
(30)佐藤恵允への質疑応答/ヴェルダー・ブレーメン加入契約締結記者会見
7月20日、明大紫紺館にて佐藤恵允(文4=実践学園)の入団記者会見が行われた。会場には多くのメディアも出席。会見では、異例ともいえる海外挑戦への決意を語った。
今回は佐藤恵への質疑応答をお届けします。
――ブンデスリーガの印象をお聞かせください。
「チームで統一、洗練された攻守が特徴的だなと思っています。それに加えてインテンシティの高い切り替えや、ハードワークをそれぞれの選手がしている特徴があると思います。自分もハードワークや切り替えの速さ、運動量、球際など、明治大学サッカー部で培ってきたものがドイツではとても試されるなと思っています。そこをよりレベルアップして活躍するというイメージはあります」
――部員やご家族とはどのようなやり取りをしましたか。
「加入が決まったことを部員に伝える時は、まず明治を途中で退部することになったことを伝えました。自分の中での葛藤も伝えましたし、自分が1月までやりたかったけど、自分の夢に向かって退部するというのは伝えました。その時に自分の明治に対する思いが強くて泣いてしまって、同期のみんなも泣いていました。そういう姿を見ると頑張らなければと思いますし、途中で抜けるからには部員に刺激を与えないといけないなと思いました。部員のみんなには明治は俺たちが作り上げていくからと声をかけて頂きました。家族には、恵允が選んだ道だからあとは自分がやるだけだし、そこに挫折や苦労があると思うけど、自分自身を信じて突っ走ってこいよと声を掛けられました」
――途中退部への葛藤はありましたか。
「明治の4年生としても副キャプテンとしても、その立場で退部していいのかとか、 同期と4年間やり抜きたいなとか、すごい葛藤がありました。でも、最終的には自分の夢を叶えるために、夏から移籍してチャンスをつかむっていうのが決断になりました。そこにもう迷いはないですし、明治を途中で抜けるからには必ずチャンスをつかまないといけないです。明治にいる同期や後輩に勇気を与えないといけないとは感じているので、思い切ってドイツでやるだけだと思っています」
――学内の一般生との交流で深まった知見はありますか。
「ゼミなどを通じて一番に思ったのは、サッカーは他の人から見たらとてもちっぽけなものだなということです。それが自分の中ですごい悔しくて、サッカーという素晴らしいスポーツをもっといろんな人に知ってもらいたい、分かってもらいたいと思っています。やはり大学サッカーも他のスポーツと比べたらまだ人気が出ていないという現状には自分の中ではとても悔しいです。ただ、こうして大学から海外へ行くということで、大学サッカーの価値も上がると思います。そこは大学サッカーを代表して自分が海外で活躍して、いろんな人に夢と希望を与えられたらいいなと、一般の学生との交流を通して感じました」
――ドイツで活躍されている同世代の日本人選手からはヒントを得ましたか。
「海外でプレーするにあたって日本とどう違うのかとか、海外でどう成功できるのかを聞きました。やはり海外は慣れが本当に大事で、日本から海外に移籍して、その瞬間に自分のプレーを出せればもちろんいいですけど、環境も変わってきますし、言語の違いもあります。最初は慣れないものが多くて、自分のプレーが最大限に出せないとは聞いています。ただ、自分は言語にそれほど苦労することがないですし、英語だけではなく今はドイツも勉強しています。環境に順応する時間は他の人と比べて少ないなとは感じています。ドイツに行って環境はガラッと変わりますけど、最初の練習から自分の力をどう引き出すかを考えながらやっていきたいです」
――チームに合流してからのイメージはありますか。
「高い壁があるほど自分は頑張れる選手だと思います。まず、自分の強みをチームメイトにまず認めてもらう、信頼してもらうことが一番大事だと思います。そしてチームにとって欠かせない選手になる、他の選手にないものを身につけることが、チームでずっと出続けられる秘訣だと思います。一日一日を自分と向き合って考えながら、 最終的な目標を達成するためにやっていきたいと思います」
――パリ五輪に向けたイメージはありますか。
「今はコンスタントにメンバーに選ばれていますけど、本当に生き残りをかけたサバイバルはここからより激しくなってくると思います。これから明治大学の選手として代表に行くことはなくなりますが、ブレーメンの選手として、まずブレーメンで結果を残すことがパリ五輪につがると思います。ブレーメンでの日常で結果を出して、合宿や遠征に呼ばれて、そこでもしっかり結果を残して、パリ五輪に選ばれればと思います。まずはブレーメンで積み重ねていきたいと思っています」
――これから伸ばしていきたい能力をお聞かせください。
「自分に足りないものは、日々栗田監督から言われているように、ポジショニングや味方とつながることなど、強度が上がった時のプレーの判断です。ウィークポイントとして自分でも分かっているので、磨き上げて成長していきたいです。もちろん自分の強みも海外から見たらまだまだ強みとなるものではないと思います。より成長して、もう1、 2段階大きな選手になって夢をつかめるようになりたいと思います」
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