
(60)明大対立大対校大会事後インタビュー①/園原健弘監督
7月2日に行われた明大対立大対校大会(以下、明立戦)。厳しい暑さの中でも自己ベストを更新する選手が現れるなど、収穫の多い大会となった。今回はレース後の競走部のインタビューをお届けする。
第1回は園原健弘監督のインタビューです。
――伝統ある明立戦を開催する意義についてはどのようにお考えですか。
「当初は強化の一環という意味がすごく強かったと思うんだけど、近年はスケジュールを見ても位置付けが変わってきているんだよね。競技だけでいうとこの暑いタイミング、それからシーズンの過渡期なので消化試合的なところがある点は否めません。ただ、対校戦はいろいろなスポーツの根源、出発点なんだよね。だからその対校戦を継続するということに意義があるから、コロナの間もずっと継続できたということを非常に喜ばしく思っています。そんな中で、競技の場であるとともに社交の場としての意味もあります。OBの方、あるいは立大の人との交流が深まるいい機会の中で、彼らが競技以外の部分で新しい価値観を感じてくれたらいいなと思っている大会です。その意味で目的は果たせたのではないかと思っています」
――明大と立大はどのような関係にあるとお考えですか。
「(明立戦が)44回ずっと続いている上に東京六大学対校大会などもやっていて、ライバルなんだけれども同志という形で一緒に成長していこうという関係です。敵同士という感じではなく、一つの大きな目標に向かって一緒に頑張っていくという仲間意識が非常に強い大会ですね。また、競技レベルというところでも非常に似たようなレベルなので非常に親近感が湧くチームです。それから伝統やチームの状況を見ても尊敬できるのでうれしい限りです」
――今年度の明立戦の総括をお願いします。
「競技面では負けてしまいましたが、やはりそこにはチーム事情というものがあります。特にフィールド種目とかは本当にうちは部員がいないですから、そういった面でハンディキャップがある中でも出場した選手はよくやってくれたと思います。あとはちょうどこのタイミングで県選手権とか国民体育大会予選などが重なっていて、主力級の選手たちがそちらの方を優先せざるを得ない場合があります。そういった中でみんなよく頑張ってくれたと思っています」
――全日本予選からのチームの雰囲気はいかがでしょうか。
「危機感は本当にみんな持っているので、その危機感を感じるだけじゃなくて行動に表して変えてもらわないといけません。細かいことからいうと例えば整理整頓とか挨拶の見直しだとか日常生活のすぐ改善できるところはね。だから彼らもすごく一生懸命にやってくれていますよ。そういった意味では暗いという雰囲気は全くないです。常に前を向いて立ち上がって次に進むぞという前向きな雰囲気ができていると思いますので大丈夫です」
――監督からご覧になって動きの良かった選手はいますか。
「マネジャー陣は私も厳しく指導したんだけど、こういう大会って選手よりも支える人の力の方が大きいんです。選手は出るだけなので楽なんですよ。準備段階の時から頑張ってくれている、今回でいえば大森(優人・政経4=八千代松陰)副務が私に小言を言われながらも一生懸命腐らずに頑張ってくれる姿は本当に学生らしいと思うし、いい経験を積んでいるなと思います。ほんとにマネジャー陣はこの大会に限らずいつもよくやってくれているので。それから長距離の方で言えば東原(豪輝・政経3=大阪)かな。3000メートルでいい走りを見せてくれたので期待できるかなと思います。短距離でいえば一般入試で入ってくれた荒澤(朋希・営1=明大中野)が400メートルをよく頑張ってくれました。新戦力が出たという感じでうれしかったです」
――1年生の活躍についてはいかがですか。
「短距離、長距離を問わず高校トップクラスの選手が入ってきているので、実力を示してくれていると思います。ただ、彼らが今の力を出しているのは大学に入ってから強化したというよりは高校時代から持っている力で出ている面があります。なので、大学に入ってからその力を低下させず右肩上がりに向上させることが大事だと思っています。今の結果に関してわれわれの指導力があるということは一切思っていなくて、やはりお預かりした大切な選手をきちんと右肩上がりに伸ばしていけるようにしていきたいと本当に思っています」
――明大対法大定期大会に向けてどのように臨んでいきたいとお考えですか。
「法大との対校戦も長距離が早朝にレースをやったり、同じタイミングでホクレン・ディスタンスチャレンジ2023の記録会があるなどイレギュラーな形です。これも位置付けとしては明立戦と同じ対校戦で、交流を深めるという形の大会になりますが、暑い中でのレースになるのでケガ、故障をしないこと。また、それが終わると試験期間で少し休養期間になりますので、上半期の締めくくりの大会としてそれぞれの課題を見つけるようなレースをしてもらいたいです。出た結果に一喜一憂することなく、夏合宿でその課題を解決して向上するような大会にしてもらいたいと思っています」
――夏合宿を通してどういった点を伸ばしていければチーム力が向上すると思われますか。
「夏合宿に関しての一番の強化ポイントは駅伝が本当に大事になります。箱根駅伝予選会は必ず通らなければならないし、できれば上位で通過するような力をお示しして全国のファンとか校友の皆さまに安心してもらえるような姿をお見せできればいいなと思います。そのためにトップレベルはもちろんなんだけれども、下のところの底上げを図らないといけません。ケガとか故障をしない、あるいはそこに至った原因とか背景をしっかりつぶしていくような取り組みを試験期間も含めてやりたいなと。具体的にはメディカルチェックのようなことをしっかり入れていきます。故障するのは結果ですから、結果を導く要因がどこにあるのかっていうのを各自が探り、課題を明確にした上で夏合宿に臨んでもらいたいなと。短距離は合宿が終わるとすぐに日本学生対校選手権(以下、日本インカレ)があります。日本インカレはチームの戦いというよりは個人の戦いになるので、それぞれが伸び伸びと思いっきり挑戦してもらいたいと思います。個人の目標を達成するためのサポートをチームとしてしっかりやっていきたいです。幸いなことに短距離はみんな自己ベストが連発している状況ですから、その雰囲気をどんどん続けていきたいなと思っています」
――木村稜主将(政経4=乙訓)は現在どのような状態でしょうか。
「木村稜に関してはまだ公表できないところもあるんだけど、卒業後も競技を続けさせてもらえる環境を準備できそうなので、次にお世話になるチームといろいろなお話をさせてもらっています。来年はパリ五輪がありますし、2025年には東京で世界選手権があるのでそれを目指すためには今はもちろんのこと、この冬のトレーニングがとても大切になります。目の前にある日本インカレに慌てて合わせて、故障からの回復を途絶えさせるよりもきちんと来年度のシーズンに向けた流れの中での通過点として日本インカレを捉えてほしいということは本人とも話しています。ここまでリハビリとかトレーニングも非常にいいサポート体制を組めたので、病院の理学療法士の先生、それから日本有数のトレーナーにお世話になることができています。ここまではいい状況で来ていますから、万事塞翁が馬の精神で必ずこのマイナスがプラスになるような具体的な取り組みができています」
――明大のファンの方にメッセージをお願いします。
「いつも応援していただいてありがとうございます。全日本予選の後に皆さまにご心配をおかけしていると思いますけれどもチームは今、前に向かって立ち上がって再スタートを切ってみんな元気にやっています。引き続き応援いただければ本当にありがたいです」
――ありがとうございました。
[松原輝]
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