(44)第8回パラ大学祭が開催! 史上最大規模の参加人数で大会は大盛り上がり

 9月19日、8回目の開催を迎えたパラ大学祭。2チームで参加した前回大会の7位、13位という悔しい結果から明大は過去最大人数の3チームで参加した。ルーキーからベテランが一丸となって表彰台を狙うも、最高成績は明大Aと明大Cの5位。実力不足を突き付けられる結果となったが、〝誰もが楽しめる〟パラスポーツの奥深さに魅了された1日となった。

 

◆9・19 第8回パラ大学祭(国立オリンピック記念青少年センター)

明大A――5位

明大C――5位

明大B――10位

 

 今大会に参加した明スポ部員たちは、明大A、B、Cの3チームに分かれて出場。明大代表として戦った。最初の種目は車いすバスケットボール。車いすを扱う技術が要求される競技だ。それに加えて、得点するにはフィールドにいるプレーヤー3人が必ずボールをつなげなければならないため、チーム内でのコミュニケーションも重要になってくる。「佐藤慶世先輩(政経4=芝)がポイントだと言っていた『着実なパス』を出せるよう意識した」(髙橋未羽・政経1=東洋大牛久)。そのおかげか髙橋の明大Cは2連勝。「初出場のメンバーも含めて全員のレベルが高く、非常に頼もしかった」(渡辺悠志郎明大C主将・情コミ3=渋谷教育学園渋谷)。明大Cが順調なスタートを切った一方で、優勝に向けて暗雲が立ち込めたのは明大A。「初戦を落としてしまったのが痛かった」(末吉祐貴明大A主将・営2=東京都私立城北)と、黒星スタート。2戦目は今大会の優勝チームとなった寄せ集め大学だったこともあり「相手は体格も技術も自分たちより上回っていたので、絶対に1戦目を取るべきだった」(末吉)。2連敗と厳しい立ち上がりとなった。そして残る明大Bの初戦の相手は、筋骨隆々の選手たちが集う中大。「相手のプレッシャーに負けないように、自分たちも声を掛け合った」(晴山赳生・法1=明大中野八王子)。初戦は惜しくも敗戦し苦しいスタートとなるも「2戦目からはチームの緊張がうまく解け始めた」(長崎昇太明大B主将・商2=日大二)。2戦目を勝利で飾り、1勝1敗で本競技を終えた。(写真:明大Cの勝利に貢献した岩田)

 

 第2種目は毎年異なるオリジナルスポーツ。音の鳴るボールを使い、目隠しをした選手が得点を奪い合う。相手の守備陣の間を抜いてゴールゾーンに多くボールを転がしたチームの勝利だ。今大会では、大学の枠を超えてのチーム編成となった。自己紹介から始まった競技。初々しい笑顔が各所で溢れていた。明大勢では堀口心遥(政経1=宝仙学園)が持ち味の柔軟性を生かし攻守で躍動。多くの得点を奪いチームを勝利へ導いた。本競技は所属チームの得点とはならないが、目隠し越しでも伝わる真剣な眼差しで戦い抜いた選手たち。今大会のメインテーマ〝夏の終わりに最高の青春を〟にふさわしい充実した時間となったに違いない。(写真:ボールをセーブする末吉)

 

 第3種目として行われたのはボッチャ。今種目の第4試合目で、明大の直接対決が実現した。ここまで強豪・杏林大を倒すなど3戦3勝と絶好調の明大A。対するは3戦2勝1分け、エースの長崎率いる明大B。両チームとも負けなしの状態で迎えた今試合は、熱戦が繰り広げられた。第1エンドは明大Aが得点に成功。第2エンドも明大Aが優位に試合を進めた。追い込まれた明大Bは野口優斗(文4=三鷹中教)の投じた最後の1球がジャックボール付近に。土壇場で追い付いたように思われたが、わずか数ミリの差で無念の敗北。一方勝利した明大Aは「全勝で終えるためにチーム全員で死力を尽くした」(春田麻衣・情コミ1=船橋東)と言葉通りの全勝で見事締めくくった。また明大Cでは岩田英佑(法1=明大中野)が才能を開花させ、チームを勢いづける。第2試合目には岩田の投じた1球が勝利を手繰り寄せるなど、期待の新星が躍動したこともあり4戦3勝1分け。全体を振り返ると明大は直接対決以外での黒星はなく、得意種目で他チームを圧倒した。(写真:ガッツポーズする野口(中央)と喜ぶ明大Bの選手たち)

 

