(7)シーズン直前インタビュー 江川マリア

 長いオフシーズンを越え、ついにシーズンが開幕する。今シーズンからは部練を積極的に取り入れ例年以上に結束力の強いチーム明大。日本学生氷上選手権の連覇、そして各選手が掲げる目標の達成に向けて何を思うのか。本インタビューではそれぞれの選手の思いをお届けする。


(このインタビューは8月27日に行われたものです)


第3回は江川マリア(政経2=香椎)のインタビューです。


――これまでの練習状況を教えてください。

 「オフシーズンの期間は福岡に帰ったりもして、2月あたりは少しだけゆっくりしていました。それでもずっと練習はしていて、新しいプログラムを作ったり、ジャンプの精度を上げたり新しいことをする期間でした」


――昨シーズンから成長できた部分はどこですか。

 「昨シーズンからジャンプの精度というか、出来栄えをいいものにする練習をしていました。昨シーズンは全てのジャンプをいいものにはまだできていなかった感じがするのですが、今シーズンは自分の中できれいなジャンプというか、すごく自分のものにできているなという感じがするので、そこの辺りが少し成長できたかなと思います」


――今シーズンSP(ショートプログラム)とFS(フリースケーティング)両方を変更した理由は何ですか。

 「そうですね、シンプルにSPもFSも、昨年度は継続のプログラムだったので、新しいもので滑りたいなというのもあって、どちらも変更しました」


――今シーズンのSPについて教えていただけますか。

 「SPは『River Flows In You』という、ピアノがメインのしっとりとした曲なのですが、周りの選手で使っているのを見たのもそうですし、すごく私がこの曲が好きで。一番は、自分が好きだなと思う曲でどんな風に自分を表現できるのだろうというのも、すごく興味がありました。それで、先生に相談してみたら『いいんじゃない』と言われたので、この曲にしました」


――こだわったところはどこですか

 「SPの曲は鈴木明子さんに振り付けてもらいました。初めてお願いしたのですが、一つ一つのポーズなどにバレエっぽい動きが多いです。手や足を伸ばしたりして表現する動きが多いのですが、少しでも肩が上がっていたり、手がしっかり伸びていなかったりしたら、それが目立ってしまうというか、あらが目立ってしまうような感じなので、丁寧に丁寧に、一つ一つの動きを滑るのを心掛けています」


――衣装について教えてください。

 「スカートの形が少し変わっていて、切れ端をたくさん繋げた感じのスカートなのですが、滑ったり回ったりする時にすごくきれいに広がってくれるのでそれがお気に入りです。あとは元から柄がついているスカートの生地を選びました。プログラムが水のようなものを意識した感じなので、それが現れるような生地を選んでみました」


――FSについて教えていただけますか。

 「FSは『O』というプログラムで、鈴木明子さんの代表曲で有名な曲だと思うのですが、これは宮本賢二先生に振り付けしていただきました。今までの自分のいいところも生かしつつ、新しい部分を見せられるようなプログラムになっているかなと思います。まだSP以上にFSは自分の中でモノにできていない感じがするので、これから、もうシーズンまであと1カ月ぐらいしかないですが、それまでにだんだん仕上げていければいいなと思います」


――どんなプログラムですか

 「最初しっとりしたところから始まって、だんだん盛り上がっていくようなプログラムなので、全体のつくりは昨年度のプログラムと似ているのですが、曲のジャンルがかなり違います。途中でラテンっぽい感じの曲調が入っていたり、2回ぐらい盛り上がるパートがありますが、1回目がジャンプに入る前ぐらいなので、一番はジャンプに集中してその曲の表現がおろそかにならないように、表現もですし、スピードも両立しながら曲を表現するのが難しいところだなと思います」


――新しいプログラムを練習するうえで苦労したことはありますか。

 「SPとFSのうちどちらかを変えるというのはこれまで結構あったのですが、どちらも変えるというのはかなり久しぶりだったので、まずはどちらのプログラムにも慣れるというのが大変でした」


