
(9)シーズン直前インタビュー 佐藤駿
長いオフシーズンを越え、ついにシーズンが開幕する。今シーズンからは部練を積極的に取り入れ例年以上に結束力の強いチーム明大。日本学生氷上選手権の連覇、そして各選手が掲げる目標の達成に向けて何を思うのか。本インタビューではそれぞれの選手の思いをお届けする。
(この取材は9月11日に行われたものです)
第5回は佐藤駿(政経2=埼玉栄)のインタビューです。
――現在合宿中と伺ったのですがどういった合宿ですか。
「主催とかは特にないんですけど、個人的にやっているみたいな感じです。埼玉であまり練習ができないので、岡山に来てクラブとしては一人みたいな感じで合宿しています」
――スケートを頑張っていらっしゃったと思うのですが、夏休みに楽しいことはありましたか。
「カナダの方にブラッシュアップをしに行ったんですけど、その時に向こうの現地にいる日本の友達と、ブラッシュアップだけでなくて観光とか遊んだりしたのが思い出です」
――明大スケート部の合宿はいかがでしたか。
「練習時間がすごく多くて4時間とか6時間とかありました。今回ちょっと人数も少なかったので、ずっと曲かけ練習をしているみたいな感じでハード過ぎる合宿でした。練習時間はたっぷりあるからみたいな感じで、もうひたすら練習でした」
――思い出に残ったことはありますか。
「夜中にみんなで集まってトランプしたりとか、ブラックジャックをしたりとか結構そういうのが楽しかったです」
――それでは東京選手権が間近に控えていますが改めて今シーズンのプログラムを教えてください。
「SP(ショートプログラム)は『リベル・タンゴ』になっていて、タンゴの曲です。FS(フリースケーティング)はヴィヴァルディの『四季』で『春』『夏』『秋』『冬』を全部入れたという感じで、『冬』メインの曲になっています」
――振付師さんはギヨーム・シゼロンさんと伺ったのですがどのような経緯でお願いすることになったのですか。
「元々今回、海外の振付師さんにお願いしたいなと思っていたんですけど、ちょうどそう思っていた時に連盟の方に紹介していただいて、お願いしてみたいですという風になって決まりました」
――北京冬季五輪金メダルの実績をお持ちの方だと思うのですが、実際に振り付けを受けた時の感想などはありますか。
「すごく緊張してたんですけど、振り付けも本当に一から丁寧に教えてくださって、本当に最初に会った時から雰囲気がもうすごく良くて、すごく楽しく振り付けをできました。でも、一つ一つの振りが難しいというか、やはりスケーティングがすごく上手なので、簡単な動きでもすごく難しいなという風に感じましたし、もっとやっていかなければいけないなと思いました」
――海外の振付師さんと話す時は通訳の方を介して話すのですか。
「通訳の方はいないんですけど、スケート用語が結構多くて、スケート用語は共通だったりするので意外と大丈夫です。あとは動きで教えてくれるのでそのあたりは大丈夫でした」
――『四季』の曲の編成で『冬』をメインにしたのはどのような理由があったのですか。
「海外の振付師さんにお願いしたんですけど、その時に自分から『この曲やりたい』と出したんですけど、いやなんか合ってないんじゃないという風に言われて。それで振付師さんが出してくれた曲がヴィヴァルディの曲で、これがいいんじゃないかとなりました。2シーズン前に『夏』をSPで滑っているので、『夏』は滑っているから他の『冬』をメインで作ってほしいとお願いしたら、その『冬』がメインになりました」
――『夏』と『冬』を滑ってみてどちらが滑りやすいなどありますか。
「どっちもすごく好きな曲ですしどっちも滑りやすいなと思っているんですけど、『冬』の方が滑りにくいって言い方はあれですがちょっと大変というか、曲が盛り上がるところが多いのでそこはすごく難しいなと思いました」
――『リベル・タンゴ』を選んだきっかけは何ですか。
「今まで使ったことのない曲を滑りたいなと思っていたので、去年タンゴ系をやりたいなと言っていたんですけど、それがちょっと通らなかったので、今年はタンゴをやってみたいなと先生に言って、そしたら先生の方から曲をいろいろ選んでくださってそれにしました」
――注目して見てもらいたい部分はありますか。
「(『四季は』)すごく盛り上がっていく曲になっているので、後半のステップとかコレオシークエンスの流れを見てほしいなと思っています。SPは特に出だしを見てほしいです」
――佐藤選手がアイスショーで『リベル・タンゴ』を初披露された時にファンの方からかなりの反響があったと思いますが、ご自身ではどのように感じていますか。
「スケーティングとか表現力も意識してやろうかなと思って、ジャンプじゃなくてそこをずっと練習していたので、そこを評価してもらえてすごくうれしいなと思いました」
――ジャンプ以外のところをずっと練習していたというのは、昨シーズンが終わったタイミングですか。
