秋季リーグ戦開幕前インタビュー(後編)/山口翔副将×廣長晃太郎

 勝負の季節がやってきた。昨年度の関東学生1部秋季リーグ戦は3位に終わった明治大学グリフィンズ。今年度は櫻井亮新監督のもと〝ALL GRIFFINS〟を掲げ、甲子園ボウル優勝を狙う。本特集では、チームの核となる6名の注目選手インタビューを前・中・後編にわたってお送りする。

 

 後編はWR#10山口翔副将(国際4=箕面自由学園)、RB#39廣長晃太郎(商3=箕面自由学園)のインタビューです。(この取材は8月29日に行われたものです)

 

──春期オープン戦を振り返って収穫はありますか。
山口 「去年とメンツがガラッと変わったので最初は上手くいかないこともあるかと思ったのですが、下級生がどんどん押し上げてきてくれたのでとても勢いのあるチームになれたと思います」
廣長 「チームのことは翔くんが言ってくれたので、個人的にRBも含めて、自分たちは若いのでいろいろ試行錯誤しながら去年からの課題をつぶせたすごくいい春シーズンでした」

──去年の秋季リーグを振り返っていかがですか。

山口 「一昨年度とあまりメンツが変わっていなかったのでユニット力はすごく高かったです。ですが、早大に負けたり法大に負けたりと詰めの甘さも出てしまったと思うので今年の秋はそういった反省点をなくしていきたいと思います」

廣長 「僕は1年生の頃から試合に出させてもらっていて、2年生の秋も出させてもらっていたのですが、その中で少し慢心というか自分の中でちょっと調子乗っていた部分がありました。それもあって、結果もなかなかついてこず、自分のミスで試合を負けさせてしまったりなど結構チームに迷惑をかけることが多かったなというのが率直な感想です。環境は今と全然違うのですが、よく悪くもそこで失敗できたのが今の自分に繋がっているかなと感じているので、そういった部分で自分の成長につながった秋シーズンだったと思います」

──夏の間にオフェンス陣で意識して取り組んできたことを教えてください。
山口 「どうしてもスポーツは、出ているメンバーだけでいいプレーを出そうとなってしまうと思うのですが、今年はオフェンス全体としても若いメンバーが多いので、試合に出ていないベンチにいるメンバーも含めて結構声を出したりしてチーム一丸となることを意識してきました」

廣長 「RBとして言えば、セカンドエフォートといって、タックルされても倒れないというところを心がけてやってきました。そのために、常に一つ一つの動作の中でその後のプラス5ydを駆け抜けたり、1ydでも前にということを心がけながらずっと練習してきたので、秋はそれを出せればいいなと思います」

──今年のチームのストロングポイント、見どころを教えてください。
山口 「それこそ他大はあまりメンツが変わっていないので、さっきも言ったのですが、その分(明大は)去年とは違って爆発力というか勢いに乗ったら止まらないところは見どころかと思います」

廣長 「似通ってしまうのですが、やっぱりフレッシュさはあると思うので、最初からアグレッシブにやっていけるのはいいかなと思います。なので、その部分を前面に出していければ全部いい方向につながっていくと思います」

──夏合宿について感想や印象に残っていることをお願いします。

山口 「4年目で初めて行ったのですが、すごい大変そうだなと(思っていました)。実際大変で、携帯の自由時間もあまりなくほとんどずっとアメフトしていてしんどかったのですが、隙間時間にみんなで卓球したりなど普段は長い時間一緒にいることがない通いの子も含めて長い時間みんなと一緒にいたので、絆が深まりました。各ポジションでも最後に写真撮影したりしていてすごい仲良くなっているなと思いました。オフェンスディフェンス関係なく信頼関係もプレーで大事なので、そういう面に関しては他では収穫できない良い経験になったのかなと思います」

廣長 「個人的にはめちゃくちゃしんどかったかなというのがあって、ずっと詰め詰めで、午前も午後も練習漬けで、夜はミーティングして、終わって寝たらもう朝練習が始まってみたいな生活でした。僕は結構影響力のある人間なので、1年生に距離を置かれていると感じる部分も多々あったのですが、同じ部屋に1年生がいたりしてコミュニケーションをとる機会が多かったので、だいぶ距離は縮められたかなと思います。すごくタイトでしんどい期間ではあったのですが、横もそうですけど、縦のつながりもだいぶ結束が強くなったのでとても有意義な夏合宿になりました」

