
(54)全日本予選事後インタビュー②/山本佑樹駅伝監督
15年連続でつなぎ続けた伊勢路への道は断たれた。選手、スタッフは死力を尽くしたものの、惜しくも栄光の地へは届かなかった。だが、下を向いてばかりではいられない。今回得た反省はきっと箱根路への足掛かりとなるはずだ。今回はレース後の競走部の声をお届けする。
第2回は山本佑樹駅伝監督のインタビューです。(この取材は6月18日に電話で行われたものです)
――今回のレースを振り返っていかがでしたか。
「単純に予選を通ることができなかったというところで、非常に残念というか、期待に添えずふがいない結果で申し訳ないという気持ちです」
――メンバー選定において、意図した点はありましたか。
「杉(彩文海・文4=鳥栖工)と児玉(真輝・文4=鎌倉学園)が教育実習に行くことが昨年度の段階で分かっていました。杉は実際教育実習が忙しくて今回は出場を見送る形になりましたが、児玉は教育実習から帰ってきて1週間ほど時間があったので何とか1組目で出走ができたという感じです」
――杉選手は教育実習が終わった直後だったんですね。
「帰ってきたのが金曜日でした。練習もなかなか思うようにできないですし、走りもその間僕が見ることができないので、杉を使うことは賭けで、それよりも他の選手でしっかりと補えるようにしました。走った8人はそれなりに準備はできていたと思うんですけど、少し準備が足りなかったという感じです」
――1組目はいかがでしたか。
「児玉は教育実習があったのでなかなかハイペースのレースはしんどいだろうということで1組目か2組目で考えていました。そして彼は暑さには強いので、より暑さのある1組目かなと。児玉も『1組目でトップを獲る走りをしたい』と言っていたので、滑り出しとしては児玉が上位で走ってくれればいいかなと思っていました。甲斐(涼介・情コミ3=宮崎日大)も関東学生対校選手権(以下、関東インカレ)から継続してできていて、比較的暑さにもそこまでマイナスなイメージを持っていなかったので、児玉とセットで走れば甲斐も安心して走れるのではないかなと思ってそこをペアにしました。実際、児玉は本当にうまくレース運びをしていったんですけど甲斐の位置が少し後ろ過ぎたので(後半)前に出ていく段階で余計な体力を使ってしまい最後伸びに欠けてしまいました。甲斐がもう少し上位でいってくれると良かったと思います」
――2組目はいかがでしたか。
「尾﨑(健斗駅伝主将・商3=浜松商)と堀(颯介・商2=仙台育英)ですが、尾﨑は関東インカレ後に少し故障がありました。また堀は(ずっと)故障が続いており、立ち上げを関東インカレが終わったくらいから始めたので不安のある2人ではありました。ですが元々の能力は高いですし、2組目はかき回す選手が来たりして後ろはけん制すると予想していたので、そういうスローな展開の中で何とか我慢してくれたらいいかなという感じで送り出しました。尾﨑は最低限現状の出せる力は出してくれたのですが、堀は練習の面でしっかりできていなかったという不安な面が先にいってしまって今回のような結果になってしまったかなと。やはりしっかり練習を積んだ上で、自信を持ってスタートラインに立たせないといけないなというのが反省点にあります」
――堀選手は練習不足から来るメンタル面の不安定さが出た感じですか。
「本当遅れ出すタイミングが悪かったというか、集団の30人くらい残っている中で遅れ出したので、いろんな要素があると思うんですけど、メンタル面も含めてやはり自信を持ってスタートラインに立てなかったというのが大きかったというふうに思います」
――3組目についてはいかがでしょうか。
「吉川(響・文2=世羅)については練習をほとんど森下(翔太・政経2=世羅)と一緒にやっていて4組目にするか3組目にするか悩んでいたというところでした。溝上(稜斗・商3=九州学院)が関東インカレと今回と大きいレースが初めてというところでしたので、吉川をペアにして少しでも安心感を持てるようにというところでやりました。吉川は後半何とか持ちこたえて最低限の走りはしてくれたんですけど、溝上は離れてからやはりなかなか粘ることができず、もうちょっと粘ってほしかったなというのが気持ちではあります。ただ3組目に関してはほんとにあれだけスローな展開で後半一気に(ペースを)上げるというところで、数年前だったら数人しか集団に残っていないんじゃないかなってところにも20人30人残るっていうところで各大学のレベルアップを実感したというのが正直なところですね」
――4組目についてはいかがですか。
「森下と綾(一輝・理工1=八千代松陰)は本当にチームの一番手二番手、吉川も入れて三番手くらいのところにいるので、本当に4組目にふさわしい2人を置ける形でした。森下に関してはちょっと最初出だしが後ろ過ぎたので、レース内容の反省点はそこだと思います。ですが後半離れてからも粘って28分台で抑えたというのは良かったかなと。ただまあ本人としてはもう少し上を目指していって積み上げていくしかないという感じはしていますね。綾もしっかり粘ったし28分台でいきたいというのはあったんですけれども、積極的なレースをして、1年生ながら粘ったのは評価できます」
――チームの課題はどこにありますか。
「課題というかまず現状としてうちのチーム力が落ちているというのは分かってはいるところなのですが、やはりそれ以上に他大学の力の付け方の勢いがあるなというのを正直なところです。うちが多少悪くても何とかなっていた部分が何とかならないくらい周りが力を付けているので、うちも勢いをつける手を打たないといけないと思っています」
――今後他大学と競争していく中で、負けてはいけない点はどこだと思いますか。
「選手とも話してチームの雰囲気が、やはりどこか欲のあるチームの雰囲気ではないというのが、ここ数年チームとして続いてきて部内の温度差が大きいと感じています。なのでそこは本当に学生同士話して、学生主導で変えてく部分と、こちらの体制を変える部分と両方やっていかないと駄目かなと思うのでそこのてこ入れは早くしようと思っています」
――今後に向けて今回の経験をどのように生かしていきたいですか。
「まずは7月に対校戦もあるのでそこでもう1回トラックレースをこなし、それを踏まえて夏合宿に挑んでいきたいです。もう次の目標は箱根駅伝(以下、箱根)しかないので、とにかく箱根駅伝予選会を通過して箱根でシードを取るっていうところにフォーカスして、この危機感をいい方に向けて頑張るしかないかなというふうに思っています」
――ありがとうございました。
[菊地隼人]
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