 今年度も最終種目はパラ大学祭恒例の車いすリレー。順位による得点がここまでの種目と比べて格段に跳ね上がるため、一発逆転も狙える種目だ。しかし、明大は毎年この車いすリレーで苦戦を強いられている。さらに今回の会場は体育館ということもあり、カーブでの操縦技術が勝負を分ける、より難しいレースとなった。他チームに圧倒的な速さを見せつけられ、周回差をつけられてしまう場面もあったが、ここで今大会において特に印象的な場面が訪れる。これまで3チームに分かれてしのぎを削ってきた明大が互いに声援を送り合い始めたのだ。つい先ほどボッチャでの明大対決で火花を散らしたAチームとBチームも応援し合い、互いの健闘をたたえる。明スポ部員の絆の強さに思わず目頭が熱くなる一幕だった。レースは予想通りカーブで減速してしまう選手が続出し、結果は3チームとも振るわず。それでも戦いを終えて談笑する紫紺の戦士たちの表情は晴れやかで、今大会の充実度を物語っていた。(写真:力走する長崎)

 

 明大Aは車いすバスケの2連敗から見事に巻き返し5位に。明大Bはボッチャでの明大対決の敗戦など、要所要所でポイントを落としてしまい10位と悔しさの残る結果となった。それまで無敗と絶好調だった明大Cも、最終種目の車いすリレーで失速。明大Aと同率で5位と惜しくも表彰台には届かなかった。目標達成には至らなかったが、新戦力の活躍と順位の上昇を見せた明大。普段の生活ではなかなか触れることのないパラスポーツの魅力を体感することができ、選手たちにとって貴重な経験となった。「障がいの有無にかかわらず楽しめるパラスポーツを、いろいろな人に伝えていきたい」(晴山)。成長し続ける明大に期待したい、次こそは優勝だ。

 

[岩田英佑、髙橋未羽、春田麻衣、晴山赳生、堀口心遥]

 

出場選手のコメント

末吉

――今大会を振り返っていかがですか。

 「やはりパラスポーツは楽しいなと再認識しました。今まで以上に他チームと関わる機会があったので、すごく楽しかったです」

 

長崎

――昨年度の大会から成長した点はありますか。

 「やはり腕力ですかね。5月の終わりごろから、筋トレを始めました。自分でも分かるくらい腕が太くなってきたんですよ。車いすリレーで実感しましたね、馬力が上がったなと。今日この日のためにやってきた、筋トレの効果を実感することができて本当に良かったです」

 

渡辺

――今後のパラスポーツ担当の展望はいかがですか。

 「パラ(スポーツ)担当は現在唯一特集記事が継続している分野です。東京パラリンピックの後も活動が続いていることを非常にうれしく思います。昨年度に始めた明大祭のボッチャ体験会は、今年度も開催予定です。今後はパラ大学祭と明大祭を軸として、先輩方が受け継いできたパラの精神を、できる範囲で後輩にも続けてもらいたいです。今後の活躍が非常に楽しみです」

 

金井遥香(情コミ4=大船)

――大会前の心境はいかがでしたか。

 「最上級生として参加させていただくにあたり、後輩に迷惑をかけたくない気持ちでいっぱいでした。特にボッチャは、過去の明大の成績から強いチームと当たると予想されていたので、どうしても勝ちたい、後輩たちを勝たせてあげたいと思っていました。大会前日に大学近くの福祉センターでボッチャの公開講座があったので、そちらに申し込み、渡辺や末吉と参加してきました。その後には5、6時間ほどみっちり部室で練習をして準備を整えました」

 

井澤怜音(文3=横浜市立東)

――最も印象に残っていることを教えてください。

 「やはりボッチャでの明大対決です。負けてしまいましたが数ミリの差で勝敗が決する名勝負だったと思います。もちろん悔しいですが大会ベストバウトともいえる試合を味わえてうれしいです」

 

新谷歩美(政経3=浦和一女子)

――今後に向けて意気込みをお願いします。

 「期待の新加入勢とベテラン勢で臨んだ今大会で、明大としては最終的に過去最高の順位を手にすることができました。しかしこれに満足することなく、来年出場する機会があれば必ずリベンジして、目指すは優勝のみです」

 

杉田凜(情コミ2=愛知県立江南)

――車いすバスケットボールをプレーした感想はいかがですか。

 「先輩方のおかげで初ゴールを決めることができました。しかし、パスを受け取った後ボールを奪われてしまったり、低いパスを通されたりとまだまだ課題もあるので、来年は後輩をリードできるように練習しようと思いました。個人的にバスケが苦手な人でも楽しめるので、一番お気に入りのパラスポーツです」