
(82)日本インカレ事後インタビュー①/園原健弘監督
大学陸上界の頂点を決める日本学生対校選手権(以下、日本インカレ)。明大は短距離部門と競歩部門から9人の選手が出場を果たした。その中でも特に短距離部門の活躍が光る結果に。2種目で明大記録を更新し、4×100メートルRでは3位入賞を果たすなど全国の舞台で戦える実力を証明した。今回はレース後のコメントをお届けする。
第1回は園原健弘監督のインタビューです。
――日本インカレの総括をお願いします。
「総括としては上出来の結果だと思います」
――4×100メートルRについてはいかがでしたか。
「多分明大で初めて4継で表彰台に立ったから、本当に素晴らしい成果だと思います。これも本当に高博コーチ(渡邉高博短距離コーチ)が明治に着任してくれて、スカウティングがきっちりできたというところから出発しているので、本当に4年ぐらいかけてここまで来たなっていうところですね」
――タイムとしても予選、決勝ともに明大新でした。
「以前明スポさんのインタビューでも『38秒台出して優勝したい』というのを学生たちが言っていて『目標設定と自己分析が甘いだろう』という総括したこともありました。今回に関しては自分たちの実力に見合った目標設定もきちんとできていました。38秒台は出ませんでしたけど、39秒前半の本当に素晴らしいタイムを出しています。学生たちの素晴らしさに、我々もちょっと驚いているところですね」
――100メートルについても振り返っていただけますか。
「100メートルは松下かなう(法3=大分東明)が今年急成長して、自己記録10秒22っていう持ちタイムで臨んだんですけど、実力的にいえば、10秒22を安定的に出せるところまでは行ってなくて、10秒4くらいのコンスタントなので力通りのところかなと思います。ただ彼の成長ぶりを見ると、来年度10秒2台を安定して出せるような選手になれば、日本のトップレベルの争いに絡めるし、そういう素質を持っている選手なので。非常に順調に育ってきていて、本人は決勝に残りたかったかもしれませんけども、冷静に客観的に見ると実力通りで、よくやった結果だと思います」
――続いて400メートルについても振り返っていただけますか。
「原田(真総・文1=東農大二)も今の実力を出したと思います。自己記録も出したし、決勝が8番、48秒台で終わったあと悔し涙を流していて、本人にとってはもっと上の順位に乗れるようなつもりだったかもしれません。でもやっぱりまだまだ体力不足っていうところもあるし、大学1年生としては十分やった結果だと思います」
――続いて200メートルについても振り返っていただけますか。
「颯太(木村颯太・法4=明星学園)がよくやったんじゃないですかね。表彰台はちょっとだけ逃しましたけども、ずっと故障で苦しんだ中で本当に地道に腐らずに取り組んで、ここまで戻ってきてくれたっていうのは、本当に素晴らしいと思います。準決勝の走りなんか多分彼の中でも一番いい走りができたんじゃないかなってくらいいい走りだったので、満足はしていないと思うけど、いいレースを4年間で仕上げてくれたかなと思います」
――木村稜主将(政経4=乙訓)についてはいかがですか。
「稜はね、ご存じのように関東学生対校選手権(以下、関東インカレ)で肉離れしちゃったんで、今回の日本インカレに対する位置付けも、そんなに勝ちにいこうとかは全くないですね。彼はやっぱり将来五輪、日の丸をつけるということを目標にしているので、その過程の中で、今回の日本インカレを頑張りすぎて故障が再発するというのが一番良くないこと。その道中でどういう走りができるか、どういう結果になるかというのをやったんですけども、頑張りすぎず100点以上の望むような結果が出ました。多分皆さんからすると決勝に残らなくて残念だなと思っているかもしれないですけど、我々からすると計画通りというか、上手にセーブしながら4継で頑張ってくれたんで、十分評価できる内容でした」
――W木村の2選手がチームに与えた影響は大きいですか。
「大きいです。もうすごく大きいし、明治大学の短距離をここまで引き上げてくれたのは、本当にこの2人のおかげなので。大事なのはこれを継続していくことで、両木村が抜けたら大変だなっていうところで、今回は松下かなうや川津(靖生・法1=明星学園)、その他の1、2年生も出てきてくれました。継続できるようなチームになったなという確信をつかんだいい大会だったと思います」
――最後に競歩についても振り返っていただけますか。
「競歩はちょっと苦言を呈さざるを得ないんだけど、やっぱりいろんな意味で実力不足で、実力不足の背景は、やっぱり練習不足。ポイント練習はしっかりやるんだけど、ポイント練習以外のつなぎの練習をできるところがグラウンドぐらいで、周りに道路でしっかり長い距離を踏める練習場所がないです。やっぱりなかなかグラウンドの中で同じように2時間も歩くとどうしても気持ちがめいっちゃうので、そういうところに耐えられるようなメンタリティとか、しっかりした目標がないといけません。古賀(友太・令4商卒・現大塚製薬)とか濱西(諒・令5文卒・現サンベルクス)はそういうことに耐えてやってきたんだけど、やっぱりそこまでの目標設定かな。彼らだけの責任じゃないから、我々のコーチ陣も含めてそこの部分はしっかり改善を図っていきたいです」
――清水海地選手(理工4=長野日大)は今大会が引退試合だったと思います。
「清水はもうちょっと強い選手に本当はしてあげたかったけど、彼の実力からすると、やっぱり4年間十分やってくれたんじゃないかなと思います」
――世界陸上でも明大OBの方も活躍されました。
「明治の競歩は、日本の競歩界を支えるプラットフォームになっているんで、やっぱりいい選手をしっかり輩出していくっていうことが、日本の陸上界に対する恩返しでもあるし使命でもあると思っているので、そこはぶれずにしっかりやっていきたいと思います」
――短距離部門としては今大会が集大成となる大会だったと思います。
「リレーで入賞できるようになったので、今度はマイルとリレーをきっちり軸にして、4継とマイルをきちんと決勝に残れるようなチームを維持することが大事なのかなと。そこをベースに強化を考えながら、個でも戦えるようにしていきたいなと思います」
――競歩は今後冬のロードシーズンが始まっていくと思います。
「競歩はもちろん、チームとしては関東インカレが大事なんだけど、日本インカレは個人戦で今後はやっぱり日の丸をつけてほしいです。なので2月の日本選手権を頑張って、20キロっていう種目でしっかり挑戦してもらいたいです」
――長距離部門は先日駅伝監督が変わりました。今のチーム状況を教えてください。
「良いと思いますよ。しっかりやってくれていて、山本豪新駅伝監督が今までに足りなかった部分のサポートをしながらやってくれています。順調に仕上がっているから、ちょっと心配していると思うけど大丈夫です」
――箱根駅伝予選会に向けて、今後の展望をお願いします。
「箱根駅伝予選会はしっかり通って本戦にまず出る。本戦ではシード権を獲得する。その目標はぶれずにやっていますから、しっかり結果を出していくだけですね」
――ありがとうございました。
[萩原彩水]
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