――現時点での感触はいかがですか。

 「昨年度がどのような感じだったかあまり覚えていないので何とも言えないのですが、今のところはすごくいい感じでシーズンに向けて調整できてきているかなと思います」


――今のプログラムの完成度はどのくらいですか。

 「SPはやはりFSよりも早く振り付けたというのもあって、出来上がりに近い感じになっているかなと思います。FSはまだジャンプがメインになっている部分があって、曲を表現し切れていない感じがあるので、FSを特に頑張らないといけないかなと思います」


――今シーズンのご自身の強みは何だと思いますか。

 「ここ3回ぐらい大会に出てきて、やはり一つ一つのジャンプの出来栄えなどがかなり評価されているのかなという感じがするので、そこをもっと磨きつつも、ジャンプとジャンプのつなぎなどまだすごく甘い部分がたくさんあるので、そこをもっと詰めていけたらいいなと思います」


――今の調子はいかがですか。

 「いいと思います。ちょうど東京夏季大会が終わって、そのまま明大の合宿もあったり、かなり滑り込めているというか、夏に今いい感じに形になろうとしてきているので、昨年度以上にプログラムに慣れて自分のものにするだけではなくて、もう一歩レベルアップした形にできるのではないかなという感じがしています」


――明大合宿はいかがでしたか。

 「今年度はきつかったですね」


――昨年度とは違いましたか。

 「はい。昨年度よりも人数が少なかったので、いつもは合宿の中で取った貸し切りを男女で分けて滑っているのですが、今回は少なかったので一緒にしようとなって。その分練習時間も倍になったので少しきつかったのですが、曲をかけての練習がたくさんできたので、すごくいい機会でした」


――恒例のリレーはいかがでしたか。

 「今年度は人数が少な過ぎて、何かドラマがあることもなくすんなり勝って負けてという感じだったので、ちょっと来年に期待かもしれないです(笑)」


――夏休みはどのように過ごしましたか。

 「振り返ってみたら大会ばかりあった感じがするのですが、大会終わりに京都で観光したり、オフも少し入れながら、練習できたので良かったのかなと思います」


――大学に入学して2度目のシーズンですが、学業との両立はできていますか。

 「そうですね、少し2年生は気が緩んでいるので、もう少し頑張らないといけないかなと思っています。もちろん学校に行くだけでは駄目なので、後期は前期よりももっと試合も増えてきつくなってくると思うのですが、昨年度の経験を生かしながら要領良くできたらいいなと思っています」


――シーズンが本格的に始まるのを目前にして、どんな心境ですか。

 「早いなと思います。いくつか試合があったので、その試合に向けてやらなきゃという感じでやってきたら、もう東京選手権まで来てしまったという感じです。あっという間に来たという感じは、昨年度と変わらないですね。でも今はすごくいいコンディションですし、調子もかなりいい状態ではあるので、このままシーズンまでもっとレベルアップできたらいいなという感じです」


――今シーズンの目標を教えていただけますか。

 「今シーズンはやはり全日本選手権(以下、全日本)に出場して、その全日本の中でベストを尽くすことです。そのためには昨年度と同じことをやってもおそらく目標には届かないので、昨年度よりももっともっと自分の中で成長できるポイントを見つけて、小さいことからでも挑戦していけることが増えたらいいなと思っています」


――最後に、応援してくださる方々へのメッセージをお願いします。

 「いつも応援ありがとうございます。昨年度は本当に全日本で悔しい思いをしました。東京選手権と東日本選手権は取れましたが、やはり自分の中で全日本が良くなかったというのがすごく悔しかったです。一番いい舞台で一番いい演技ができるように、今年度はもっと成長した姿をお見せできるように頑張りたいなと思っているので、応援よろしくお願いします」


――ありがとうございました。    


[増田杏]


(写真は本人提供)