもしれません。今回やっぱり彼ら2人は責任感がとても強かったと思うんですね。昨年度の箱根を見ていてもこの2人がエースで引っ張ってくれていて、今回も自分たちがチームを引っ張らなくてはと前半から出たので、それが後半少し伸びを欠いたと思います。その背景にはやっぱり体調面でも本調子じゃないようなコンディションでしたから、自分のコンディションに合ったレースをするというより、責任感の強い走りをしようとしてくれて、体調に合わせたペースメークが少し失敗だったかなという感じですかね。ただ2人は力があるので、ここからきちっと調整してもらって、本戦では本当に活躍してくれると思いますよ」

 

――園原監督から見て特に良かった選手はいらっしゃいましたか。

 「今回はやっぱり1年生の2人ですね。それと鈴木祐太(文3=鎌倉学園)。やっとハーフで鈴木祐太が頑張ってくれたので。でもみんなよく頑張ってくれたと思います。誰がっていうことではなくて児玉もさすがだなと思ったし、それから10番目でゴールしてくれた山本樹(営2=専大松戸)も頑張ってくれました。古井も前評判でね、みんな明スポのインタビューで『古井がエース級の走りをするようになった』って言われて。彼はこういう大きい大会が初めてだったので、ひょっとしたら場に飲まれたり、あるいは『自分がやらなくちゃ』というプレッシャーを感じていたこともあったかもしれませんが、そういった中でみんなよくやってくれたと思います。全員が殊勲賞だと思いますよ。森下にしても杉にしても、本当によくやってくれたと思います」

 

――競歩ブロックの村越優汰選手(文3=横浜)や短距離ブロックの木村稜主将(政経4=乙訓)なども応援に来られていました。

 「本当はチームとしてインカレ(日本学生対校選手権)だとか、いろんなところを部で戦いたいですが、やっぱり競技スケジュールや練習スケジュールで合わないことがありました。幸いこのタイミングは短距離、競歩にとっては大事なレースが一段落した段階ですし、競走部全体で戦う大事な試合で、木村稜はキャプテンだし、村越も今競歩ブロックのブロック長を引き継いでいるので、みんなで応援しようということで来てくれました」

 

――今後の展望をお願いします。

 「山本豪駅伝監督が、監督就任の時に『あと10分だけジョギングする時間を増やそう』と言ってくれました。チームとしては予選会から本戦まで、何かを劇的に変えるということはなかなかないわけですよ。だから日々の中でできること、やるべきことを淡々とやるだけなんだけど、それを淡々とっていう抽象的な言葉じゃなくて具体的な行動として、山本豪駅伝監督は10分ジョグする距離を増やすことをずっと続けています。どう行動を変えるのかも数字を挙げて具体的に示してもらえていて、分かりやすいチェンジの方向だと思うので、それを積み上げていくだけですね。だから何かを急激に変えるというよりは、今までの延長線上できちんとできることを積み重ねていこうという考えです。それは競技の面だけじゃなくて、日常生活や学業生活においても同じことなので、 そういうことを淡々と繰り返していきましょうというところですね」

 

――ありがとうございました。

 

[萩原彩水]