──現在のチームの雰囲気を教えてください。
山口 「良くも悪くも上下関係が全然厳しくないので、どの学年でも自分から発信する子がいっぱいいていろいろな角度から声が上がってとても柔軟な感じです」
廣長 「若いチームで試合経験が少ないのはありますが、その分すごく挑戦しようという姿勢は今ある雰囲気かなと思います。まだ試合が始まっていないのでミスしてもいいし、今出られるチャンスがあれば、すぐにみんなが向かっていくのがすごく見られるので泥臭さが出てきたと感じます」

──副将として意識していることを教えてください。
山口 「僕個人としては一喜一憂しないことですね。常に誰がどれだけいいプレーをしてもどれだけ悪いプレーをしても、何が起こったとしても、感情に波を出さないことです。副将とオフェンスリーダーをやっているので僕がぶれたらあかんかなと。みんなが喜んでいる時も僕はあくまでも一定で感情を出さないようにしています」

──オフェンスのキーマンを教えてください。

山口 「もちろん廣長です。高校が一緒なのですが、ここ落としたら負けるという場面やここでとっておかないと後々きついという場面で点に繋げてくれるプレーをしてくれるのが彼なのでそこはすごく信頼しています。あとはQB#15新楽圭冬(商2=都立戸山)です。今年から正QBになったのですが、QBでチームが変わってしまうので、 これからも成長すると思いますが、2年生ながらも司令塔としてのポジションをきちんとできているのかなと思います」


──廣長選手が何か意識していることはありますか。

廣長 「先ほども言ったのですが、自分は影響力があると思うのでチャンスがあれば常にビッグプレーを取りにいくことを心がけています。自分のプレーでチームの雰囲気や盛り上がりが変わってくると思うので、 そういう部分を意識しているのと、あとは常に勝ちにだけこだわってやっています。いくらタッチダウンを取ったとしても、最後に笛が鳴った時に相手のタッチダウン数が多かったらそっちの方が勝ちなのでそこまで気を抜かないことと、自分ができていてオッケーじゃなくてチーム全体としてできていないとだめっていう空気や基準を作ることに関しては影響力があると思うので、一応気にしながらやっています」

──お二人は高校の先輩後輩の間柄ですよね。
山口 「僕たちは小学校からアメフトをやっていて、別のチームでしたが一緒のリーグでやって、お父さん同士も知り合いでしたし、顔見知りでした。高校で一緒になって、一時期一緒のポジションにいたりとか、高校3年生の頃は僕がQBをやっていて廣長がRBでプレーしていました」

廣長 「ミーティング中も練習中もずっと横にいましたね」

山口 「みんなの前で話さないといけないときも、考えるのが苦手だったので廣長に考えてもらっていました(笑)」

──ずっと仲がいいのですね。
廣長 「言い争う時もあります。フットボールでお互いいろいろ考えることがすれ違ったりで言い合うこともあるのですが、結局どっちも勝ちたい気持ちは一緒でそこに向かって必死にやっているみたいな感じですね」

 

──最後に秋の目標を教えてください。
山口 「日本一ですね。うちは学生主体ってうたわせてもらっていますが、どんなスポーツにしろ強いと言われるところはすごい名将がいるとか指揮官がしっかりしているとかあると思うのですが、僕の中では強いところが勝つのではなくて、勝つやつが強いと思っていて、結局勝てば問題ないと思うので勝つことです」

廣長 「個人としては、日本一のユニットの中で自分がちゃんと活躍することが目標です。その中で数値的な目標は、この関東学生アメリカンフットボール連盟の中でリーディングラッシャーになって1番走っている選手になりたいです。来年のことを考えてもそこでなっていかないといけないのかなと思うので、そういう記録的な部分で明大のRBが1位になれてそこでちゃんとチームが勝っている状況になればそれが僕の1番の理想であり目標です」

──ありがとうございました。

[加藤菜々香]