
服部輝海 努力と偶然が導く頂への航路
高校王者が、Ⅿのマークが付いた帆をなびかせて走っている。服部輝海(理工1=横須賀学院)は「ヨットを楽しむ」をマインドに競技を続け、昨年度のインターハイで優勝。栄冠を手にした彼が、進学先に明大を選んだ訳。そこには、ヨットと共に続けたかったもう一つのあることが理由にあった。
ヨット人生を変えた偶然
ヨットとの出会いは小学2年次。アウトドアな両親が、海の近くに住んでいたことを理由にマリンスポーツをやらせたことがきっかけだった。所属クラブの方針で結果よりも競技を楽しむことに重きを置きながら、充実した日々を過ごしていく中で、実はもう一つ、理系の勉強にも興味を示し始めていた。将来のことを考え、進学先の高校によっては、理系の勉強に専念するためにヨットを続けるか悩んだという。そんな中コロナウイルスがまん延。入学式は延期され、家にいる日々が続いていた。ただ、ヨットは海上で密になりにくいこともあり、何度か活動することができ「もう一回ヨットに乗ろうかな」。入学前に流行したコロナウイルスが、思いがけずヨットを続ける要因となった。
兄を追った先に見えた頂
服部には同じヨット選手である兄がいる。兄は高校2年次にインターハイを制覇しており、その姿を見て自身もインターハイ優勝を「絶対にしたい」と思って目指すが、決して楽な道ではなかった。勉強との両立のため、練習は基本土日のみ。普段練習場所として使っていた江ノ島や葉山港はオリンピック会場として使用できない時期があるなど、さまざまな制約があった。それでも『勉強平日、ヨット週末』のサイクルを変えずに地道に練習を重ねた。そして昨年度出場したインターハイでは、日を追うごとに順位が上昇していき、見事優勝を果たした。「いつか追い付いてみたい存在」に並んだ瞬間だった。
二兎を追って得るために
有終の美を飾った服部はどこの大学に進学すべきか迷っていた。4年間をヨットに費やすなら兄がいる早大や強豪の慶大がある。それでも明大を選んだのは、やはり理系の勉強をしたいから。その中でも特に興味のある建築学科に進学した。多忙だが、高校時代から変わらないメリハリのつけ方が功を奏し、早くも全日本学生個人選手権への切符を手にした。今後、大学でのヨットの目標を「全日本学生選手権制覇」、勉学においては「大学院進学を視野に色んな学習をしていく」と掲げた。文武両道を体現する服部は荒波に負けず、目標に向かって航路をひた走る。
[北原慶也]
◆服部 輝海(はっとり・てるみ)理工1、横須賀学院。合宿所では予備品係として部品を管理している。176センチ、71キロ
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