(35)関東インカレ事後インタビュー②/山本佑樹駅伝監督

2023.05.16

 4日間にわたって行われた関東学生対校選手権(以下、関東インカレ)。明大は13点を獲得し、目標の1部残留を達成した。今回はレース後の選手の声をお届けする。

 

 第2回は山本佑樹駅伝監督のインタビューです。

 

――関東インカレを終えて、競走部全体としての振り返りをお願いします。

 「1部残留できたことは良かったと思います。ただ、少しでこぼこがあったというか、(得点を)取りたい選手が取れないとか、そういう中でみんながしのいで他の大学が点を取れなくて生き残れた感じでした。長距離で言うと得点がハーフマラソンの杉(彩文海・文4=鳥栖工)だけで、5000、1万メートルでもっと勝負していかないと他の大学との差が大きくなってしまうので残念です」

 

――1万メートルの3選手についてはいかがでしたか。

 「1万メートルの3人はもう一段上に上がってほしい選手を起用しました。最低限28分台ではいってほしいのと、あわよくば入賞できればと思って見ていたんですけど、そこには3人とも到達できなかったので物足りなさを感じます」

 

――今年度は3000メートルSCにフルエントリーできました。3人についてのコメントをお願いします。

 「1部残留のために3000メートルSCの選手が欲しいということで、2人取ってきてその選手を出すことができて良かったです。3000メートルSCは中距離に近いので、ラスト1000メートルやラスト1周のペースアップをしないとなかなか上位に食い込めません。3人にはしっかり力をつけて余裕度を上げて勝負できるように、3000メートルSCで点が取れるように頑張ってほしいと思います」

 

――ハーフマラソンでは長距離部門で唯一の得点を獲得しました。3選手の走りを振り返っていかがですか。

 「杉は力的にも上位を狙えたと思うのでその通りの走りをしてくれましたし、後半の粘りは彼が力を付けた証拠だと思います。橋本基紀(商4=専大松戸)は就職活動も忙しくて相当大変なところですが、本人が昨年度のリベンジがしたいというのもありました。少し今は就活の疲れなどで調子が上がらないところですが、全日本大学駅伝関東地区予選会(以下、全日本予選)は頑張ってほしいので、うまく両立してほしいところです。室田安寿(情コミ2=宮崎日大)については中盤ペースが落ちて、後半盛り返してきました。中間の一番最初の我慢ができるようにしないと駅伝では致命傷になるので、この頑張りをこれからしてほしいと思います」

 

――5000メートルに関してはいかがですか。

 「森下(翔太・政経2=世羅)は正直入賞はしてほしいと思っていて、綾(一輝・理工1=八千代松陰)も入賞までいかないにしてもいいところまではいってくれるんじゃないかと思っていました。ただ2人とも早い段階で後ろに下がったので、僕の練習の最後の調整や春先の疲れが一回出ている感じです。全日本予選に向けて微調整しなければいけないと思います。甲斐(涼介・情コミ3=宮崎日大)も久々に5000メートルをやって自己ベストぐらいは狙えるんじゃないかと思っていたんですけど、早い段階で離れたのでそこの修正はきちんとしなければいけないなと。5000、1万メートルの結果が振るわなかったのでそこは反省と改善したい点になると思います」

 

――今年度はどんなテーマでチームを指揮していきますか。

 「これまで4年生やキャプテンに頼って、チームとしてどう動くかを意識しすぎたところがありました。今はどちらかというと個にフォーカスしたいんですけど、そのばらつきが今大きいなと思っています。上を見ている選手はしっかりと見ているんですけど、チームの雰囲気にいい意味で流されないと自分を奮い立たせられない選手が多い気がします。そこは一人一人の意識レベルを上げていっていい集団にしたいというのがあるので、特に春先はまず個人の目標に向かってやりたいなと。そこから組織作りをして集団で上を狙っていきたいと思います」

 

――エース格の児玉真輝(文4=鎌倉学園)選手の状態はいかがですか。

 「箱根駅伝(以下、箱根)が終わった段階で、ケガをしっかり治し切ろうと時間をかけて調整させて今は順調に立ち上げをしている状況です。全日本予選はどうしようというのはあるんですけど、今のままなら間に合う感じはしています。ただ教育実習もあるので、その辺との絡みで彼の状態をどう上げられるかを見てやりたいなと思います。今のところ調整はしっかりできているので、近いところでレースでの姿が見せられるかなと思います」

 

――長距離部門全体として次の大会は全日本予選になりますが、展望をお願いします。

 「全日本予選については選手にも言いましたけど、現状では相当厳しいかなと思います。ここで立て直しをして調子がいい選手はそのまま継続してほしいし、悪い選手はしっかり切り替えをしなきゃいけないと思うのでそこは修正したいと思います」

 

――全日本予選についてメンバーの構想などは決まっていますか。

 「現状でいくとエントリーメンバーがそろわないぐらいの感じなので、きちんと作っていかないと難しいかなと。出るべき選手がしっかり走るという形にしていきたいと思います」

 

――尾﨑選手に主将を任せた理由は何でしょうか。

 「箱根が終わって、キャプテンに頼るのではなく、まず個々が目標設定をしないと駄目だということでキャプテンを決めるのを遅らせることを選手に言いました。その間選手たちに自分がなぜ明治に来て競技をやっているかというのを考える時間を作りました。そういう中で尾﨑がぜひ自分をキャプテンにしてほしいと。自分は箱根4区を走って力的にも劣っていたし何かを変えないと駄目だと思い、キャプテンになることによって自覚や責任感を感じてやりたいと言ってくれました。ただ3年生をキャプテンにするのは簡単なことではないので、4年生の児玉や斎藤拓海(政経4=市立船橋)などと話をして、尾﨑がそうやって言うなら僕らは全力でバックアップしますということで、尾﨑でいこうと。尾﨑をキャプテンにすることで、3年生なので自分で引っ張るよりは個人の目標に向かっていくことが周りのサポートにつながるし、周りもじゃあ自分もとなると思ったので、僕の意図と合致しました」

 

――今年度は副将を学年に1人置く形になりましたが、期待することは何でしょうか。

 「学年の横のつながりをまとめる役ということで、今までも学年リーダーとして作っていたんですけど分かりやすく副キャプテンという形にしました。新しい合宿所に移って、今までと運営の仕方を大きく変えました。寮長のようなポジションの学生も置いて私生活や規律の部分でしっかりやれるように役割分担をそれぞれ持たせてチームにいる意識を持たせようかなと。そんな感じで役職を多く作りました」

 

――最後に今後に向けて展望や意気込みをお願いします。

 「今、正直チームの力が下の方に来てしまったので、そこからどれだけ盛り返すかというところで、やっぱり個人の力が必要になってくると思います。春先のレースの中でしっかりそこを意識してやって、夏合宿でまとまって練習するのでそこでチーム力を高める感じで全日本予選と、箱根予選を通るのが当分の目標になります」

 

――ありがとうございました。

 

[桑原涼也]