「そうですね、5月ぐらいにカナダの方に振り付けに行ったんですけど、その時にスケーティングのことを教わったので、そこから毎日復習を続けていって、かなりスケーティングが伸びたかなと思います」
――今回のプログラムの振り付けをこなす上で苦労した部分はありますか。
「(『四季』は)ステップがすごく難しいです。曲がすごくテンポの速い曲なので、それに合わせるのがすごく大変だなと思いました」
――まもなくシーズンが始まりますが、今シーズンはどのようなシーズンにしていきたいですか。
「ジャンプじゃなくて、スケーティングを重視というかそこを伸ばしていきたいです。4回転の種類も増やしたいなと思っていたんですけど、まだそれよりもやるべきことはあるかなと思って、スケーティングだったりスピンの部分を伸ばしていって、そこにジャンプがついていけばいいかなという風に思っています」
――以前4回転サルコウにも挑戦してみたいとおっしゃっていましたが現在どのような感じですか。
「一時期は良かったんですけど、またあまり良くない感じになって、結構調子のいい悪いが激しくて。それもあってサルコウはちょっと断念して、今はループを練習しています。まだまだうまくはいってない感じです」
――それでは現在SPの構成はどのように考えていますか。
「すごく今考えていて、ループをやってみたいとは思っています。長年やってきてSPにルッツはあまり良くないんじゃないかということになって、入れるなら多分フリップが一番いいと思うんですけど、フリップだと僕の場合エッジエラーを取られてしまうことが多いので、ループがベストなのかなと今はちょっと思っています」
――ループを入れてみてのSPのプログラムの完成度はどのような感じですか。
「ループを入れて練習してるんですけど、まだ一回もSPはノーミスできていないです。フリップとかだとノーミスの演技はできているんですけど、ループを入れるとまだ一度もノーミスの演技はできてないので、ループはちょっとどうなんだろうなというのは正直思っているんですけど、今日ちょっと練習やってみて、無良先生(無良崇人先生)からいろいろ教わってそこで少し良くなりました」
――FSについてはいかがですか。
「去年よりはさすがにいい演技を目指していきたいなと思っています。ジャンプの構成も本当は4回転4本とかにしたかったんですけど、まずは4回転3本で練習していって5コンポーネンツをそれで上げられたらいいのかなと思います」
――東京選手権まで残り2週間を切りましたがどのような心境ですか。
「まずはある程度ジャンプは抜きにして、プログラムのスケーティングなどの完成度はまあ上がってきているなと自分ではちょっと感じているので、5コンポーネンツの評価が上がっていればいいかなと思っています」
――演技構成点やスピン、ステップに重点を置きたいと思うようになったきっかけはありますか。
「何個かあるんですけど、国別対抗戦で一番近い場所で最終グループの演技を見たんですけど、僕に足りない部分、他の選手と大きく違うところはそこかなと改めて実感したので、そこから今シーズンはスケーティングとか頑張らないといけないなと改めて思って、その時にカナダに行ったりというのがあったおかげで、スケーティングだったりを頑張ろうと思いました」
――現在はどのような練習をされていますか。
「結構前まではジャンプばっかりだとか曲かけ練習とかが多かったんですけど、もう今は30分はスケーティングという風に決めていて、30分間はカナダでやったことだったりとか、合宿でやったスケーティングを主にやっていって、そこからジャンプなりステップなりをやってから曲かけという練習を今は心掛けてやっています」
――今シーズン新たに挑戦したいことはありますか。
「一応新しい4回転に挑戦したいというか入れたいなという思いはあります。あとはステップ、スピンオールレベル4を取れる試合を増やすことですね。なかなか全部レベル4を取るのはジャンプよりも僕的にはすごく難しいことだなと思っています。0.いくつの世界なので、そういったことがすごく大切になってくると思うので、そういう取りこぼしがないような試合を増やしていきたいなと思っています」
――今シーズンの目標を教えてください。
「目標はまず全ての試合で、グランプリシリーズだったり全日本選手権だったりとかで去年よりも高い順位を目指していきたいです。一番の目標は、全日本選手権で去年表彰台に上れなかったので、表彰台に上ることを目標にして頑張っていこうと思っています」
――ファンの方に向けてのメッセージをお願いします。
「今の段階ではケガなく来られているので、今後もケガのないようにしていきたいと思っています。あとシーズンはそろそろ始まるんですけど、全ての試合で自分の満足できるような、そして観客の皆さんに楽しんでいただけるような演技をできるように頑張っていきたいと思います。これからも応援よろしくお願いします」
――ありがとうございました。
[布袋和音]
(写真は本人提供)
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